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2017.11.23 わかりやすい下肢静脈瘤の教科書

ストリッピング手術は血管内焼灼術に下肢静脈瘤治療の主役を奪われた?

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

100 年以上の歴史を誇る下肢静脈瘤のスタンダード手術

 現在では下肢静脈瘤手術の主流は血管内焼灼術に奪われる形となりましたが、それまでは 100 年以上にわたってその座を守り続けてきた正統派の手術術式です。
 ストリッピング手術は、逆流防止弁がダメになって血液が逆流している静脈を「引き抜く」ことで血液の逆流を止める手術です。悪い静脈を直接撤去してしまうわけですから、静脈うっ滞の原因を根治するという点では確実性の高い術式です。

どのような手術か大伏在静脈で説明します。
足首または膝で皮膚を切開し、静脈を露出します。
ストリッパーという特殊なワイヤーを静脈の中に挿入し、足の付け根まで入れます。
足の付け根を切開して静脈からストリッパーを取り出します。
ストリッパーの先端に金属ヘッドをつけてストリッパーを引き抜くと、静脈が一緒に引き抜かれてきます。


A: Babcock 法
静脈を蛇腹のように折りたたまれた形で引き抜くやり方です。この方法のメリットは、先端の金属部品が大きいので、確実に静脈を引っ張ってくることができます。
デメリットは静脈の周囲の組織を傷つけてしまい、術後の痛みや皮膚の感覚異常などの原因となることがあります。


B:内翻法
ワイヤー先端につける金属ヘッドは Babcock 法に比べると小さく、ストリッパーを引き抜いてくるとワイヤーに引っ張られた静脈が内側へひっくり返るようにして引き抜かれてきます。この方法のメリットは、周囲組織を傷つける心配が少ないこと。
デメリットは、静脈を引っ張っている途中で静脈がちぎれてストリッパーだけが抜けてきてしまうことがあるので、熟練が必要です。

大伏在静脈には枝分かれした静脈が何本もありますが、お構いなしにブルドーザーのごとく引き抜いてきます。傍からこの手術を見ているとちょっと野蛮な手術に見えます。
枝分かれした静脈をお構いなしに引きちぎるわけですから、内出血をします。どうするか?
皮膚の上から 5 分ほど圧迫します。
手術の後は弾性包帯でぐるぐる巻きにして圧迫します。それでも内出血しますので、術後数日すると足はアザが痛々しい感じがします(ただしアザは 2 週間ほどで自然に消えていきますのでご安心ください)。

 

ストリッピングの時代は終焉を迎えたのか

静脈うっ滞の原因となる静脈の逆流を止めるという点では、血管内焼灼術も治療成績ストリッピング同様に高いです。治療効果が同等であれば、メスで切らなくて済み、痛みもアザも少なくて、入院の必要がないので医療費も安く済むなど、あらゆる点で血管内焼灼術に軍配が上がります。

残念ながら時代の流れで血管内焼灼術に王座を奪われる形となりました。
当院でもストリッピング手術の道具は揃えてありますが、現状ではどうしてもストリッピング手術を行わなければならないケースは皆無です。残念ながら時代の流れで血管内焼灼術に王座を奪われる形となりました。

ではストリッピング完全に過去の遺産かというとそうではありません。下肢静脈瘤日帰り手術全盛のご時世、ストリッピング手術を経験せず血管内焼灼術を行っている医師は多くなってきました。ストリッピング手術に習熟していることは下肢の静脈の解剖や特性を実際に目で見て触れて知っているということであり、血管内焼灼術で何らかのトラブルに見舞われた際にもストリッピング手術を通じて培われた経験があるとないとの差は天と地ほどの差があると思います。

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