【医師監修】下肢静脈瘤と間違えやすい皮膚の病気「温熱性紅斑」に注意!原因と予防法を解説
温熱性紅斑とは?原因・症状・予防法を解説!
冬の寒い時期やデスクワーク中、暖房器具やノートパソコンの熱を長時間当てていませんか?その結果、皮膚に赤い網目状の跡が残ったことはありませんか?それは「温熱性紅斑」かもしれません。一見すると下肢静脈瘤による色素沈着ではないか?と思われがちですが、低温の熱を皮膚に長時間当てることによって生じる皮膚のトラブルです。
本記事では、温熱性紅斑の原因、症状、治療法、そして予防策について詳しく解説します。
温熱性紅斑とは?
温熱性紅斑とは、長時間、低温熱にさらされた皮膚に生じる紅斑(赤み)や色素沈着のことを指します。これは一般的に、暖房器具や電気毛布、ホットカーペット、ノートパソコンなどからの低温熱に長時間さらされることで発生します。
❗ 温熱性紅斑の特徴
- 網目状または斑点状の赤みが皮膚に現れる
- 熱にさらされている部分のみに症状が出る
- かゆみや痛みを感じることは少ない(無症状のことが多い)
- 長期間熱にさらされると色素沈着が残ることがある
- まれに皮膚がんに進行するリスクが指摘されている
温熱性紅斑の原因
温熱性紅斑は、低温の熱を長時間受けることが原因です。具体的には以下のような習慣が関係しています。
✅ 暖房器具を至近距離で使用する
- こたつ、電気毛布、ホットカーペット、ストーブなどを長時間使用する
- 特に寒い冬に足元を温めるためにヒーターを長時間当てている人は要注意
✅ ノートパソコンを膝の上に長時間置く
- 在宅勤務やカフェでの作業中、膝の上にノートパソコンを置いていると、熱が直接皮膚に当たり続ける
✅ 湯たんぽやカイロを直接肌に当てる
- 長時間、湯たんぽやカイロを同じ部分に当てていると、低温やけどと同様の影響を受ける
✅ 温熱療法(赤外線治療)を頻繁に行う
- 腰痛や肩こり対策で赤外線ヒーターを長時間使用することも原因となる
温熱性紅斑の治療法
温熱性紅斑は、熱の刺激を取り除けば自然に回復することが多いですが、色素沈着が残る場合もあります。以下の治療法を参考にしてください。
🩹 軽度の場合(早期発見・対策)
- 原因となる熱源を避ける(暖房器具の使用方法を見直す)
- 冷却や保湿を行う(低温やけどと同様に、炎症を抑えるために冷やす)
- 皮膚のターンオーバーを促すスキンケア(ビタミンCやハイドロキノンを含む美白クリームが有効)
🏥 色素沈着が強い場合
- ハイドロキノン・トレチノイン療法(美白効果のある薬を使用)
- レーザー治療(シミ取りレーザーなどで色素沈着を除去)
⚠️ 皮膚がんのリスクについて
長期間、同じ部位に熱を当て続けると、まれに皮膚がんへと進行する可能性があると言われています。症状が長引く場合や、しこりや皮膚の変化を感じたら、皮膚科を受診しましょう。
温熱性紅斑の予防法
🛑 低温熱に長時間さらされないようにする
- 暖房器具は適度な距離を保つ(ストーブや電気毛布は長時間同じ部位に当てない)
- ノートパソコンはデスクの上で使用する(膝の上に長時間置かない)
- 湯たんぽやカイロは直接肌に当てない(タオルで包むなど工夫する)
🩺 皮膚の状態を定期的にチェック
- 赤みが長引く場合は早めに皮膚科を受診
- 色素沈着が気になる場合はスキンケアを徹底
まとめ:温熱性紅斑は早めの対策が大切!
一見すると下肢静脈瘤と間違われやすいのですが、温熱性紅斑は「低温の熱を長時間当てること」で起こる皮膚のトラブルです。適切な予防策を取れば防ぐことができ、症状が軽ければ自然に回復することがほとんどです。
ただし、長期間放置すると色素沈着が残る可能性もあるため、気になる場合は早めに皮膚科を受診しましょう!
よくあるご質問(FAQ)
Q. 下肢静脈瘤と温熱性紅斑の見分け方は?
A. 下肢静脈瘤は血管が浮き出たり、こぶ状に膨らんだりするのが特徴ですが、温熱性紅斑は皮膚表面に網目状の赤みや色素沈着が現れ、血管自体は膨らみません。また、温熱性紅斑は「特定の熱源が当たる部位だけ」に発生しやすいため、生活習慣を見直すことで判別の手がかりになります。
Q. 温熱性紅斑は自然に治りますか?
A. 原因となる熱の刺激を取り除けば、軽度であれば自然に赤みが消えることがほとんどです。ただし、長期間放置した場合は色素沈着が残ることがあるため、早めの対応が大切です。
Q. 色素沈着が残ってしまった場合の治療法は?
A. 美白効果のある薬(ハイドロキノンやトレチノイン)の塗布や、皮膚科でのレーザー治療が有効とされています。いずれの治療も医師の診察を受けたうえで適切に進めることが推奨されます。
Q. 温熱性紅斑は皮膚がんの原因になりますか?
A. まれではありますが、長期間同じ部位に低温熱を当て続けることで、皮膚がんの発生リスクが指摘されています。赤みが長引く、皮膚が硬くなる、しこりができるなどの異変がある場合は、速やかに皮膚科を受診してください。
院長より:実際にあった症例とご相談の一例
目黒外科には、下肢静脈瘤による色素沈着を心配して受診された患者様の中に、実際には「温熱性紅斑」であったケースが複数あります。
例えば、ある30代女性の方は、在宅勤務で電気ストーブを長時間足元に当てながら仕事をしていた結果、ふくらはぎに赤黒い網目模様が出現し、不安になって来院されました。エコー検査で静脈に異常はなく、生活習慣から温熱性紅斑と診断しました。

下肢静脈瘤と間違えやすい温熱性紅斑
このように、温熱性紅斑は下肢静脈瘤と見た目が似ており、誤って手術を希望される方もいらっしゃいます。皮膚の色調変化が見られる場合は、まずは医師の診察を受け、必要であれば超音波検査などを行うことが重要です。