
足の黒ずみは下肢静脈瘤のサイン?色素沈着とうっ滞性皮膚炎を専門医が解説
「最近、足の皮膚が黒ずんできた…」そんなふうに気になっていませんか?その黒ずみは見た目の問題だけでなく、下肢静脈瘤や血流障害のサインである可能性があります。
この記事では、28年以上にわたり下肢静脈瘤治療を専門とする目黒外科 院長・齋藤陽 医師が、足の黒ずみの原因や、うっ滞性皮膚炎、色素沈着の予防と治療法について詳しく解説します。
下肢静脈瘤とは?
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、足の静脈にある逆流防止の「弁」が壊れることで、血液が心臓へ戻れずに足に溜まってしまう病気です。血管が拡張し、皮膚表面にボコボコと浮き出る見た目の異常だけでなく、足のだるさ・むくみ・痛み・こむら返りなどの不快な症状も伴います。特に長時間の立ち仕事をされている方や、中高年の女性では発症率が高くなります。

足の黒ずみと下肢静脈瘤の関係
静脈瘤が進行すると血流が滞り、皮膚の代謝が落ちて古い角質が溜まり、全体的にくすんだ印象になります。さらに、毛細血管が破れやすくなり、血液中の鉄分(ヘモジデリン)が皮膚に沈着して、茶色〜黒色の色素沈着が起きます。一見「日焼けかな?」「加齢かな?」と見過ごしがちですが、実は体の中で起きている血液の循環障害が原因かもしれません。


うっ滞性皮膚炎とは?
うっ滞性皮膚炎とは、静脈の血流障害によって足の皮膚に炎症が起きる病気です。初期には赤み・かゆみがあり、進行すると黒ずみ・皮膚の硬化・痛みへとつながります。この状態を「皮膚脂肪硬化」と呼び、さらに悪化すると皮膚が破れて「潰瘍(かいよう)」となることもあります。一度潰瘍ができると治療に数か月から年単位で時間がかかることも少なくありません。

予防と対策
- 日常的にふくらはぎを動かす運動 ウォーキングや足首の上下運動は血流を促進し、静脈瘤や皮膚炎の予防になります。
- 長時間の同一姿勢を避ける 立ちっぱなし・座りっぱなしは静脈に負担をかけます。こまめに足を動かしましょう。
- 弾性ストッキングの活用 医師の指導のもと、適切な圧力の着圧ソックスを使うことで血流を助け、症状の進行を抑えることができます。
よくある質問(FAQ)
- Q. 足の黒ずみは自然に治りますか?
- A. 軽度の色素沈着であれば改善することもありますが、血流障害による場合は放置せず医師の診察を受けることが大切です。
- Q. 皮膚科と血管外科、どちらに相談すべき?
- A. 足の黒ずみとむくみがある場合は、下肢静脈瘤に詳しい血管外科を受診することをおすすめします。