【医師監修】弾性ストッキングQ&A|かぶれ・痛みを防ぐ正しい使い方と選び方のコツ

【医師監修】弾性ストッキング(着圧ソックス)の正しい使い方とよくあるトラブル対策

弾性ストッキング(着圧ソックス)は、下肢静脈瘤の予防や症状改善に役立つ医療用アイテムです。しかし、正しい使い方を知らないまま使用すると、肌トラブルや血流障害を引き起こす原因になることも。
この記事では、下肢静脈瘤専門クリニックでよくいただく質問をもとに、弾性ストッキングの選び方・使い方・注意点について、わかりやすく解説します。

Q. 弾性ストッキングで皮膚がかぶれてしまいました

A. 以下のような原因が考えられます。まずは原因を見極めて、対処しましょう。
  1. 素材アレルギー:生地が肌に合っていない可能性があります。別のメーカーや異素材の製品に切り替えてみましょう。
  2. 長時間着用:着用時間が長すぎると蒸れや摩擦による炎症が生じます。一度に長時間着けず、途中で脱ぐ時間を設けましょう。
  3. 装着時の摩擦:無理に引っ張って履くと摩擦で皮膚が刺激されます。適度な力で丁寧に装着しましょう。
かぶれた場合は、皮膚科を受診し、ステロイド軟膏などの治療を受けることをおすすめします。

Q. 弾性ストッキングが長いので端を折り返してもいいですか?

A. 折り返しての使用は避けてください。特にハイソックスタイプでは、上端を折ると局所的に締め付けが強くなり、静脈の血流を妨げる恐れがあります。これは血液検査で腕にゴムを巻いた状態に似ており、血栓やうっ血の原因になります。
弾性ストッキングの間違った履き方
▲これはNG例:折り返して履くと血流障害を起こすリスクがあります

正しい履き方のポイント:
  • 膝丈より少し長い場合は、つま先方向に生地を寄せることで長さを調整しましょう。
弾性ストッキングの正しい履き方
▲正しい履き方:折らずに滑らかにフィットさせるのがポイント

Q. 夏場は暑いのでつま先を切ってもいいですか?

A. 弾性ストッキングのつま先を自分で切ることは絶対に避けてください。縫製が崩れて全体が伝線しやすくなる危険性があります。
暑さが気になる場合は、オープントゥタイプ(つま先開放型)の製品を選ぶと快適に使用できます。

Q. 膝にストッキングが食い込んで痛いのですが?

A. ハイソックスタイプの弾性ストッキングは、引っ張りすぎると膝下の皮膚にシワができて食い込むことがあります。これにより、赤み・痛み・水ぶくれなどの皮膚トラブルを引き起こすこともあります。
弾性ストッキングによる皮膚トラブル
▲膝裏の食い込みは、装着ミスやサイズ不適合のサイン

快適に使うための工夫:
  1. 装着後、膝のシワができないようにつま先方向に生地をならす
  2. 上端部分にガーゼやハンカチを挟み、圧力を分散する
  3. ハイソックスタイプで違和感がある方は、ストッキングタイプへの変更も検討しましょう

よくあるご質問(追加)

  • Q. 1日どのくらい着ければいい?
    A. 通常は朝から夕方までの8〜10時間程度が目安ですが、症状や目的により異なります。医師の指示に従いましょう。
  • Q. 毎日洗っても大丈夫?
    A. 洗濯ネットに入れ、中性洗剤で手洗いまたは洗濯機の弱モードで洗うのがおすすめです。乾燥機は避けてください。
  • Q. 何足持っておけば安心?
    A. 清潔に保つために最低2〜3足は持っておくと安心です。

まとめ|正しい使い方で効果を最大限に

弾性ストッキングは下肢静脈瘤の進行を抑えるための重要なサポートアイテムです。適切に選び、使うことで本来の効果を十分に発揮できます。一方で、間違った使い方をするとかぶれ・痛み・血流障害などのリスクも。

症状やライフスタイルに合わせて医師と相談しながら製品を選ぶことが大切です。気になることがあれば、当院までお気軽にご相談ください。

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