【医師監修】下肢静脈瘤の治療は何分かかる?手術時間と治療の質を徹底解説

下肢静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤の治療は30分で終わる?実際の手術時間と治療法を医師が解説

「下肢静脈瘤の治療って30分で終わるんですか?」——患者さんからよくいただくご質問です。この記事では、各治療法の実際の所要時間と治療の流れについて、下肢静脈瘤専門医が詳しくご説明します。

下肢静脈瘤とは何か?

下肢静脈瘤は、足の静脈の血液が逆流し、静脈が拡張・蛇行する病気です。単なる見た目の変化だけでなく、足の重だるさ・むくみ・夜間のこむら返り・皮膚の炎症など、日常生活に影響を及ぼす症状を伴います。

下肢静脈瘤の外見

下肢静脈瘤の外見

下肢静脈瘤の主な治療法と所要時間

実際の治療法とそれぞれの所要時間について比較してみましょう。

1. 圧迫療法(弾性ストッキング)

弾性ストッキングを使用し、足の血流を補助します。治療時間はかかりませんが、根本治療ではなく、継続的な使用が必要です。

弾性ストッキングの使用

弾性ストッキングの使用

2. 硬化療法

細い静脈瘤に硬化剤を注入して閉塞させる治療です。クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤の数や範囲によって所要時間は異なりますが、数~15分程度で終了します。

硬化療法の様子

硬化療法の様子

3. 血管内焼灼術(レーザー・高周波カテーテル治療)

カテーテルを使って血管内を焼灼する治療です。焼灼そのものは5分程度で終了しますが、ボコボコクネクネした静脈瘤の処置などを含めると片足あたり30〜60分程度が必要です。片足5分で終わるといった説明をする医師がいた場合、患者さんは誤解しやすいので注意が必要です。

4. 血管内塞栓術(グルー治療)

瞬間接着剤を血管内に注入して閉塞させる治療法で、15〜30分程度で終了します。局所麻酔で行え、術後の弾性ストッキングによる圧迫も不要なため、弾性ストッキングの着用が困難な高齢の患者さんに向いていると思います。

治療法ごとの比較表

治療法 所要時間 特徴
圧迫療法 日常的に着用 非侵襲的・予防的
硬化療法 5〜15分 外来可・軽症向け
血管内焼灼術 30〜60分 標準治療・日帰り手術
グルー治療 15〜30分 傷なし・圧迫不要

よくある質問(FAQ)

Q1. 本当に30分で治るのですか?

A.伏在静脈のみを対象としたシンプルなケースでは、レーザーカテーテルで約10〜15分、高周波カテーテルで約5〜10分、グルー治療で約5〜10分と、短時間で処置が完了することもあります。ただし、これはごく軽症の場合に限った「焼灼(または塞栓)そのもの」の時間であり、手術全体の時間とは異なります。

実際には、写真にあるような側枝のボコボコとした静脈瘤(側枝静脈瘤)を丁寧に処理するには、それなりの時間がかかります。このような側枝静脈瘤処置こそ、外科医の力量差が出るところです。

「伏在静脈だけ焼灼して側枝静脈瘤は放置された」という不満を持ち、当院にセカンドオピニオンで来院される患者さんも少なくありません。自覚症状や見た目が改善してこそ、患者さんにとって“満足のいく治療”だと私たちは考えています。

したがって、「たった5分で手術が終わる」といった説明をする医師には注意が必要です。短時間を売りにするのではなく、クオリティの高い治療こそが最も重要であり、結果として無駄な時間もかからないものです

下肢静脈瘤治療の所要時間

Q2. 両足同時に治療できますか?

A. 両足同日手術も可能ですが、状態によっては片足ずつ行うこともあります。医師の判断により適応が決まります。

Q3. 手術後はすぐに歩けますか?

A. はい。血管内焼灼術・グルー治療ともに日帰り手術(通院治療)で、術後すぐに歩くことができます。手術直後は静脈麻酔の影響で眠気を感じますが、15分程度休憩していただいたのちにご帰宅できます。

患者さんの声

50代・女性
「カテーテル手術は怖いと思っていましたが、手術中は眠っていたので安心でした。説明通り30分ほどで終わり、翌日から仕事もできて驚きました!」

まとめ

「30分で治る」という表現は、治療法によっては当てはまる部分もありますが、正確には術前後の工程も含めた時間が必要です。誤解のないよう、信頼できる専門医の診察と説明を受けてください。

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