下肢静脈瘤になりやすいお仕事ランキング(女性編)
今回の記事では下肢静脈瘤になりやすい女性のお仕事・業種についてランキング形式で解説いたします。目黒外科を受診した女性の患者さんの職業・業種についてアンケートを取りましたので、結果を発表したいと思います。
下肢静脈瘤になりやすい職業・業種ランキング
第5位 販売員
アパレルや化粧品などの販売員の方はお客様がいついらっしゃるか分かりませんので、お仕事中はずっと立ちっぱなしです。長時間立ちっぱなしのお仕事をされている方は、立っている時間の割には歩く歩数が少ないです。
歩数が少ないと、ふくらはぎの筋肉をあまり動かしませんので、足の静脈にたまった血液が心臓に流れていきません。
慢性的に足の静脈に血液がたまりっぱなしになると、静脈はゴムのように伸びてしまいます。
静脈には血液が重力で下に逆流しないための逆流防止弁が備わっていますが、
静脈が伸びてしまうと逆流防止弁も伸びてしまい、きちんと閉じなくなってしまいます。
その結果、足の静脈にはさらに血液がたまるようになるため
足のだるさ、足のむくみ、こむら返りなどの症状に始まり、
足の静脈瘤が浮き出てくる、湿疹・かゆみ、色素沈着など外見的な問題が出てきて
最悪の場合は足の皮膚が潰瘍になってしまうこともあります。
第4位 スーパーのレジ担当
スーパーのレジを担当されている方も長時間同じ場所で立ちっぱなしになる状況が多いと思います。
レジの狭いスペースの中で立ちっぱなしなので、ふくらはぎの筋肉を動かしません。
したがって、足の静脈にたまった血液が心臓に流れていきません。
慢性的に足の静脈に血液がたまりっぱなしになるので静脈瘤になりやすいお仕事と言えます。
第3位 看護師
看護師さんはじっと同じ場所で立ちっぱなしというシチュエーションは少ないですが、夜勤では16時間以上の連続勤務など長時間勤務の代表格です。
また、看護記録を付けたりカルテ入力など、デスクワークの時間も長いため、下肢静脈瘤になりやすいお仕事です。
第2位 美容師
美容師さんも狭い範囲で長時間立ちっぱなしのお仕事の典型です。みなさん足のむくみやだるさに耐えながら頑張っていらっしゃいます。
第1位 飲食業
下肢静脈瘤になりやすいお仕事ランキング、圧倒的第1位は飲食業の方です。給食センター、お弁当屋さんで働いていらっしゃる方、調理師の資格をお持ちの方もいらっしゃいますが、
ホールのお仕事をされている方もいらっしゃいます。
また、パティシエやパン屋さんもこの中に含まれます。
みなさんに共通していることは厨房の中で限られた範囲しか移動しないで長時間立ったままでいることです。
お店の営業時間以外にも仕込みや片付けなどの時間も含めると、日常的に1日10時間以上立ちっぱなしという状況です。
目黒外科に来院される男性の患者さんの実に半分は飲食業の方です。
つまり、飲食業の方たちにとって、下肢静脈瘤は職業病と言えます。
立ち仕事の方の下肢静脈瘤予防法
定期的に屈伸運動を行う
立ちっぱなしで足が棒のようになると、しゃがみたくなりますよね。これは屈伸をすることによりふくらはぎの筋肉が動くので、足の静脈にたまっている血液の流れが良くなるためです。
「足は第二の心臓」と呼ばれます。
これはふくらはぎの筋肉が血液を押し上げるポンプ作用のことを指しています。
背伸びの運動(つま先立ち)
お仕事中にしゃがむ事ははばかられる、という方はつま先立ちによる背伸びの運動が効果的です。この運動もふくらはぎの筋肉を動かすことになるため、足の静脈に溜まった血液の流れが良くなります。
アキレス腱伸ばし
アキレス腱伸ばしもふくらはぎの筋肉を良く動かすため、足の静脈にたまった血液の流れを改善するのにとても効果的です。弾性ストッキングの着用
弾性ストッキング(着圧ソックス)は医療用に作られたストッキングで、筋肉のポンプ作用と逆流防止弁の両方を強化してくれます。
弾性ストッキング(着圧ソックス)による圧迫療法は、
軽症から重症の方まであらゆる下肢静脈瘤の患者さんが手軽に始められる治療方法です。
弾性ストッキングの種類
立ち仕事の方にお勧めするのが弾性ストッキング(着圧ソックス)です。弾性ストッキング(着圧ソックス)は医療用に作られたストッキングで、
筋肉のポンプ作用と逆流防止弁の両方を強化してくれます。
弾性ストッキング(着圧ソックス)による圧迫療法は、
立ち仕事をしている方が下肢静脈瘤にならないように予防するのに効果的です。
ハイソックスタイプ
長所:3種類の中でもっとも着脱しやすい。値段が最も安い。 短所:太ももまでは圧迫することができない。
ストッキングタイプ
長所:太ももまで圧迫できる。 短所:ずり落ちやすい。ストッキングのずり落ち防止シリコンが施されている製品もありますが、かぶれることがあります。
パンストタイプ
長所:足全体が圧迫されるので静脈の血流改善には最も良い。 短所:着脱が大変。値段が最も高い。
どのタイプを履けばよいの?
弾性ストッキング(着圧ソックス)の目的はふくらはぎの筋ポンプ作用の補強ですので、最低限ふくらはぎが圧迫されていることが重要です。着脱のしやすさや価格などを考えると、ハイソックスタイプが第一選択となります。
足の圧迫する強さにより、弱圧・中圧・強圧があり、下肢静脈瘤の方は中圧タイプとなります。
足を圧迫すると血行が悪くなるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、ご安心ください。
弾性ストッキングは足首の圧迫圧が最も強く、上に行くにしたがって圧力が弱くなる構造(段階的圧迫法)になっています。
血液を下から上に押し上げてくれるため、静脈血のうっ滞を改善してくれます。
歯磨き粉やマヨネーズを押し出すようなイメージと思ってください。
Q.市販の着圧ソックスでも大丈夫ですか?
A.薬局などで売られている市販の着圧ソックスは、圧迫力が弱圧に相当します。圧迫療法の効果が弱くなりますので下肢静脈瘤の方は中圧ストッキングがよいでしょう。
ただし、弾性ストッキングが硬くて履けないという方は弱圧でも構いません。
Q.弾性ストッキングは硬くて履けないのですが。
A.初めて弾性ストッキングを履くとき「こんなにきつい靴下、履くのは無理」とおっしゃる方が多いです。しかし、毎日頑張って履き続けていれば少しずつ慣れてきます。
一度コツをつかんでしまえば苦手意識も薄れていきます。
弾性ストッキングはかかと部分が一番の難所です。
ストッキングを裏返してかかとまで入ってしまえばあとはそれほど難しくはありません。
それでもご自身でストッキングを履くのが難しいという方には、ストッキング着用補助具もあります。
弾性ストッキングの履き方の動画はこちら
下肢静脈瘤でお悩みの方は、下肢静脈瘤ひとすじ26年の専門クリニック目黒外科にご相談ください。