足の静脈瘤が破裂した?足から突然出血する原因と対策|専門医が解説

突然足から血が噴き出す?下肢静脈瘤の出血リスクと予防法

本記事は下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤 陽 医師が監修しています。

足に静脈瘤があると、「破裂してしまうのでは…?」と心配される方も少なくありません。しかし、静脈瘤そのものが破裂することは非常に稀です。ただし、静脈瘤のある方に見られるblue blebsという毛細血管瘤が突然出血することがあります。

この記事では、静脈瘤が破裂しない理由、blue blebsのリスク、予防と対処法について専門医の視点から詳しく解説します。

静脈瘤と動脈瘤の違い

名称が似ているため混同されがちですが、静脈瘤動脈瘤は全く異なる疾患です。
  • 動脈瘤 動脈の壁が動脈硬化により柔軟性がなくなり、高血圧により徐々に膨らんで最悪の場合は破裂します。緊急性の高い状態です。
  • 静脈瘤 足の表面近くを通る静脈が拡張し、血液が滞ることでボコボコと膨らむ状態です。静脈は圧力が低いため破裂するリスクは非常に低いです。

blue blebsとは?

blue blebsとは、足首付近の皮膚に青く目立つ毛細血管瘤のことです。拡張した細い血管が皮膚表面に浮き出ており、見た目にも目立ちます。

出血性静脈瘤(黄色矢印)

この部位に強い摩擦や圧迫が加わると、突然出血し、まるで血が噴き出すような状態になることがあります。一見「破裂」に見えるため多くの方が驚かれますが、これは静脈瘤本体ではなく、表面の毛細血管が破れて出血している状態です。

特に注意したいのが入浴中です。体を洗うときにblue blebsをこすってしまい、出血につながることがあります。また、寝ている間に無意識で足を掻いてしまい、気づかないうちに出血しているケースも少なくありません。

blue blebsの予防方法

blue blebsによる出血を防ぐためには、日々の生活習慣やケアがとても重要です。
  1. 弾性ストッキング(着圧ソックス)を活用 日中に医療用の弾性ストッキング(着圧ソックス)を着用することで血流を促進し、静脈瘤の進行やうっ血を予防します。
  2. 適度な運動 ウォーキングやかかとの上下運動、ストレッチを行い、ふくらはぎのポンプ機能を保つことで血流が改善します。
  3. 皮膚の保護 出血のリスクがある部位は、摩擦や刺激から守る工夫を。靴や靴下は締め付けないものを選び、洗浄はタオルでこすらず手で優しく洗いましょう。

出血してしまった場合の正しい対処法

blue blebsが破れて出血した場合は、落ち着いて以下の手順で対応しましょう。
  • 清潔なガーゼや布で軽く圧迫して止血する
  • 出血が止まったら、ガーゼ・綿球などを出血点に当ててテープまたは絆創膏を貼る
  • 血が噴き出すためビックリして焦ってしまいますが、静脈からの出血なので、落ち着いてピンポイントに10~15分圧迫を続けていれば血は止まります。それでも出血が止まらない場合は救急車を呼びましょう
実際に、出血に驚いて救急車を呼ぶ方は少なくありません。救急病院で止血などの処置を受けた後、翌日に紹介状を持って目黒外科を受診されるケースが多いです。根本的な止血のためにはレーザー治療硬化療法といった治療が必要となります。

まとめ|正しい知識で不安をなくす

足の静脈瘤そのものが「破裂」することはまずありませんが、blue blebsによる突然の出血は実際に起こり得ます。

このような出血は日々の予防で防げることが多く、適切なケアと受診で安心して過ごすことができます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 足の静脈瘤が破裂して血が噴き出ることはありますか?

A. 静脈瘤そのものが破裂することは稀ですが、blue blebsという毛細血管瘤から突然出血することはあります。

Q2. 出血したときは救急車を呼ぶべきですか?

A. 出血が止まれば救急搬送の必要はありませんが、当日または翌日には医療機関を受診しましょう。

Q3. 出血のリスクを減らすにはどうすればいいですか?

A. 着圧ソックスの着用、皮膚の保護、ふくらはぎの運動などが効果的です。摩擦を避ける日常の工夫も大切です。