妊婦さん必見!陰部静脈瘤とは?

陰部静脈瘤とは

今回の記事では陰部静脈瘤という特殊な静脈瘤をご紹介します。
陰部静脈瘤とは、股の付け根や太ももの裏側にできる静脈瘤です。

妊娠中にできることが多く、女性特有の静脈瘤といえます。

陰部静脈瘤の発生部位

通常の下肢静脈瘤の場合は大(小)伏在静脈や副伏在静脈ですが、

陰部静脈瘤の場合は子宮や卵巣など、骨盤内の静脈から発生します。

特に左卵巣静脈が好発部位です。

そのため骨盤内うっ滞症候群と呼ばれることもあります。

陰部静脈瘤の原因

妊娠中は赤ちゃんのいる子宮にたくさんの血液が行きわたるよう、女性ホルモンが増加します。

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、

妊娠中のこれら女性ホルモンの量は、妊娠していない時と比べて数十倍から100倍ほどに増加すると言われています。

エストロゲンやプロゲステロンにはは毛細血管を増やし、拡張させる作用があります。

妊娠後期になると子宮が大きくなり骨盤内の静脈が圧迫されるため、

足から流れてきた血液は静脈が圧迫されているために砂時計のように停滞しやすくなります。

すると血液は何とか心臓に戻ろうとしますので、渋滞を回避するために迂回する道路が必要になります。

その結果、子宮や卵巣付近の毛細血管が発達するようになります。

以上のような原因が重なり、子宮や卵巣の周りには拡張した毛細血管が発達して陰部静脈瘤が発生します。
発生した陰部静脈瘤はお尻や陰部から体表に出てきて太ももの裏側に伸びていくことが多いです。

そのため血液中の老廃物が陰部静脈瘤を通じてお尻や太ももに戻って来るのです。

陰部静脈瘤の症状

お尻や陰部、足の痛みだるさが主な症状です。

生理が来るたびに子宮や卵巣への血流が増加するため、陰部静脈瘤への血流も増えます。

そのため、生理中は症状が強くなります

反対に、閉経になると症状が軽くなります。

陰部静脈瘤の治療方法

陰部静脈瘤に硬化剤というお薬を注入して静脈瘤を止めてしまう硬化療法が一般的です。

泡状にした硬化剤を陰部静脈瘤に注射します。

すると硬化剤に触れた静脈に炎症が生じます。

炎症を生じた静脈内には血栓ができ、足に弾性包帯を巻くことにより陰部静脈瘤は圧迫されます。

血栓ができた状態で48時間圧迫された陰部静脈瘤は血液が流れなくなります。

その後数か月かけて陰部静脈瘤は徐々に消失していきます。

陰部静脈瘤には血液が流れ込んでくることがなくなるため、足のだるさや痛みなどの症状が改善します。

硬化療法は5分ほどで終了しますが、陰部静脈瘤は静脈が網目のように張りめぐらされているため、一時的に症状が改善しても再び症状がぶり返すことがあります。

また、陰部静脈瘤が3mm以上と太い場合は硬化療法だけでは治療が難しい場合があります。

そのようなケースではレーザーカテーテルによる血管内焼灼術を行うこともあります。

それでも症状が強く、左卵巣静脈から発生する骨盤内の静脈瘤に対しては、首の静脈からカテーテルを挿入し、左卵巣静脈に金属製のコイルで静脈瘤に血液が流れなくする方法もあります。

硬化療法、血管内焼灼術などは痛そうでこわい、という方は漢方薬の桂枝茯苓丸をお勧めします。

 

陰部静脈瘤の予防方法

妊娠がきっかけとなる陰部静脈瘤です。

妊娠期間中を通して弾性ストッキングの着用を続けることが予防になります。

マタニティ用の弾性ストッキングがありますが、ハイソックスタイプの弾性ストッキングでも効果的です。

陰部静脈瘤にお悩みの方は、下肢静脈瘤ひとすじ26年の専門クリニック目黒外科にご相談ください。