下肢静脈瘤を放置するとどうなる?うっ滞性皮膚炎や血栓症のリスクを専門医が解説

放置すると危険?下肢静脈瘤の合併症とリスクとは

この記事は下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤陽 医師が監修しています。

下肢静脈瘤は、見た目の問題だけでなく、進行するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。特に注意が必要なのが、うっ滞性皮膚炎による湿疹色素沈着といった皮膚のトラブルです。今回のブログでは、下肢静脈瘤による代表的な合併症とそのリスクについて、医師の視点で詳しく解説します。

1. うっ滞性皮膚炎と湿疹

血液の流れが悪くなると、血管周囲の皮膚に炎症が起き、これを「うっ滞性皮膚炎」と呼びます。皮膚が乾燥し、かゆみや湿疹が現れます。慢性化すると皮膚が硬く変化し、進行性の病変となるため、早期のケアが必要です。

下肢静脈瘤による湿疹

2. 色素沈着と皮膚潰瘍

うっ滞性皮膚炎が続くと、皮膚に黒ずみ(色素沈着)が現れます。これは血液中の赤血球成分が皮膚に漏れ出し、ヘモジデリンとして沈着するためです。色素沈着は完全に消えにくいのが特徴で、皮膚潰瘍に進行する可能性もあります。

うっ滞性皮膚炎による色素沈着と皮膚潰瘍

3. 皮膚脂肪硬化

うっ滞性皮膚炎が進行すると皮膚や皮下脂肪に炎症が広がり皮膚脂肪硬化を引き起こすことがあります。皮膚の硬化・赤み・腫れ・痛みが出現し、重症化すると皮膚の潰瘍になる場合もあります。

うっ滞性皮膚炎による皮膚脂肪硬化

4. 血栓性静脈炎

更には静脈瘤に血栓が生じ、急に足が腫れて痛みや発赤が出現する血栓性静脈炎を起こすことがあります。

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合併症の進行ステージ(例)

進行段階主な症状
軽症クモの巣状静脈瘤・網目状静脈瘤
中等度足の静脈瘤が浮き出る・足のだるさ・こむら返り・むくみ
重症色素沈着・皮膚脂肪硬化
最重症皮膚潰瘍

早期治療の重要性

これらの合併症を予防するには、下肢静脈瘤の早期治療が重要です。初期段階で適切な処置を受けることで、色素沈着や皮膚潰瘍のリスクを大幅に減らせます。

日常生活でできるセルフケアとしては、足を高く上げる・弾性ストッキングを着用する・軽い運動を習慣にするなどがあります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 色素沈着は治りますか?
A. 治療後に新たな色素沈着の進行は止められますが、既存の色素沈着は完全に消すのが難しいことが多いです。
Q2. 血栓性静脈炎のサインはありますか?
A. 足の赤み、痛み、腫れ、熱感などが出た場合は血栓性静脈炎の可能性があるため、早急に医療機関を受診してください。
Q3. 下肢静脈瘤の治療は保険適用されますか?
A. はい。レーザー治療など多くの治療は保険適用で受けることが可能です。詳しくは医療機関にご確認ください。