足のかゆみが治らない?もしかしたら下肢静脈瘤かもしれません

下肢静脈瘤と足のかゆみの関係について理解しよう

下肢静脈瘤は足の血管が太くなり、うねるように見える病気です。この病気は足のだるさ、むくみ、こむら返りなどが主な症状ですが、時に足のかゆみなどの不快な症状を引き起こすことがあります。このブログでは、下肢静脈瘤と足のかゆみの関係について解説します。

下肢静脈瘤の原因

下肢静脈瘤は、足の血管の壁が弱くなり、血液がうまく流れなくなることで起こります。通常、血液は心臓から足に向かって流れ、再び心臓に戻るように循環します。しかし、静脈の弁が正しく機能しないと、血液が足に滞留し、静脈が拡張してしまいます。これが下肢静脈瘤の主な原因です。

下肢静脈瘤と足のかゆみとの関係

下肢静脈瘤があると足の血液循環が悪くなります。その結果、足の皮膚に栄養が十分に届かず、乾燥やかゆみを引き起こすことがあります。また、血液の滞留は皮膚の炎症を引き起こし、かゆみをさらに悪化させる可能性があります。

さらに、下肢静脈瘤によって皮膚の毛細血管の圧力が高まるため内出血しやすくなり、内出血が繰り返されると皮膚に色素沈着が見られるようになります。

これらの症状は「うっ滞性皮膚炎」といいます。うっ滞性皮膚炎は様々な皮膚トラブルを引き起こすやっかいな病気です。その特徴は2つあります。

うっ滞性皮膚炎の厄介な点

色素沈着が治りにくい
皮膚の色素沈着は、下肢静脈瘤を治療したあとでもなかなか治りません。特に女性の場合は外見的なコンプレックスとなり、スカートが履けなくなるなど大きな悩みの原因となってしまいます。
かゆみも治りにくい
2つ目は、かゆみ止めを塗ってもかゆみが治らないという点です。その理由は、かゆみの原因が皮膚にあるのではなく静脈の血流にあるためです。かゆみが治りにくいことから経過が長くなり、皮膚を掻き壊してしまうことが多く、皮膚にできたひっかき傷が皮膚潰瘍に移行しやすいことも大きな問題です。そのため、これらの症状が見られた場合はすみやかに専門医を受診しましょう。

 

予防と対策

下肢静脈瘤と足のかゆみを予防するためには、血液循環を良くすることが重要です。適度な運動、長時間同じ姿勢を避ける、ということが望ましいですが、それが難しい場合は弾性ストッキング(着圧ソックス)を履くことを習慣化しましょう。

また、保湿クリームを使用して皮膚を乾燥から守ることも大切です。足のかゆみがひどい場合や下肢静脈瘤が進行している場合は、セルフケアだけで様子を見ることはせず、速やかに専門医を受診しましょう。

何科を受診すればよい?

下肢静脈瘤の診療は心臓血管外科または血管外科が一般的です。お近くに心臓血管外科のある医療機関がない場合は、まずは皮膚科を受診しましょう。

まとめ

下肢静脈瘤は足の血管の問題であり、足のかゆみを引き起こすことがあります。このような状態を「うっ滞性皮膚炎」といいます。足のかゆみの原因は皮膚ではなく血流に問題があり、なかなか治りにくいです。かゆみによる皮膚のひっかき傷が皮膚の潰瘍に悪化しやすく、非常に厄介です。皮膚のくろずみ・色素沈着もなかなか治りにくいです。

患者さんはみな口をそろえて「もっと早く受診すればよかった」と言います。この記事をお読みいただいている方もそうならないように、できるだけ速やかに専門医を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。