下肢静脈瘤が原因で足がかゆくなるって本当?
「最近、足の血管が浮き出ているし、なぜか足がかゆくなる…」と感じている方は、もしかしたら下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)が原因かもしれません。
下肢静脈瘤は足の血管が太くなり、こぶのように浮き出る病気で、足のだるさやむくみ、こむら返りなどの症状を起こしますが、実は「かゆみ」を引き起こすこともあるんです。
なぜ下肢静脈瘤ができるの?
下肢静脈瘤ができるのは、血液が足に溜まってしまうためです。本来、血液は足から心臓へと戻る仕組みですが、静脈の弁が壊れると、うまく心臓へ戻れなくなります。その結果、足の血管が膨らんでしまうのです。
下肢静脈瘤と足のかゆみの意外な関係
下肢静脈瘤があると、血液が足に滞ってしまうため皮膚に十分な栄養が届かなくなります。すると皮膚が乾燥したり、炎症が起こったりしてかゆみが出やすくなります。
さらに、毛細血管の圧力が高まることで内出血が起きやすくなり、色素沈着(皮膚の黒ずみ)を引き起こすこともあります。これらの症状を「うっ滞性皮膚炎」と呼びます。
うっ滞性皮膚炎の2つの厄介な特徴
① 色素沈着(黒ずみ)がなかなか治らない
皮膚にできた色素沈着(黒ずみ)は、下肢静脈瘤を治療すると薄くなります。しかし、完全には消えません。特に女性にとってはスカートを履けないなど、美容面での悩みにつながってしまいます。
② かゆみが治りにくく皮膚トラブルが続く
もう一つの問題は、かゆみ止めを塗っても症状が改善しないこと。これは原因が皮膚の表面ではなく血液循環の問題にあるためです。かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、皮膚が傷つき、最悪の場合は皮膚潰瘍(皮膚のただれ)になってしまうこともあります。そのため、症状があれば早めに専門医に相談するのがおすすめです。
足のかゆみや静脈瘤を予防する方法
下肢静脈瘤や足のかゆみを予防するには、足の血行をよくすることが一番の対策です。
- 適度に歩くなどの運動を心がける
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 弾性ストッキング(着圧ソックス)を使用する
- 保湿クリームで皮膚を乾燥から守る
もし症状が悪化している場合は、自己判断でケアを続けるより、早めに専門医の診察を受けましょう。
下肢静脈瘤は何科に相談すればいい?
下肢静脈瘤の治療は、心臓血管外科や血管外科が専門です。お近くに専門クリニックがない場合は、まずは皮膚科で診察を受けてみてください。ただし、皮膚科の先生は下肢静脈瘤の専門家ではありません。すぐに下肢静脈瘤の専門医を紹介してくださる先生もいれば、かゆみ止めと保湿剤を漫然と処方し続ける先生もいます。1か月経過を見て症状が改善しない場合は、自力で下肢静脈瘤専門クリニックを探しましょう。
まとめ
下肢静脈瘤は足の血管だけでなく、皮膚のかゆみや黒ずみを引き起こすこともある病気です。患者さんの多くは「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃいます。あなたも気になる症状があれば、ぜひ早めに下肢静脈瘤の専門医に相談してください。