秋冬こそ最適!下肢静脈瘤の硬化療法

硬化療法とは

下肢静脈瘤の硬化療法は、下肢静脈瘤の治療方法のひとつです。主にクモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤と呼ばれる毛細血管タイプの静脈瘤や、比較的小さめの浮き出た静脈瘤が対象です。硬化療法の目的は、静脈瘤の外観を改善し、それに伴う症状(痛みや重だるさなど)を軽減することです。

硬化療法は、以下の手順に従って治療が行われます。

1. 薬剤の注入

硬化剤(薬品名:ポリドカスクレロール)という薬を静脈瘤に直接注入します。この薬剤は、静脈の内壁に炎症を引き起こし、血液を固まらせます。

2. 静脈の閉塞

硬化剤による炎症反応によって血液が固まり、さらに静脈瘤の内壁が癒着して静脈が閉塞します。血液が流れなくなった静脈は線維化しておよそ半年程度で退縮・消失します。

3. 圧迫と回復

硬化剤の注入後、弾性包帯や弾性ストッキングを用いて圧迫を加えることで、治療された静脈が閉じていることを保ちます。これにより治療効果が高まり、静脈瘤の再発を防ぐ助けとなります。

硬化療法は通常、外来手術として行われ、麻酔の必要はありません。治療後も日常生活にすぐに戻ることが多いですが、医師の指示に従って一定期間は激しい運動を避けたり、弾性ストッキングを着用する必要があります。

効果は個人差があり、一度の治療で改善が見られない場合は、数回にわたって硬化療法を受ける必要があることもあります。また、静脈瘤の種類や大きさ、位置によっては硬化療法が適さない場合もあるため、治療法を決定する前に専門医と相談することが重要です。

硬化療法を行う最適な時期(季節)は?

下肢静脈瘤の硬化療法は一般的に秋から冬に行うことが推奨されます。主な理由は以下の通りです。

1. 快適な回復期間

秋から冬は湿度・気温が低いため、治療後に必要となる弾性ストッキングや包帯を着用しても比較的快適です。夏場だと暑さや湿度による不快感が増し、汗が原因で皮膚トラブルが起こりやすくなる可能性があります。

2. 紫外線への露出の減少

紫外線は皮膚に様々な影響を及ぼします。硬化療法後の皮膚には色素沈着が見られることがあり、特に紫外線の影響で色素沈着が消えにくくなる可能性があります。秋から冬は日照時間が短く、紫外線の強度も低いため、治療部位を紫外線から守りやすくなります。

3. 目立ちにくい

治療後はしばらく静脈の変色や腫れが残ることがあります。厚着で体を覆うことが多い秋から冬なら、これらの一時的な変化を人目を気にせずに過ごすことができます。

4. 長期的な計画

硬化療法後は数週間から数ヶ月にわたって経過観察や追加の治療が必要になることがあります。秋から冬に治療を開始すれば、夏に向けて見た目や静脈瘤の症状が改善されることを期待でき、夏には短パンやスカートを心配なく着用できるでしょう。

ただし、治療を受ける際は、患者さんの状態やライフスタイルに合わせて、医師と相談して最適な時期を選ぶことが大切です。