
【医師監修】着圧ソックスは寝るときに履いてもいい?効果と注意点を徹底解説
「着圧ソックスは寝るときに履いてもいいの?」「逆によくないって聞いたけど本当?」そんな疑問を持つ方に向けて、下肢静脈瘤専門医が医学的な視点から、着圧ソックスと夜間着用の是非、正しい使い方をわかりやすく解説します。
寝るときに着圧ソックスを履いても大丈夫?
結論から言えば、圧力が軽めの製品であれば、寝るときに着用しても基本的に問題はありません。ただし、本来の目的である血流サポートの効果を最大限に発揮するのは、重力のかかる日中です。この事を是非覚えておいてください。就寝中は、足と心臓の高さがほぼ同じになるため、自然と血液が戻りやすくなり、日中ほどの圧迫は必要とされません。したがって、むくみ・下肢静脈瘤の予防目的であれば、日中の着用が基本となります。

寝るときに履くとよくないって本当?
「着圧ソックス 寝るとき よくない」という検索ワードが多く見られますが、これは一部のケースに当てはまる警告です。たとえば、医療用の中〜高圧(30mmHg以上)の製品を、医師の指導なく夜間使用すると、足の血流が過剰に圧迫されることがあります。また、糖尿病や閉塞性動脈硬化症など、足の動脈硬化による血流障害のある方は自己判断での着用は避けるべきです。
実際に当院でも、夜間の違和感やしびれを訴えて来院される方の中に、合っていない圧迫力の着圧ソックスを使用していたケースがあります。
本当に効果があるのは“日中”の着用
立ちっぱなしや座りっぱなしの時間が長くなる日中は、重力によって足の静脈に血液が下がりやすくなり、静脈の弁が弱くなっている人ほど血液が滞留しやすくなります。その結果、むくみ、足のだるさ、静脈瘤の形成といった症状が進行しやすくなります。この時間帯に着圧ソックスを使用することで、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧をかけ、血液の逆流を防ぎながら心臓への血流をサポートできます。これにより、下肢静脈瘤の進行を予防し、夕方にかけて悪化するむくみやだるさを軽減できるため、特に長時間立ち仕事やデスクワークの方には非常に効果的です。

医療用と市販の着圧ソックスの違い
市販の着圧ソックスは、主に10〜20mmHg程度の軽圧設計で、軽度のむくみ予防や美容目的に使われています。対して、医療用の着圧ソックスは20〜40mmHg以上の段階的圧迫設計で、静脈弁の機能低下による血液逆流や皮膚症状が進行している方に適しています。医療用ソックスはサイズ・圧力が合っていないと逆効果になるため、医療機関で足囲や足首周径を測定したうえで処方・購入するのが安全です。
着圧ソックスの正しい使い方と注意点
基本的には、朝起きてすぐ(むくみが少ない状態)に着用し、夕方まで履くのが効果的です。帰宅後は脱いで足をリラックスさせましょう。夜寝るときに着用する場合は、冷え性対策や心理的安心感を目的とした、低圧で柔らかい素材の製品を選びましょう。ただし、むくみや静脈瘤の改善を狙うなら、あくまでも日中の使用が主軸となります。
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当院でのアドバイス
当院では、下肢静脈瘤やむくみに悩む患者さまに対して、症状や生活スタイルに合った着圧ソックスの種類・圧迫力・使い方を丁寧にご説明しています。「市販品で十分か?」「夜履いてもよいか?」「夏場はどうするか?」といった質問にも、専門医が医学的な見地から的確にアドバイスいたします。
まとめ:着圧ソックスは日中が基本。寝るときは目的を明確に
着圧ソックスは下肢静脈瘤や足のむくみ対策に有効な医療サポーターです。本来の効果を発揮するのは日中の使用であり、夜間は用途や体質に応じて慎重に選ぶ必要があります。
目的と使用時間を明確にし、自分に合った使い方をすることで、より快適で健康的な生活が送れるでしょう。
下肢静脈瘤や足の不調でお悩みの方は、下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」までお気軽にご相談ください。
