
立ち仕事で足がつらい方必見|静脈瘤と職業病の関係と対策を医師が詳しく解説
監修:下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」 院長 齋藤 陽 医師(2020年〜2024年 下肢静脈瘤レーザー手術件数 日本最多)下肢静脈瘤とは?働き方と密接な関係が
足の静脈瘤は、血液を心臓に戻す静脈の働きが弱まり、血液の逆流が起こることで静脈が膨らむ病気です。特に立ち仕事や長時間同じ姿勢をとる職業の方に多く見られるため、「職業病」とも呼ばれています。足の血管がボコボコと浮き出るほか、だるさやむくみ、痛みなどの症状が現れます。
下肢静脈瘤になりやすい職業と理由
立ち仕事を続けると、重力の影響で足の静脈に血液が溜まりやすくなり、静脈弁が機能不全を起こします。以下のような職業では、そのリスクが特に高まります。- 飲食業:長時間立ちっぱなしのホールスタッフや調理人は常に足に負担がかかります。
- 販売・サービス業:レジや接客業務に従事する方は動くことが少なく血流が滞りがちです。
- 医療従事者:看護師や医師などもシフト中に座る機会が少なく、発症率が高い傾向にあります。
- 製造業:ライン作業など同じ姿勢を保つ作業も静脈瘤のリスク因子です。
職業病としての静脈瘤予防法
発症を予防するには、日々のちょっとした工夫が大切です。- 定期的に足を動かす:つま先立ちやかかと上げを1時間に数回行うだけでも効果があります。
- 弾性ストッキングの活用:医療用ストッキングは段階的圧迫で血流を助けます。自分に合った圧力を選びましょう。
- 足を高くする習慣:休憩中や帰宅後、クッションなどで足を心臓より高く保つと効果的です。
- 適度な運動:ウォーキングやストレッチを日常に取り入れましょう。

症状が進行した場合の影響
放置すると、足のだるさや重さに加え、むくみや痛みが慢性化します。さらに進行すれば、皮膚の色素沈着、湿疹、潰瘍などの皮膚トラブルに繋がり、立ち仕事そのものが困難になることもあります。早めの対処が重要です。
下肢静脈瘤の治療法|現代医療の選択肢
症状や進行度に応じて、以下のような治療法があります。- 硬化療法:注射によって静脈を閉塞させる方法。軽度の症例に適応されます。
- レーザー治療・高周波治療:静脈内にカテーテルを挿入し、熱で静脈を焼灼。再発率が低く日帰り可能。
- グルー治療:医療用接着剤を用いる新しい治療。麻酔や圧迫が少なく、回復も早いのが特徴です。
まとめ|立ち仕事の方は特に早めの対策を
下肢静脈瘤は、日常生活や仕事に支障をきたす前に予防と対策を行うことが大切です。症状が軽いうちに専門医へ相談することで、早期発見・早期治療が可能になります。目黒外科では、日帰りでのレーザー治療を中心に、痛みや傷跡を最小限に抑えた治療を提供しています。まずはお気軽にご相談ください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 下肢静脈瘤は自然に治りますか?
A1. 一度拡張してしまった静脈は自然に元に戻ることはありません。静脈瘤は、血管内の弁が壊れたり弱くなったりすることで血液が逆流し、静脈が異常に拡張して生じるものです。この状態になると、弁の機能は回復せず、拡張した血管も元の状態に戻ることはないため、自然治癒は期待できません。放置すると症状は少しずつ進行し、むくみやだるさ、色素沈着、皮膚潰瘍といった合併症を引き起こすこともあります。静脈瘤は軽度のうちに発見し、適切な治療を受けることで、生活の質を保ち、将来的なトラブルを予防することが可能です。違和感を感じた時点で専門医に相談することをおすすめします。
Q2. 弾性ストッキングは毎日使うべきですか?
A2. 立ち仕事や長時間の座位が多い方は、日中に弾性ストッキングを着用することで、下肢静脈瘤の予防や進行抑制に効果が期待できます。弾性ストッキングは、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、静脈内の血流をサポートし、血液のうっ滞を防ぐ医療用のサポート用品です。特に立ち仕事やデスクワークなどで同じ姿勢が続く方は、静脈弁に負担がかかりやすく、血液が足にたまりやすい状態になります。日中の活動中に着用することで、血液を心臓に戻すポンプ機能(ふくらはぎの筋肉ポンプ)を補助し、症状の悪化を防ぐことができます。

就寝中の着用は基本的に推奨されていませんので、日中のみの使用を習慣化しましょう。圧迫力の強さやサイズは人によって異なるため、症状がある方は医師に相談して適切な製品を選ぶことが大切です。
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Q3. 治療後すぐに仕事に復帰できますか?
A3. レーザー治療やグルー治療は身体への負担が少ない日帰り手術であり、多くの患者さんが翌日から仕事や日常生活に復帰されています。これらの治療法は、皮膚を切開することなく、カテーテルを用いて静脈内から閉塞処置を行うため、傷跡が残らず、痛みや腫れも最小限に抑えられます。局所麻酔と静脈麻酔を併用することで、手術中の痛みや不安もほとんどありません。手術当日は安静が必要ですが、翌日以降は無理のない範囲で通常の生活に戻ることが可能です。特にデスクワークや軽作業であれば支障がないことが多く、通院や入院の必要もないため、忙しい方でも治療を受けやすいのが大きな利点です。
