ふとももやふくらはぎの血管が赤紫になるのはどうして?くもの巣状静脈瘤

くもの巣状静脈瘤って何?-ふとももに見られる赤紫の変化について

太もも・ふくらはぎ・足首などに赤紫色の血管が現れて気になる方はいらっしゃいませんか?それは、くもの巣状静脈瘤(じょうみゃくりゅう)かもしれません。今日は、このくもの巣状静脈瘤について、わかりやすく説明します。

くもの巣状静脈瘤って何?

くもの巣状静脈瘤は、静脈(血液が心臓に戻る血管)の一種です。正常な静脈は、血液をスムーズに心臓に送り返す役割があります。しかし、くもの巣状静脈瘤では、血液の流れがうまくいかず、血管が広がってしまい、皮膚の表面近くで赤紫色の網目のような模様が見えることがあります。これがまるでくもの巣のように見えることから、この名前がつけられました。

くもの巣状静脈瘤の原因

くもの巣状静脈瘤ができる原因は女性ホルモンです。女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類がありますが、そのどちらも血管拡張作用があります。毎月生理周期によって女性ホルモンが分泌されますが、必ずしも毎月同じ量が分泌されるわけではなく、分泌量の多い場合は足の皮膚の毛細血管にまで影響が及んで太く成ってしまいます。これがくもの巣状静脈瘤の発生原因です。特に妊娠すると女性ホルモン分泌量は更に増加しますので、最もくもの巣状静脈瘤の発生しやすくなります。

くもの巣状静脈瘤は見た目だけの問題?

多くの人にとって、くもの巣状静脈瘤は見た目の問題であり、痛みや他の症状を引き起こさないことがほとんどです。しかし、中には皮膚のチリチリ・チクチクとして痛みや灼熱感を感じる人もいます。そのため、見た目が気になる、または不快な症状がある場合は、専門医に相談してみましょう。

くもの巣状静脈瘤の予防や対策はある?

くもの巣状静脈瘤の原因は女性ホルモンの分泌にあることから、残念ながら有効な予防法も対策法もないというのが実情です。くもの巣状静脈瘤が見た目として気になる場合や不快な症状がある場合は専門医と相談の上、治療を検討しましょう。

くもの巣状静脈瘤を放置するとどうなる?

くもの巣状静脈瘤は皮膚の毛細血管が拡張したもので、放置しても巨大化することはありません。毛細血管のままですのでご安心ください。

くもの巣状静脈瘤の治療

硬化療法(健康保険)

極細の注射針を使い硬化剤という特殊なお薬をくもの巣状静脈瘤に注射します。注射して数か月かけてくもの巣状静脈瘤が徐々に薄くなっていきます。

メリット
健康保険の適用となるためレーザー照射と比べて治療費は安い。1回あたりの治療費は1万4000円弱(3割負担の場合)です。

デメリット
  • 色素沈着がおこることがあります。
  • くもの巣状静脈瘤が細すぎる場合は硬化剤の注射が難しい。
  • 施術後に弾性包帯を巻くため、施術当日は入浴できない。

レーザー照射(自費診療)

皮膚の表面からくもの巣状静脈瘤に対してレーザー光線を照射します。

メリット
  • 硬化療法に比べて色素沈着が少ない。
  • 施術後に弾性包帯を巻かなくて済むので夏でも治療が可能。
  • 細いくもの巣状静脈瘤でも施術が可能。
デメリット
  • 健康保険で治療を行う硬化療法と比べると治療費がやや高くなります。
  • 1回の治療ではくもの巣状静脈瘤は消えないので数か月ごとの治療を5~6回繰り返す必要があります。
  • 皮膚の熱傷を起こすリスクがあります。

まとめ

くもの巣状静脈瘤は、ふとももや他の部分の皮膚表面に赤紫色の網目模様が現れる状態です。見た目の問題だけでなく、場合によっては不快な症状を引き起こすこともあります。見た目や気になる症状がある場合は、専門医に相談しましょう。