下肢静脈瘤の硬化療法と色素沈着

硬化療法と色素沈着

下肢静脈瘤の硬化療法はクモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤などの毛細血管タイプの静脈瘤や、比較的小さめのボコボコ静脈瘤に対して行われる治療法です。

硬化療法を行うと必ずと言っていいほど見られるのが皮膚の色素沈着です。

下肢静脈瘤の硬化療法後に皮膚に色素沈着が見られるのは、治療によって引き起こされる血液成分の変化や炎症反応によるものです。具体的には、以下のプロセスが関与しています。

1. 血液成分の漏出

硬化療法は、静脈内に薬剤を注入し、静脈壁を刺激して炎症を起こさせ、最終的に静脈を閉塞させる治療方法です。この過程で静脈内の血液が固まり血栓が生じます。また、静脈の内側の壁には炎症が起こりますので、血液成分が静脈周囲の組織に漏れ出ることがあります。

2. ヘモジデリンの沈着

漏れ出た血液成分の中にはヘモグロビンが含まれており、これが分解される過程でヘモジデリンという色素が生成されます。ヘモジデリンは皮膚に沈着し、茶色や黒っぽい色素沈着を引き起こすことがあります。

3. 長期的な炎症

硬化療法による炎症は、治療後もしばらく続くことがあり、これが色素沈着を促進する可能性があります。特に炎症が長引くとメラニン産生細胞が刺激され、皮膚の色がさらに黒ずむことがあります。

色素沈着対策

硬化療法後に色素沈着が生じた場合、色素沈着が見られる部位に注射針を刺します。すると静脈瘤内の血栓が除去され色素沈着が軽減します。

一般的に、このような色素沈着は時間が経つにつれて徐々に薄くなることが多いですが、最低でも1年はかかります。場合によっては永続的に残ることもあります。色素沈着のリスクを最小限に抑えるためには、治療を受ける際には経験豊富な専門医を選び、事前に色素沈着を含めた合併症について説明を受け納得した上で治療を受けるようにしましょう。