【医師監修】ピルで血栓ができる?経口避妊薬と静脈血栓症のリスクと注意点を解説

深部静脈血栓症

【医師が解説】ピルと静脈血栓症の関係とは?服用時に知っておきたいリスクと対策

経口避妊薬(いわゆるピル)は、避妊や生理不順、月経困難症の改善など多くの女性にとって重要な治療薬です。しかし、ピルを服用することで静脈血栓症という命に関わるリスクがあることをご存じでしょうか?

この記事では、経口避妊薬と静脈血栓症の関係について、医師の視点からわかりやすく解説します。特に服用開始直後や再開時のリスク、症状の見分け方、注意すべきポイントについて丁寧にご紹介します。

経口避妊薬(ピル)とは?

経口避妊薬は、女性ホルモンであるエストロゲンプロゲステロンを含む薬で、排卵を抑制し妊娠を防ぐ効果があります。主に避妊目的で使われますが、生理不順やPMS(月経前症候群)、ニキビ治療などにも処方されます。

ピルのイメージ

静脈血栓症とは?

静脈血栓症とは、血液が固まって血管内に血栓(血の塊)ができてしまう病気です。特に脚の深部静脈(ふくらはぎや太もも)にできる血栓は、肺血栓塞栓症に発展すると命の危険もあります。

なぜピルで血栓ができやすくなるの?

ピルに含まれるエストロゲンは、次のようなメカニズムで血栓リスクを高めます。

血液凝固因子の変化

  • 凝固因子の増加: 第VII、第VIII、第X、フォン・ウィレブランド因子が増え、血液が固まりやすくなります。
  • 抗凝固因子(プロテインC/S)の減少: 血液をサラサラに保つ物質が減り、バランスが崩れます。

静脈血栓症の代表的な症状

以下のような症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。

  • 片足だけのむくみや痛み、ふくらはぎの違和感
  • 足の赤みや熱感
  • 息切れ・呼吸困難
  • 胸の痛み(深呼吸時に増悪)
  • 咳や血痰

足のむくみや赤みのイメージ

リスクが高まるタイミング

服用開始から3か月以内

  • ホルモン環境の急激な変化により血栓リスクが急上昇
  • 凝固因子の増加が顕著
  • 体が慣れるまでの「適応期間」には特に注意

ピルを中止して再開したとき

  • ホルモン変化が再び起こり、リスクが再上昇
  • 一度正常化した凝固系が再度刺激される
  • 服用再開後の数ヶ月は再び警戒が必要

ピル服用時に注意すべきこと

  • 必ず医師の指導のもとで使用する
  • 喫煙・肥満・高血圧・40歳以上の方は特に注意
  • 定期的な健診を受け、血栓症状の早期発見を

まとめ

経口避妊薬は多くの女性にとってメリットの大きい薬ですが、服用初期や再開時は静脈血栓症のリスクが高まります。リスクを正しく理解し、症状があればすぐに受診することが大切です。

目黒外科外観


よくある質問(FAQ)

Q1. ピルを飲むと必ず血栓ができますか?
A. いいえ。発症率は1万人に数人程度ですが、喫煙や高血圧などのリスク因子があると確率は高くなります。
Q2. 血栓ができたことにすぐ気づけますか?
A. 初期症状が軽いため見逃しやすいですが、片足の腫れや痛み、呼吸苦がある場合はすぐに受診してください。
Q3. ピルは中止すればリスクはなくなりますか?
A. 中止後数週間でリスクは低下しますが、再開時には再びリスクが上がるため注意が必要です。

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