【専門医が解説】加圧トレーニングは下肢静脈瘤に危険?リスクと正しい運動法を紹介

【専門医監修】下肢静脈瘤の人に加圧トレーニングは危険?リスクと注意点を解説

この記事は、下肢静脈瘤治療歴28年・年間1,000例以上の治療実績を持つ、目黒外科院長・齋藤陽医師(医療法人社団トリプルウィン)が監修しています。

加圧トレーニングとは?

加圧トレーニングは、専用ベルトで腕や脚に適度な圧力をかけ、血流を制限した状態で筋力トレーニングを行う方法です。軽い負荷で効果的に筋肉を鍛えられることから、ダイエットやリハビリ目的でも注目されています。

下肢静脈瘤の人に加圧トレーニングは安全か?

下肢静脈瘤は、脚の静脈弁が壊れて血液が逆流し、血流が滞る病気です。すでに血流障害がある状態で加圧トレーニングを行うことは、さらなるリスクを伴う可能性があります。

下肢静脈瘤の画像

リスクが考えられるポイント

  • 血流制限のリスク:静脈瘤により血液が滞留しやすくなっている中で、加圧によってさらに血流が制限されると症状が悪化する恐れがあります。
  • 静脈弁への負担:加圧による圧力がすでに壊れた弁に過度な負荷をかけ、逆流やむくみを助長する可能性があります。

一方で考えられるメリット

適切な指導のもとで行えば、軽い負荷で筋力維持が可能な点は大きな利点です。高負荷トレーニングよりも身体への負担が少なく、術後の体力回復を目的とする場合には選択肢となることもあります。

加圧トレーニングを行う前の注意点

  1. 必ず医師に相談する 静脈瘤の状態や進行度に応じてトレーニング可否が異なります。自己判断は避け、医師の診察を受けましょう。
  2. 専門トレーナーの指導を受ける 加圧トレーニングは正しい知識と技術が必要です。自己流では逆効果になることもあります。
  3. 異変を感じたら中止する 痛み、むくみ、だるさなどの症状が現れたらすぐに中止し、医師に相談しましょう。

下肢静脈瘤の方におすすめの運動

加圧トレーニングに不安がある方は、以下のような有酸素運動を推奨します:
  • ウォーキング:ふくらはぎの筋ポンプ作用を高め、血流を促進します。
  • 水中ウォーキング・水泳:浮力により足への負担が少なく、血流改善にも効果的です。
さらに、弾性ストッキング(着圧ソックス)の併用で運動時の静脈のサポートが可能です。

まとめ

加圧トレーニングは、下肢静脈瘤のある方にとって慎重な判断が必要なトレーニング法です。安全に行うには、医師や専門家の判断を仰ぎ、適切な圧力と時間で管理された環境で実施しましょう。

また、無理に加圧に頼るのではなく、日常生活に取り入れやすい有酸素運動や着圧ソックスの活用といった、継続しやすい方法で下肢の健康を維持していくことが大切です。

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よくある質問(FAQ)

Q1:軽い下肢静脈瘤なら加圧トレーニングしても問題ない?
A1:症状の程度によって異なります。軽度であっても医師の診断を受けてから判断しましょう。
Q2:ベルトで軽く圧をかけるだけなら大丈夫?
A2:自己流の加圧は静脈弁に過度な負荷をかけることがあります。安全のためにも指導者のもとで行うことが望ましいです。
Q3:他におすすめの筋トレ方法はありますか?
A3:ふくらはぎを使うつま先立ち運動や、スクワットなどの軽めの筋トレを弾性ストッキングと併用して行うのがおすすめです。