
陰部静脈瘤とは?
今回の記事では「陰部静脈瘤」という特殊なタイプの静脈瘤について解説します。陰部静脈瘤は、股の付け根や太ももの裏側にできる静脈瘤です。骨盤内うっ血症候群と陰部静脈瘤の関係
骨盤内うっ血症候群とは、骨盤内の静脈がうっ滞して慢性的な痛みやだるさを引き起こす病態です。この症状は左卵巣静脈をはじめとする骨盤内の静脈に血液が溜まりやすいことで発生します。陰部静脈瘤は、この骨盤内の静脈うっ滞が進行した結果、股や太もも、お尻付近の表面に現れた静脈瘤です。つまり陰部静脈瘤は骨盤内うっ血症候群の一症状であり、両者は密接に関係しています。
陰部静脈瘤の原因
妊娠中は胎児へ十分な血液を送るため、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の量が著しく増加します。これらのホルモンには血管を拡張させる働き、新しい血管を発生させる働きがあります。更に、妊娠後期に子宮が大きくなると骨盤内の静脈を圧迫して血流が停滞しやすくなります。骨盤内の静脈で血流が停滞すると、渋滞を回避するために迂回する道路を建設するべく、子宮や卵巣周囲に新たな毛細血管が発達し、拡張・伸展していきます。こうして発生した陰部静脈瘤は、陰部や太ももの裏側などに拡がっていくのです。
陰部静脈瘤の症状
陰部静脈瘤の主な症状は、お尻や陰部、足の痛み・だるさなどです。特に生理中は子宮や卵巣への血流が増えるため、症状が強く出やすくなります。反対に閉経後は症状が軽減する傾向があります。陰部静脈瘤の治療方法
硬化療法
陰部静脈瘤の治療では、静脈瘤に「硬化剤」という薬を静脈瘤に注入する「硬化療法」が一般的です。泡状の硬化剤を注射すると、静脈の内膜で炎症が起こり血栓(血液の塊)が形成されます。その状態で静脈瘤を弾性包帯によって24時間圧迫すると、静脈瘤の中では血液が流れなくなります。血液が流れなくなった静脈瘤は、数ヶ月かけて徐々に消失していきます。これにより陰部静脈瘤による症状が改善されます。
陰部静脈瘤に対する硬化療法は、比較的簡便で効果的な治療法ですが、デメリットもあります。
特に注意したいのが「色素沈着」と「血栓性静脈炎」です。治療後、注射した部分の皮膚に茶色いシミのような跡が残ることがあり、完全に消えるまでに1年以上かかることもあります。また、注射部位に炎症が起こり、血管が赤く硬くなって痛みを感じる「血栓性静脈炎」が生じることがあります。どちらも命に関わるものではありませんが、あらかじめ理解しておくことが大切です。
血管内焼灼術
ただし、陰部静脈瘤が太く(3mm以上)硬化療法だけでは治療が不十分な場合、あるいは再発した場合は、レーザーカテーテルを用いて血管内焼灼術を行う事も選択肢となります。コイル塞栓術
また、症状が強い骨盤内静脈瘤に対しては、首の静脈からカテーテルを挿入し、金属製コイルで静脈瘤への血流を遮断する方法もあります。漢方薬
これらの治療が怖い方や抵抗がある方には、漢方薬の「桂枝茯苓丸」がおすすめです。
陰部静脈瘤の予防方法
陰部静脈瘤は妊娠をきっかけに発生するため、妊娠期間を通して「弾性ストッキング」を着用することで予防が可能です。マタニティ用の専用品だけでなく、ハイソックスタイプの弾性ストッキングでも悪化予防の効果があります。陰部静脈瘤でお悩みの方は目黒外科へ
陰部静脈瘤の症状にお悩みの方は、ぜひ一度、目黒外科にご相談ください。当院は、レーザーカテーテルによる血管内焼灼術を日本で最も多く手がける実績を持ち、特に陰部静脈瘤を含む骨盤内の静脈疾患に高い専門性を持っています。
院長は下肢静脈瘤一筋で28年の経験を積んだ専門医。女性の患者さまも安心してご来院いただけるよう、女性医師も在籍しています。完全予約制で待ち時間も少なく、日曜診療にも対応しておりますので、お仕事や育児で平日が難しい方にも通いやすい体制を整えています。
「これは病気なのかな?」と不安に思われた時点で、お気軽にご相談ください。専門医が丁寧に診察・説明を行い、最適な治療をご提案いたします。