
膝サポーターは下肢静脈瘤にも効果がある?誤解と正しい対処法を医師が解説
この記事は下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤陽 医師が監修しています。膝の痛みで悩んでいる方の中には、市販のサポーターを日常的に使っている方も多いでしょう。では、そのサポーターが下肢静脈瘤の症状改善にも効果があるのでしょうか?結論から言えば、膝サポーターは静脈瘤の治療効果は期待できません。ここでは、その理由と正しい対処法について専門医の視点から詳しく解説いたします。
膝サポーターと下肢静脈瘤治療の違いとは?
局所的な圧迫と全体的な血流改善の違い
膝やふくらはぎを部分的に締めつけるサポーターは、痛みの軽減や関節の安定には一定の効果があります。しかし、下肢静脈瘤は足全体の血液の逆流によって生じる疾患です。そのため、局所だけを締め付けるサポーターでは、むしろ血流やリンパの流れが妨げられ、静脈瘤が悪化する恐れすらあるのです。【関連記事】下肢静脈瘤とは?原因・症状・最新の治療法まで徹底解説
下肢静脈瘤の圧迫療法は「段階的な圧力」が基本
下肢静脈瘤の治療においては、足首からふくらはぎ、太ももまでの血流を助ける段階的な圧迫が必要です。これを実現するのが「医療用の弾性ストッキング」です。
下肢静脈瘤に適した圧迫療法とは?
医療用弾性ストッキングの役割
医療用弾性ストッキングは、足首に最も強い圧をかけ、上にいくにつれて徐々に圧を弱めることで、静脈血を心臓へとスムーズに戻す手助けをします。これは、サポーターのような単一箇所の圧迫とは大きく異なります。なぜ市販サポーターでは代用できないのか?
市販のサポーターは医療機器ではなく、段階的圧迫設計も施されていません。静脈瘤の悪化を防ぐためにも、専門医に相談の上、適切な圧迫レベルのストッキングを選ぶことが大切です。膝サポーターと弾性ストッキングの併用は可能?
サポーターは「ストッキングの上」からが鉄則
膝の痛みを軽減する目的でサポーターを使用する場合は、弾性ストッキングの上から装着するのが望ましいです。これにより、静脈血流の妨げを最小限に抑えつつ、関節のサポートも可能となります。締めつけすぎに注意し、こまめな脱着を
特に夏場は熱がこもりやすいため、必要に応じて外す・緩めるなどの工夫も重要です。長時間の装着で足が重だるくなる場合は、早めに専門医に相談してください。まとめ|サポーターだけに頼らず、専門医の診察を
膝サポーターは関節の痛みに対しては有用ですが、下肢静脈瘤の改善には不十分です。弾性ストッキングとの正しい併用が必要であり、ご自身で判断せず専門医の診察を受けることが大切です。目黒外科では、弾性ストッキングの正しい使い方を含め、個別に丁寧な診療を行っております。ご不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)
- Q1. 膝の痛みで使っているサポーターは、静脈瘤にも効果がありますか?
- A. 部分的な圧迫では静脈瘤の改善は難しく、全体の血流を考えた弾性ストッキングが推奨されます。
- Q2. 弾性ストッキングの上に膝用サポーターをつけてもいいですか?
- A. はい、弾性ストッキングを先に装着し、その上からサポーターを装着することで、両方の効果を得られます。
- Q3. サポーターを長時間つけるのは危険ですか?
- A. 締めつけすぎや蒸れによって血流を妨げる可能性があるため、こまめに脱着・調整することをおすすめします。