【Q&A】「下肢静脈瘤は命に関わる病気ですか?」専門医が解説!

下肢静脈瘤は命にかかわる病気ですか?

下肢静脈瘤は、足の静脈がヘビのようにクネクネ曲がりくねって拡張し、血流が渋滞を起こしてしまう病気です。見た目の問題だけでなく、放置するとさまざまな健康面での問題を引き起こす可能性があります。では、下肢静脈瘤は命にかかわる病気なのでしょうか?

まず、下肢静脈瘤自体は直接命に関わる病気ではありません。しかし、進行するとさまざまな症状や合併症を引き起こす可能性があります。ここでは、下肢静脈瘤の主な症状について詳しく解説します。

下肢静脈瘤の主な症状

1. 見た目の変化 下肢静脈瘤の初期の変化は、足の表面に赤・青・紫の毛細血管が見えることです。これらの静脈は、しばしば「くもの巣」のように見えることから「くもの巣状静脈」とも呼ばれます。

初期段階では小さな血管が目立つだけかもしれませんが、進行するとより太く、目立つ静脈瘤が見られるようになります。

2. こむら返り 明け方や朝起きた時に足がつることが多く、下肢静脈瘤の比較的初期に見られる症状です。

3. 重だるさや疲れやすさ 下肢静脈瘤を持つ多くの人々は、足の重だるさや疲れやすさを感じます。これは、静脈の血液の循環が悪くなるために起こります。特に、長時間立っている場合や夕方に症状が悪化します。

4. むくみ 足の静脈の弁が正常に機能しないと血液が足に滞り、むくみを引き起こすことがあります。これは特に膝下で顕著になることが多いです。

5. 痛み 下肢静脈瘤が進行すると、足に痛みを感じることがあります。老廃物の多い血液が停滞することで静脈が炎症を起こし、静脈に触れると痛みを感じることもあります。

6. かゆみ 足の静脈の血流が停滞することにより皮膚に炎症が生じると、かゆみを伴うことがあります。これは「うっ滞性皮膚炎」と呼ばれ、下肢静脈瘤の症状としては重症のサインです。皮膚科でかゆみ止めを処方されているのにかゆみが治りにくいという方は一度下肢静脈瘤を疑ってみることをお勧めします。

7. 皮膚の変化 下肢静脈瘤が慢性化すると皮膚の黒ずみや茶色っぽく変色したり、硬くなったりすることがあります。これは、色素沈着と呼ばれ血液中の鉄分であるヘモジデリンという物質が皮膚に沈着することで起こります。色素沈着は下肢静脈瘤を治療しても消えませんので、特に女性はスカートが履けなくなるなど外見的なコンプレックスを抱えることになるので色素沈着が見られ始めたら速やかな治療が必要です。

8. 皮膚潰瘍 最も重篤な症状の一つが皮膚潰瘍です。血流の悪化により、皮膚に十分な酸素や栄養が行き渡らないために小さな傷が治りにくくなります。これが慢性化すると傷が大きくなり潰瘍になることがあります。

まとめ

下肢静脈瘤の症状は人によって異なり、すべての人がすべての症状を経験するわけではありません。また、症状の重さは静脈瘤の進行度によって異なります。早期発見と悪化予防、そして適切な治療がとても大切であり、自覚症状がある場合は早めに専門医に相談することをお勧めします。