妊娠したら弾性ストッキングで下肢静脈瘤を予防しよう!

妊娠したら弾性ストッキングの着用をおすすめします!

今回の記事では

妊娠したら弾性ストッキングを履こう!という内容のお話をしていきたいと思います。

妊婦の皆さんは弾性ストッキングというものをご存じでしょうか?

着圧ソックスともいいます。

弾性ストッキングは医療用に作られたストッキングです。

靴下の形をしていますが、足首にかかる圧力が一番強く、ふくらはぎにかかる圧力が弱くなっています。

そのため、足の静脈血やリンパ液が心臓に向かって流れていくのを助けてくれます。

実際に弾性ストッキングを履いてみると、足先からふくらはぎにかけてマッサージを受けているような感覚で

とても足が心地よく感じられます。

ではなぜ妊娠すると弾性ストッキングがお勧めなのか?について解説していきたいと思います。

妊娠すると体に起こる変化

妊娠すると母体には以下のような変化が起こります
  1. 母体の血液量が増える
  2. 女性ホルモンの分泌量が増える
  3. 子宮が大きくなり骨盤で静脈が圧迫される

1.母体の血液量が増える

妊娠すると、お母さんの体内を流れる血液の量が約1.5倍に増えると言われています。

妊娠中の約9か月間は、全身の血管は血液でパンパンの状態となります。

足の静脈は重力の関係で一番血液が溜まりやすい場所ですので、たくさん水を入れた水風船のような状態となります。

2.女性ホルモンの分泌量が増える

妊娠していない時は毎月生理周期にしたがって女性ホルモンが分泌されます。

妊娠中は女性ホルモンが増加します。

特にエストロゲンは100倍近く増加します。

画像:東京医科歯科大学附属病院マタニティクラスより

エストロゲンもプロゲステロンも血管拡張作用、つまり静脈をやわらかく伸びやすい状態にする作用がありますので

パンパンに膨らんだ足の静脈はさらに引き延ばされます。

3.子宮が大きくなり骨盤で静脈が圧迫される

妊娠後期になり赤ちゃんが大きくなってくると、大きくなった子宮が静脈を圧迫します。

足の静脈から流れてきた血液は、骨盤内では静脈が狭くなるので流れにくくなります。

砂時計をイメージしてみてください。

このような3つの要因が重なるわけですから、足の静脈にとって妊娠期間中とうのはとても過酷な状況なわけです。

約9か月にわたりパンパンに引き伸ばされていた静脈も、出産後にはある程度まで戻ります。

しかし、ずーっと引き延ばされていたゴムと同じで、元のようには縮まらなくなってしまう方もいらっしゃいます。

すると、足の静脈はどうなるでしょうか?

足の静脈には逆流防止という、血液が重力によって下に落ちないようにするストッパーが備わっています。

ところが妊娠中に静脈が伸びっぱなしになってしまうと、逆流防止弁も引き延ばされてしまい

きちんと閉じなくなってしまいます。

その結果、足の静脈血は心臓に向かって流れることができず、足の静脈内にいつまでも溜まったままとなってしまうのです。

その結果、下肢静脈瘤という病気を発症してしまうのです。

妊娠経験者の2人に1人が下肢静脈瘤になると言われています。

 

下肢静脈瘤という病気をご存じでしょうか?

下肢静脈瘤は足の静脈がクネクネして浮き出たものです。

外見が悪いだけでなく、足のだるさ、むくみ、こむら返りなどの症状に悩まされ、

進行すると皮膚の色素沈着や湿疹なども起こるようになります。

さらにひどくなると、皮膚に潰瘍ができてしまうこともあります。

妊娠経験者の約50%が下肢静脈瘤になると言われていますが、

妊娠回数が増えるほど、下肢静脈瘤になる確率が大きくなります。

弾性ストッキングのススメ

弾性ストッキングは足を包み込むように圧迫してくれます。

特に足首からふくらはぎにかけてマッサージをするように力がかかる設計で編み込まれていますので

足の静脈血やリンパの流れを促進してくれます。

足は第二の心臓」と言われますが

ふくらはぎの筋肉は足の静脈を強い力で押し出してくれます。

これを足の筋肉のポンプ作用といいます。

弾性ストッキングは、この足の筋肉のポンプ作用を補助してくれるのです。

また、皮膚の外側から圧力がかかりますので、静脈が血液でパンパンになって引き延ばされてしまうのを防ぐ効果があります。

弾性ストッキングの種類

1.ハイソックスタイプ
2.ストッキングタイプ

パンストタイプ

マタニティ用の弾性ストッキングもあります。

ただし履くのがとても大変であることと、価格も高いので、他のタイプの弾性ストッキングで十分だと思います。

どれを履けばいいの?

結論から申し上げますと、ハイソックスタイプです。

その理由は3つあります。
  • 足のふくらはぎが圧迫されることが一番のポイントであること
  • 履きやすい
  • 価格が一番安い
ストッキングタイプは太ももからずり落ちて来やすいので、太ももにはあまり圧力がかかりません。

パンストタイプなら太ももまでしっかりと圧力がかかりますが、とにかく履きにくいです。

妊婦さんには酷ですし、お腹を圧迫してしまいますのでお勧めしません。

まとめ

以上、妊婦さんへ弾性ストッキングをお勧めする理由についての解説でした。

下肢静脈瘤を予防して、元気な赤ちゃんを産んでくださいね!

下肢静脈瘤についてのご相談は、下肢静脈瘤ひとすじ26年の専門クリニック目黒外科