【医師監修】下肢静脈瘤の手術で後悔しないために|再発・痛み・術後の経過まで徹底解説

【医師監修】下肢静脈瘤手術で後悔しないために知っておくべきこと

下肢静脈瘤の手術を受ける際、「本当に手術したほうがよいのか?」と不安に思う方も多いでしょう。実際に手術を受けた後に後悔するケースもあります。しかし、その多くは事前の情報収集や医師との相談で防ぐことができます。

本記事では、下肢静脈瘤手術後に後悔しやすいポイントを解説し、手術を受ける前に考えておくべきことを紹介します。

【後悔の理由①】期待と現実のギャップ

下肢静脈瘤手術の目的とは?

下肢静脈瘤の手術は、下肢静脈瘤による症状を軽減し、進行を防ぐための治療です。見た目が良くなることもありますが、美容目的だけではなく、血流の改善に伴う症状の改善が目的となります。
足のしびれや冷え性、膝の痛みなど、下肢静脈瘤以外の病気が原因の症状は下肢静脈瘤の手術を行っても改善することはありません。 思い込みや過剰な期待は後悔のもとです。

手術後の見た目の変化

手術後すぐに静脈瘤が完全に消えるわけではありません。レーザーや高周波、グルー治療などで閉塞させた血管は、体内でゆっくりと吸収されていきます。この吸収プロセスには個人差がありますが、通常は3〜6ヶ月程度かかるとされています。その間、一時的にしこりのように感じることがありますが、これは異常ではなく、自然な治癒過程の一部です。
見た目の変化も徐々に現れるため、手術直後に劇的な見た目の改善を期待しすぎないことが大切です。不安な場合は、経過観察の診察で医師に相談することで安心できます。



下肢静脈瘤ビフォーアフター写真(左:治療前、右:治療6か月後)

100%再発しないわけではない

手術を受けても、新たな静脈瘤が発生する可能性があります。これは、静脈瘤ができやすい体質(遺伝や加齢による静脈弁の弱さ)や、長時間の立ち仕事、運動不足、肥満などの生活習慣が原因となるためです。たとえ一度治療で目立つ静脈瘤がなくなったとしても、他の部位の静脈に同様の負担がかかり続ければ、再び症状が現れる可能性が十分にあります

そのため、手術後は完治と油断せず、日常生活の中でふくらはぎの筋ポンプ作用を高めるためのウォーキングやストレッチ、弾性ストッキングの活用が勧められます。

【後悔の理由②】術後の痛みや違和感

術後の痛みはどのくらい?

手術の方法によりますが、多くの方は軽い筋肉痛のような痛みを感じます。特に、レーザーや高周波治療では、術後1週間程度は軽い圧迫感や違和感が続くことがあります。

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皮膚の感覚の違和感を感じることも

手術の際に神経の近くを処置するため、術後は一時的に皮膚の感覚が鈍くなる、触ると違和感があるといった症状が出ることがあります。これは、皮膚表面に近い感覚神経(特に伏在神経)に一時的な刺激や軽度のダメージが加わることによって生じる現象です。

多くの場合、こうした感覚異常は術後数週間から数ヶ月で自然に回復することがほとんどであり、生活に支障をきたすようなケースは稀です。稀に、違和感が長引く場合もありますが、焦らず経過を見ることが大切です

また、気になる症状が続く場合には、術後フォローの診察で医師に相談することで、必要に応じてお薬や経過観察のアドバイスを受けることができます

術後のアフターケアをしっかりと

痛みや違和感を最小限に抑えるためには、術後すぐからの圧迫ストッキングの着用がとても重要です。これは、血流をサポートして血栓予防や腫れの軽減、創部の安定化に効果があるだけでなく、違和感や張り感の緩和にもつながります。特に、術後1週間は日中しっかりと着用することが推奨されます。

さらに、軽いウォーキングやストレッチなどの適度な運動を取り入れることで、ふくらはぎの筋ポンプ機能が活性化され、血液のうっ滞を防ぐと同時に回復も早めることができます。反対に、術後すぐに安静にしすぎると、かえって血行が悪くなり、違和感や血栓リスクが高まるため注意が必要です。

また、痛みが強い、しこりのような硬さが気になる、赤みや腫れがひかないといった症状がある場合には、自己判断で様子を見ず、早めに医師に相談することが大切です。術後の診察では、エコー検査などで血管の状態をチェックし、必要に応じた対処が可能です。

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【後悔しないためのポイント】

  1. 期待値を正しく持つ 手術の目的を理解し、術後の経過について事前に医師とよく相談する。
  2. 術後の症状を知っておく 痛みや違和感があることを想定し、適切なケアを行う。
  3. 日常生活への影響を考慮する 仕事や運動のスケジュールを調整し、無理のない回復を目指す。

患者体験談

50代女性・立ち仕事の方 「ふくらはぎの血管がボコボコして恥ずかしく、痛みもありました。手術に不安もありましたが、先生が丁寧に説明してくれて安心できました。術後1週間くらいは少し張る感じがありましたが、仕事にも支障なく復帰できました。3ヶ月後には見た目もかなり良くなり、今はスカートも自信を持って履けるようになりました。」

院長コメント

「実際に『他院で手術を受けたが思ったより見た目が改善しなかった』『手術後の痛みが心配で連絡したのにあまり話を聞いてもらえなかった』という理由で当院に再相談される患者様もいらっしゃいます。当院では、術前のカウンセリングで『改善する症状』『変わらない可能性のある症状』を明確にご説明し、納得いただいたうえで手術に進みます。」

まとめ

下肢静脈瘤手術後に後悔するケースの多くは、事前の情報不足や誤解が原因です。手術の効果やリスクをしっかり理解し、適切なケアを行えば、多くの方が満足できる結果を得られます。自分に合った治療法を選び、後悔のない選択をしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 下肢静脈瘤の手術は痛いですか?

手術法によりますが、多くの場合、筋肉痛のような軽い痛みが1週間程度続きます。痛み止めを飲むほどの痛みはまれで、日常生活には支障が出にくいことがほとんどです。

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Q. 手術しても再発しますか?

再発の可能性はゼロではありません。静脈瘤になりやすい体質が変わるわけではないため、生活習慣や体重管理などの継続が重要です。

Q. 見た目はすぐにきれいになりますか?

治療後すぐに見た目が完全に改善するわけではなく、3〜6ヶ月かけて徐々に血管が吸収されていきます。手術前の静脈瘤が大きい人は静脈瘤が吸収されるまでの時間が長くかかります。