足の皮膚が黒ずんできたら要注意!うっ滞性皮膚炎の正体と治療法とは?
足の皮膚が茶色や紫色に変色してきたり、湿疹やかゆみがなかなか治らなかったり…そんな症状に心当たりはありませんか?それはうっ滞性皮膚炎という、静脈の病気が関係する皮膚疾患かもしれません。皮膚のトラブルと思って皮膚科に通っても治らない場合、実は下肢静脈瘤などの血管の異常が隠れていることがあるのです。
うっ滞性皮膚炎とは?下肢静脈瘤との深い関係
うっ滞性皮膚炎は、下肢の静脈の流れが滞ることによって引き起こされる慢性の皮膚疾患です。健康な静脈には、血液を心臓へと送り返す静脈弁があります。しかし、長時間の立ち仕事や加齢、遺伝などの影響でこの弁が壊れると、血液が逆流して足にたまりやすくなります。これが下肢静脈瘤や慢性静脈不全の状態です。
足の血流が悪くなると、血液中の赤血球成分やタンパク質が血管外に漏れ出し、皮膚に炎症を引き起こします。その結果として、湿疹、かゆみ、むくみ、さらには黒ずみ(色素沈着)が生じてくるのです。見た目の変化だけでなく、重症化すると皮膚潰瘍という治りにくい傷になり、日常生活にも支障をきたします。

下肢静脈瘤による皮膚トラブルの写真
主な症状と見逃してはいけないサイン
うっ滞性皮膚炎の症状は初期では軽いため、「年齢のせい」や「乾燥肌」と勘違いされがちです。しかし、以下のような変化は要注意サインです。
- 足のむくみ(夕方に特に目立つ)
- 足首やふくらはぎの湿疹やかゆみ
- 皮膚が茶色や紫色に変色してきた
- 皮膚が硬くなりゴワつく感触(皮下脂肪硬化症)
- 乾燥、ひび割れ、かさつきが続く
- 小さな傷が治らず、皮膚潰瘍へ進行
- 足のだるさや重さ、こむら返り
上記の症状が1つでもあてはまる場合、皮膚だけでなく静脈の病気を疑いましょう。
なぜ皮膚科の治療では改善しないことが多いのか?
多くの方が皮膚科でステロイド外用薬や保湿剤による治療を受けています。確かに一時的に症状が落ち着くこともありますが、血流障害という根本原因が放置されたままだと、皮膚炎は再発しやすくなります。皮膚の表面をいくら治療しても、足の血管の中の問題を解決しない限り完治は望めません。
当院では、こうした患者さんに対して超音波検査(血管エコー)を行い、静脈瘤や血液の逆流の有無を詳しく調べます。たった10分程度で済む検査ですが、病気の本質を明らかにするために非常に重要なステップです。

下肢静脈瘤の診断には超音波検査が必須
うっ滞性皮膚炎の治療法
保存療法(圧迫療法と皮膚ケア)
血流を改善する第一歩としては、弾性ストッキングなどを使った圧迫療法が基本です。足に適度な圧力をかけることで血液の逆流を防ぎ、むくみやかゆみの軽減にもつながります。また、保湿やステロイド外用薬による皮膚の炎症コントロールも併用します。
外科的治療(血管内治療)
保存療法で十分な効果が得られない場合は、血管内レーザー治療やグルー治療といった手術が推奨されます。どちらも日帰りで行え、体への負担も少なく、痛みも最小限です。逆流している静脈を閉塞させることで、根本的なうっ滞の改善が期待できます。
日常生活でのセルフケアのすすめ
- 足を高く上げる(横になるときにクッションなどで調整)
- 足首を動かす運動やストレッチ、軽いウォーキング
- 毎日の保湿ケアと清潔の維持
- 体重管理と塩分控えめの食生活
- 長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしの回避
よくある質問(FAQ)
- Q. うっ滞性皮膚炎は自然に治りますか?
- A. 原因となる下肢静脈瘤を放置している限り、自然に完治することはほとんどありません。早期治療が必要です。
- Q. 手術は怖いのですが、どれくらいの負担ですか?
- A. 当院では静脈麻酔(眠くなる鎮静剤)と局所麻酔で痛みもなく、手術時間はおよそ30分~1時間程度で終わります。手術後は歩いて帰宅できます。
- Q. 弾性ストッキングは一日中履く必要がありますか?
- A. 日中の活動時に着用するのが効果的です。就寝時は原則として外してください。
目黒外科での診療案内
目黒外科では、下肢静脈瘤の専門医が常勤し、超音波検査・診断・日帰り手術まで一貫して対応しています。皮膚症状でお悩みの方に対しても、皮膚科との連携をとりながら適切な治療を提供しています。