
下肢静脈瘤手術後に現れる違和感|太もものつっぱり・しこり・色素沈着の原因と対処法
本記事は、下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤陽 医師(形成外科専門医・血管外科治療経験28年)が監修しています。下肢静脈瘤の手術後、なぜ太ももにつっぱり感が出るのか?
座る・立つときに感じるつっぱりの正体とは
下肢静脈瘤の手術後にしこりや太もものつっぱり感を感じることは、特にレーザー焼灼術(EVLT)を受けた患者さんにとっては一般的な現象です。しかし、これらの症状は一時的なものであり、心配する必要はありません。レーザー焼灼術後、太もものつっぱり感はほとんどの患者様が経験する症状です。これは手術後の数日から1週間以内に始まり、特に座った状態から立ち上がるときに感じます。しかし、このつっぱり感は通常1~2か月程度で自然に解消します。
また、日常生活に大きな影響を与えるものではなく、立ち上がる瞬間以外はほとんど気にならない場合が多いです。太もものつっぱり感は、体が手術による影響を受けた静脈の回復プロセスに適応している証拠とも言えます。
早く楽になるには?ストレッチや過ごし方の工夫
つっぱり感が早くなくなる方法としては、太もものストレッチや屈伸運動などをまめに行うことが効果的です。痛みのない範囲で日常的に体を動かすことで、回復を促進することができます。術後のしこりはなぜできる?どれくらいで消える?
硬く感じるのは静脈の「瘢痕化」反応
しこりは、レーザー焼灼術によって治療された静脈が硬くなったものです。強火で焼いた肉が硬くなるのと同じで、術後に焼灼された静脈が徐々に硬くなり、しこりとして感じられるようになります。3か月後~半年が回復の目安。経過を見守って
静脈瘤の大きさや場所によって個人差がありますが、一般的には手術後3か月目あたりからしこりが小さくなり始め、6か月から1年ほどで完全に吸収されて消失します。この過程は体の自然な治癒プロセスの一部であり、時間が経つにつれてしこりは目立たなくなります。色素沈着が残るのはなぜ?治るの?
皮膚の近くに静脈瘤があった方に多い変化
下肢静脈瘤が皮膚に近い位置にあった場合、しこりに一致して薄い色素沈着が見られることがあります。これは、焼灼後の静脈が皮膚近くで炎症を起こした結果、メラニンが沈着している状態です。色素沈着が目立つときのケアと相談の目安
この色素沈着も静脈瘤が消失するのと同様に、時間とともに薄らいでいきます。
患者さんの体験談
「手術後1週間くらいから太ももが引っ張られるような感覚がありましたが、2か月経った今ではほとんど気にならなくなりました。色素沈着もだんだん薄くなっています」(40代女性)
よくある質問(FAQ)
Q1. 術後のつっぱり感が強いのですが異常ですか?
A. 多くの場合は自然な反応です。できるだけ屈伸運動やストレッチなど、足を動かすようにしましょう。Q2. しこりが残っていると再発のサインですか?
A. しこりは治療による瘢痕であり、再発ではありません。徐々に吸収されます。Q3. 色素沈着は完全に消えますか?
A. 体質や皮膚の状態によりますが、半年から1年で消える方が多いです。まとめ
下肢静脈瘤の術後に感じるしこりや太もものつっぱり感は、一時的な症状であり、通常は時間とともに解消します。これらの症状は手術が成功している証拠と言えることもありますが、不安を感じたら担当の医師に相談するのが一番安心です。関連記事
