【専門医監修】若年性下肢静脈瘤は遺伝が原因?10代・20代に多いリスクと予防・治療法を解説

【専門医監修】若くして下肢静脈瘤になるのは遺伝?10代・20代に発症するリスクと予防法

本記事は、下肢静脈瘤専門医・目黒外科 院長 齋藤陽(医療法人社団トリプルウィン)が監修しています。

はじめに

下肢静脈瘤は中高年の疾患というイメージがありますが、遺伝的要因が関係する場合は10代・20代といった若年層でも発症することがあります。若くして発症すると、病気と付き合う期間が長くなり進行も早まるため、早期の予防と対策が非常に重要です。この記事では、若年層の発症リスクと対策法をわかりやすく解説します。

下肢静脈瘤の画像

下肢静脈瘤の遺伝確率とは?

  • 両親ともに下肢静脈瘤を持つ場合:子どもへの遺伝確率は90%
  • 片親のみが下肢静脈瘤の場合: ・女の子に遺伝する確率:62%
    ・男の子に遺伝する確率:25%
このように、家族に下肢静脈瘤の既往がある方は、若い時期から注意が必要です。

遺伝による下肢静脈瘤の特徴

  • 若年期の発症:一般的には40代以降に多い病気ですが、遺伝性の場合は10代から症状が出ることがあります。
  • 男女問わずリスクがある:女性に多い傾向がありますが、遺伝の場合は男性にも高いリスクがあります。
  • 進行が早い:若いうちから発症することで血管への負荷が長くかかり、重症化しやすくなります。

若年層で悪化しやすい理由

  • 静脈弁の長期損傷:若年期から弁に負荷がかかることで、血液の逆流が進行します。
  • 慢性的な血行不良:色素沈着、うっ滞性皮膚炎、潰瘍など皮膚トラブルが長年にわたって続く恐れがあります。
  • 立ち仕事との相乗リスク:飲食業などの立ち仕事で症状が加速するケースが少なくありません。

若いうちからできる下肢静脈瘤の予防法

  1. 適度な運動:ウォーキング、水泳など脚の筋肉を使う運動は血流改善に効果的。
  2. 弾性ストッキング(着圧ソックス)の活用:静脈の逆流を防ぎ、日常生活でも進行予防ができます。
  3. 正しい姿勢の維持:長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしを避けてこまめに足を動かしましょう。
  4. 早期の専門医受診:軽症でも早めの診察で進行を防ぎ、治療の選択肢も広がります。

若年層に適した治療法とは?

  • 硬化療法薬剤注入で血管を閉塞。軽症・見た目の静脈瘤に有効。
  • カテーテル治療レーザーや高周波を使って血管を焼灼。傷跡が目立たず日帰りで可能。
  • グルー治療医療用接着剤を用いて静脈を閉じる。術後の痛みが少ないのが特徴。

まとめ

遺伝的な要因により若くして下肢静脈瘤を発症する人が増えていますが、早期発見と正しい対策を行えば、進行を防ぎ健康な脚を守ることが可能です。運動・生活習慣・着圧ソックスの活用に加え、気になる症状があれば早めに血管外科専門医に相談しましょう。

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若年層に発症した下肢静脈瘤のイメージと予防のポイント(目黒外科)

よくある質問(FAQ)

Q1:10代で下肢静脈瘤になることはありますか?
A1:あります。特に親が静脈瘤を持っている場合は遺伝的リスクが高く、10代でも発症することがあります。
Q2:見た目以外に注意すべき症状は?
A2:足のだるさ、むくみ、こむら返り、皮膚の変色などが初期のサインです。自覚症状があれば早めに診察を。
Q3:親が静脈瘤ですが、子供のうちにできる予防法は?
A3:運動習慣、姿勢の改善、着圧ソックスの使用が有効です。気になる症状がある場合は一度専門医に相談しましょう。