【専門医監修】写真でわかる下肢静脈瘤の症状と進行度|初期〜重症例・治療後の変化まで解説
 

写真でわかる下肢静脈瘤の進行度|初期・中期・重症例を画像で解説

足の静脈が浮き出てくる病気、下肢静脈瘤をご存じですか?これは、静脈の血液がスムーズに心臓に戻らず、足の血管が拡張してしまう病気です。初期段階では違和感を覚える程度ですが、進行すると痛みやむくみ、皮膚の変色などの症状が現れます。

本記事に掲載している写真はすべて、下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」で実際に診療・治療を行った患者様の症例です。当院院長の医師監修のもと、段階別にわかりやすく解説いたします。

下肢静脈瘤の画像で見る進行過程

1. 初期症状|くもの巣状静脈瘤

赤紫に見える太ももの毛細血管はクモの巣状静脈瘤
赤紫に見える太ももの毛細血管はクモの巣状静脈瘤

青紫色の静脈がわずかに浮き出ている状態です。このタイプが進行してボコボコした静脈瘤になることは基本的にありませんが、美容的な悩みの原因になることがあります。

2. 中程度の下肢静脈瘤

下肢静脈瘤(伏在型)
伏在型の静脈瘤が脚に浮き出た状態

この段階では、太く蛇行した静脈が皮膚の表面にくっきりと浮き出ており、見た目にも明らかな変化が現れます。血液の逆流が進行している状態で、長時間の立ち仕事の後には脚のだるさや重さ、ふくらはぎの張り感、むくみといった症状が強く出やすくなります
また、靴がきつく感じられる、夕方以降に足がパンパンになるといった訴えも多く、仕事や日常生活に支障をきたすレベルまで悪化することがあります

この段階では治療のタイミングを見極める重要な分岐点となるため、専門医による正確な評価と対応が求められます。

3. むくみが現れたケース

下肢静脈瘤が原因の足のむくみ
下肢静脈瘤による足のむくみ

だるさや疲れだけでなく、夕方になると足首やふくらはぎが明らかに腫れ、靴がきつく感じられるほどのむくみが毎日のように現れるようであれば、下肢静脈瘤がかなり進行している可能性があります
このような状態は、静脈の弁機能が低下し、血液が十分に心臓へ戻れず脚にうっ滞しているサインです。
放置すると色素沈着や皮膚の炎症、さらに皮膚潰瘍に進行するリスクが高くなるため、早期に専門医の診察を受けることが重要です
見た目だけでなく、症状として現れる「むくみ」は身体からの警告信号と捉えましょう。

4. 色素沈着・重症例

色素沈着を伴う下肢静脈瘤
ふくらはぎに浮き出た重症の下肢静脈瘤と皮膚の変色

血流が長期間にわたって滞ると、皮膚に赤褐色〜茶色の色素沈着が現れるようになります。これは、静脈内にたまった血液中の赤血球が破壊され、鉄分(ヘモジデリン)が皮膚に沈着することで起こる現象です。特に足首やふくらはぎの内側に色の変化が見られた場合は、下肢静脈瘤が慢性化し、皮膚へのダメージが進行しているサインといえます。

この段階になると、圧迫療法だけでは改善が難しく、手術による血流の改善が必要となるケースが多くなります。放置すれば皮膚が硬くなり、やがて皮膚潰瘍に進行する恐れもあるため、早期の専門医受診と治療が強く推奨されます

5. 皮膚が硬くなった状態(脂肪皮膚硬化)

皮膚脂肪硬化
慢性的な炎症による皮膚の硬化

皮膚が硬くゴワゴワとした質感になってきた場合、それは下肢静脈瘤の末期的な兆候であり、「脂肪皮膚硬化(しぼうひふこうか)」と呼ばれる状態です。これは、慢性的にうっ滞した血液によって皮膚や皮下組織に炎症が繰り返し起こり、線維化(皮膚の硬化)が進んだ結果です。皮膚の弾力が失われ、触ると板のように固く感じるのが特徴で、この状態を放置すると皮膚のバリア機能が低下し、些細な刺激でも皮膚潰瘍を引き起こすリスクが高くなります。皮膚が茶色く変色し、触ったときに硬さや違和感を感じる場合には、できるだけ早く血流評価を含む専門的な診察を受けることが大切です。

6. 静脈瘤による皮膚潰瘍

下肢静脈瘤による皮膚潰瘍
うっ滞性皮膚炎が悪化して潰瘍になった例

ここまで進行すると、皮膚が破れて潰瘍(かいよう)を形成しやすくなり、そこから細菌が侵入することで蜂窩織炎(ほうかしきえん)や慢性皮膚感染症を引き起こす危険性が高まります
特に高齢者や糖尿病をお持ちの方は、一度感染すると治癒に時間がかかり、入院や点滴治療が必要になるケースも少なくありません
また、痛みや出血、浸出液により、歩行や靴の着用、入浴などの日常動作にも大きな制限がかかり、生活の質(QOL)が著しく低下します。このような重症化を防ぐためには、症状が軽いうちに医師の診察を受け、適切な治療を開始することが何より重要です

7. 湿疹やかゆみ

下肢静脈瘤が原因と分からず長期間皮膚科に通院していた患者さん
かゆみや湿疹が皮膚科治療で改善しないケースも静脈瘤が原因

足に現れるかゆみや湿疹は一見すると皮膚炎のように見えるため、多くの方がまず皮膚科を受診しますが、実際にはその原因が「下肢静脈瘤による血流障害」だったというケースは少なくありません
特に、すねやくるぶし付近に繰り返し出現する赤みやジュクジュクとした炎症、かゆみを伴う湿疹は、静脈瘤によるうっ滞性皮膚炎の可能性があります。このようなケースでは、塗り薬や保湿剤では一時的に症状が和らいでも根本的な改善には至らず、原因である静脈の逆流を治療しない限り再発を繰り返します

長期間にわたり皮膚科で治療を続けているにもかかわらず改善しない場合は、一度血管外科や下肢静脈瘤専門医による診察を受けることを強くおすすめします

治療後のビフォーアフター

下肢静脈瘤ビフォーアフター写真
治療前後で浮き出た血管が改善されている

レーザー治療グルー治療後は目に見える改善が得られます。治療は日帰りで可能です。

まとめ|画像から学ぶ下肢静脈瘤の進行と対策

下肢静脈瘤は放置すると、見た目だけでなく生活の質を大きく損なう疾患です。初期段階であっても、気になる症状があれば早めに専門医の診察を受けましょう。

当院では、豊富な症例と経験をもとに患者さんに応じた最適な治療法をご提案しています。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. この写真のような静脈瘤はすべて手術が必要ですか?
A. すべてが手術適応ではありません。症状の程度や血流異常の有無を超音波検査で確認したうえで判断します。
Q2. 色素沈着は元に戻りますか?
A. 治療後に徐々に薄くなることもありますが、色が残ることもあります。悪化を防ぐには早期治療が大切です。
Q3. 潰瘍になっても治療できますか?
A. はい。感染がなければ静脈瘤の治療と並行して潰瘍の治療も行えます。完治までには時間がかかることもあります。

下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」のご案内

目黒外科は、2020年〜2024年において5年連続で日本最多のレーザーカテーテル手術件数を誇る、下肢静脈瘤専門クリニックです。経験豊富な医師が在籍し、日帰りでの安全・確実な治療を提供しています。

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