
【医師監修】写真で見る下肢静脈瘤|種類・特徴・治療法を専門医が解説
ふとももやふくらはぎに血管が浮き出ていませんか?この記事では、下肢静脈瘤の種類・特徴・治療法をわかりやすく解説し、実際の症例写真も交えてご紹介します。下肢静脈瘤にお悩みの方、ぜひご参考にしてください。下肢静脈瘤とは?主な種類と特徴
下肢静脈瘤は、足の静脈内での逆流によって血液が滞り、血管が拡張して目立つようになる病気です。主な種類は以下の通りです:- 伏在型静脈瘤
- 側枝型静脈瘤
- 網目状静脈瘤
- クモの巣状静脈瘤
伏在型静脈瘤
太ももやふくらはぎを走る太い静脈(大伏在静脈・小伏在静脈)が逆流し、血液が停滞することで発生する最も一般的なタイプの下肢静脈瘤です。曲がりくねった血管が浮き出て見えるのが特徴で、足のだるさやむくみ、こむら返りなどの症状を伴うこともあります。進行すると皮膚炎や潰瘍を引き起こすリスクがあるため、適切な治療が必要です。
側枝型静脈瘤
太い伏在静脈には逆流がないものの、そこから枝分かれした細い静脈(側枝)が部分的に逆流して発生するタイプです。見た目にはこぶ状に盛り上がる静脈瘤として現れます。伏在型に比べると症状は軽いことが多いですが、美容面の悩みや、長時間の立ち仕事で悪化するケースもあります。
網目状静脈瘤
皮膚のすぐ下にある直径2〜3mmほどの細い静脈が拡張し、青色の網目状に広がって見えるタイプです。主にふくらはぎや膝の裏に現れ、痛みや違和感を伴うことは少ないですが、見た目を気にして受診される方が多いです。静脈瘤の初期段階として見られることもあります。
クモの巣状静脈瘤
皮膚表面にある直径0.1〜1mmほどの毛細血管が拡張し、赤紫色の細い線がクモの巣のように広がって見えるタイプです。英語では「スパイダーベイン(Spider Vein)」と呼ばれます。女性ホルモンの影響を強く受けるため、妊娠中や出産後、また女性に多く見られます。見た目以外に大きな健康リスクはありませんが、気になる場合は硬化療法(健康保険)やレーザー治療(自由診療)で目立たなくすることが可能です。
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下肢静脈瘤の主な治療法
下肢静脈瘤の治療は、症状や静脈の状態に応じて選択されます。- 血管内焼灼術(レーザー治療・高周波治療):細いカテーテルを血管内に挿入し、内側から熱で静脈を閉じる治療。皮膚を切らず、体への負担が少ないのが特徴です。
- 血管内塞栓術(グルー治療):医療用の瞬間接着剤によって静脈を閉じる治療法です。
- 静脈瘤切除術:皮膚を切開して直接静脈瘤を摘出する方法です。
- 硬化療法:静脈に硬化剤を注射して閉塞させる方法。網目状静脈瘤やクモの巣状静脈瘤に有効です。
- ストリッピング手術:逆流した静脈を抜去する従来型の手術法です(現在はレーザー治療や高周波治療が主流)。
下肢静脈瘤の種類と治療法について
下肢静脈瘤には「伏在型」「側枝型」「網目状」「クモの巣状」など複数のタイプがあり、それぞれ原因や静脈の走行、見た目、症状が異なります。そのため、治療法も一律ではなく、病態に応じた最適な方法を選ぶことが重要です。
このセクションでは、代表的な下肢静脈瘤の種類ごとに、推奨される治療法を表で整理しました。どのような状態にどの治療が向いているのかを把握することで、ご自身の症状に合った治療を理解しやすくなります。
症状・状態 | 治療法 |
---|---|
伏在型静脈瘤 | 血管内治療(カテーテル or グルー) |
側枝型静脈瘤 | 静脈瘤切除術 |
クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤 | 硬化療法 |
症例写真で見る下肢静脈瘤の実際
左足に発生した伏在型静脈瘤
40代の男性です。左足のだるさと静脈瘤が気になり目黒外科を受診しました。超音波検査では左の大伏在静脈に逆流があり、そこから枝分かれした静脈瘤が太ももから膝下まで伸びていました。レーザーカテーテルにより大伏在静脈と静脈瘤の両方を焼灼しました。手術後は傷あとが目立たずに静脈瘤も消失しました。左足のだるさも改善しました。

立ち仕事をしている20代男性の伏在型静脈瘤
20代の立ち仕事をしている外国人男性です。母親が下肢静脈瘤で手術歴があり、中学生の頃から静脈瘤が出現していました。飲食店で働いており、左足のだるさとむくみに悩まされていました。超音波検査では左大伏在静脈の逆流が見られ、膝上あたりから静脈瘤が発生していました。
レーザーカテーテルにより大伏在静脈と静脈瘤の両方を焼灼し、ご覧のように手術後は静脈瘤が消失しました。左足のだるさとむくみもも改善しました。

皮膚潰瘍の患者さん
立ち仕事をしている60代男性です。以前より色素沈着が見られていましたが放置。足のかゆみがあり皮膚を掻いてしまったところ、潰瘍になってしまいました。超音波検査では左大伏在静脈に逆流があり、レーザーカテーテルで焼灼しました。術後は弾性ストッキングによる足の圧迫を行い、およそ1か月で潰瘍は治りました。しかし、色素沈着はなかなか治りません。

まとめ:早めの診断と治療が大切です
下肢静脈瘤は、放置すると色素沈着や皮膚潰瘍といった重篤な合併症に進行することもあります。自覚症状がなくても気になる血管の浮きがある方は、まずは超音波検査で状態をチェックしてみましょう。目黒外科では初診から検査・治療まで、すべて専門医が対応いたします。
目黒外科のご案内
目黒外科は、下肢静脈瘤レーザー手術件数日本最多(2020年から5年連続、メーカー調べ)の実績を誇る、下肢静脈瘤専門クリニックです。28年以上にわたり下肢静脈瘤治療に専念してきた院長が、診察・検査・説明・手術・フォローアップまで一貫して担当。完全予約制、日曜診療にも対応し、患者様一人ひとりに最適な治療をご提案しています。
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院長著書のご紹介
目黒外科 院長・齋藤 陽は、下肢静脈瘤に関する知識をまとめた書籍『専門医が教える世界一わかりやすい“下肢静脈瘤”の治療と予防』(医学通信社)を執筆しています。実際の治療例を交えながら、下肢静脈瘤の原因・症状・最新治療法・セルフケアについて、専門医が丁寧に解説した一冊です。下肢静脈瘤について深く知りたい方、治療を検討している方におすすめです。
