【医師監修】冬の下肢静脈瘤ケア|乾燥対策で悪化を防ぎ快適な冬を

冬こそ下肢静脈瘤のケアを始めませんか?~暖房による乾燥と悪化のリスク~

冬の寒さは身に染みますが、暖房の効いた部屋で過ごす時間は至福のひとときです。しかし、暖房の使い過ぎは空気の乾燥を招き、肌の乾燥やかゆみを引き起こしやすくなります。特に、下肢静脈瘤をお持ちの方は、この乾燥が症状の悪化につながる可能性があることをご存知でしょうか?

乾燥が下肢静脈瘤に及ぼす影響

下肢静脈瘤は、足の静脈の弁が正常に機能しなくなり、血液が逆流することで血管が拡張し、浮き出て見える病気です。足のむくみやだるさ、痛みなどの症状が現れることもあります。

冬の暖房によって空気が乾燥すると、肌の水分が失われ、かゆみを感じやすくなります。下肢静脈瘤がある場合、このかゆみは通常よりも強く感じられることがあります。かゆみを我慢できずに掻きむしってしまうと、皮膚が傷つき、炎症を起こしたり、さらに悪化すると皮膚潰瘍(皮膚のただれ)を引き起こすリスクを高めてしまいます。皮膚潰瘍は治りにくく、日常生活に大きな支障をきたすため、注意が必要です。

冬こそケアを始めるチャンス

「冬は厚着をするから、足のことは気にしなくても大丈夫」と思っていませんか?実は、冬こそ下肢静脈瘤のケアを始める絶好の機会です。夏に比べて症状が落ち着いているように感じるかもしれませんが、乾燥によって皮膚トラブルが起こりやすい冬だからこそ、適切なケアが重要なのです。

冬の乾燥から足を守るための対策

  1. 保湿ケアの徹底: 入浴後や乾燥を感じた時に、保湿クリームやローションを十分に塗布しましょう。特に、ひざ下から足首にかけては念入りに保湿することが大切です。尿素配合のクリームは保湿効果が高く、おすすめです。
  2. 適切な暖房の使い方: 暖房の設定温度を高くしすぎず、加湿器を併用するなどして、室内の湿度を適切に保ちましょう。目安としては、湿度40~60%程度が快適です。エアコンの風が直接足に当たらないように工夫することも大切です。
  3. 締め付けの少ない服装: 締め付けの強い服装は血行を悪くし、下肢静脈瘤の症状を悪化させる可能性があります。ゆったりとした服装を選びましょう。
  4. 適度な運動: 適度な運動は血行を促進し、下肢静脈瘤の予防や症状の緩和に効果があります。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすように心がけましょう。
  5. 弾性ストッキング(着圧ソックス)の着用: 医療用の弾性ストッキング(着圧ソックス)は、足の静脈を適切に圧迫することで血液の逆流を防ぎ、症状の緩和に効果があります。医師の指示に従って適切なものを選び、正しく着用しましょう。

早めの受診が大切

下肢静脈瘤は進行性の病気です。放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたすだけでなく、合併症を引き起こす可能性もあります。冬は症状が落ち着いているように感じても、自己判断せずに、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。早期に適切な治療を受けることで、症状の進行を抑え、快適な生活を送ることができます。

目黒外科では下肢静脈瘤の専門的な診断と治療を行っております。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。冬の間にしっかりとケアを行い、春夏の薄着になる季節を安心して迎えましょう。

このブログ記事が、下肢静脈瘤でお悩みの患者様にとって有益な情報となることを願っております。