「『下肢静脈瘤』ってどう読むの?読み方・症状・治療法をわかりやすく解説」
 

下肢静脈瘤とは?正しい読み方と原因・症状・治療法を専門医が解説

はじめに

皆さん、こんにちは。下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長の齋藤陽です。

今回は、患者さんからもよく質問される「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という言葉の正しい読み方と、その病気の内容について詳しくお話しします。

下肢静脈瘤は見た目の問題だけでなく、進行するとむくみ・皮膚炎・潰瘍・血栓といった深刻な症状を引き起こすこともあります。早期に理解し、予防・治療を行うことが健康維持のカギになります。

下肢静脈瘤とは?

下肢静脈瘤は、「かし じょうみゃくりゅう」と読みます。足の静脈内にある逆流防止弁が壊れることによって、血液が逆流・うっ滞し、静脈が膨らんでボコボコと皮膚表面に浮き出る病気です。

ふくらはぎに見られる下肢静脈瘤の膨らみ 立ち仕事が多い方、高齢者、妊娠・出産を経験した女性、家族に静脈瘤のある方は特に注意が必要です。

どんな症状が出るの?

  • 足がだるく、夕方になると重く感じる
  • 足がむくみ、靴がきつくなる
  • 皮膚にかゆみ、色素沈着、湿疹が出る
  • 夜間・明け方にふくらはぎがつる(こむら返り)
これらの症状が複数ある場合、静脈瘤が進行している可能性があります。

進行度による分類(CEAP分類)

下肢静脈瘤の進行度は、世界的に用いられている「CEAP分類」という医療指標によって評価されます。
これは、静脈瘤の臨床症状(C)・病因(Etiology)・解剖学的位置(Anatomy)・病態生理(Pathophysiology)の4要素で構成されており、特に患者さんの状態を見分けるうえで最もわかりやすい「C分類(臨床症状)」が診療の現場ではよく使われます。

以下がその分類です:

C1:クモの巣状静脈瘤・網目状静脈瘤(細く浮き出た青紫色の血管)

C2:ボコボコと浮き出た目に見える静脈瘤(3mm以上)

C3:足のむくみ(特に夕方以降に強くなる傾向)

C4:色素沈着・湿疹・うっ滞性皮膚炎(皮膚の慢性炎症)

C5:過去に潰瘍ができた痕跡がある状態(瘢痕)

C6:現在も皮膚潰瘍がある状態(活動性潰瘍)

この分類は、静脈瘤の見た目だけでなく、体の中で起きている変化や将来的なリスクの程度を把握するのに役立つものです。
たとえばC1やC2の段階では見た目の異常が中心ですが、C3以降は皮膚症状や日常生活への支障が強くなり、専門的な治療が必要</strongとなることが多くなります。
また、自覚症状が乏しくても、超音波検査で静脈の逆流が確認されるケースも多く、進行の早い方ではC1からC4へ数年で悪化する例も少なくありません。

見た目に異常がないから大丈夫、と油断せず、気になる症状があれば早めに専門医の評価を受けることをおすすめします。

予防と対策

  • 1日20〜30分のウォーキングで筋ポンプを活性化
  • 長時間の同じ姿勢(立ちっぱなし・座りっぱなし)を避ける
  • 入浴やストレッチで血流を促進
  • 体重管理と塩分控えめの食生活

治療法と当院での対応

当院では、下肢静脈瘤の診断から治療・アフターケアまで一貫して専門医が対応いたします。
  • 保存療法:弾性ストッキング、生活指導
  • 手術療法:血管内焼灼術、グルー治療、硬化療法(すべて保険適用)
すべて日帰り・局所麻酔で対応可能です。

【関連記事】【専門医が徹底比較】下肢静脈瘤の治療法|レーザー・高周波・グルー・ストリッピングの違いとは?

よくあるご質問(FAQ)

❓Q. 静脈瘤は自然に治りますか?

🅰️ いいえ。静脈瘤は一度発症すると自然に元に戻ることはありません。
足の静脈には血液の逆流を防ぐ「静脈弁」があり、これが壊れると血液が足に溜まり、血管が徐々に拡張していきます。
壊れた弁は自己修復されず、放置すればするほどむくみ・色素沈着・皮膚炎・潰瘍・血栓などに進行するリスクが高くなります。
早期に診断し、症状に応じた適切な治療を行うことで進行を食い止め、日常生活の質を維持することが可能です。

❓Q. 若くてもなりますか?

🅰️ はい。下肢静脈瘤は高齢者だけの病気ではありません。
20〜30代の方でも、妊娠・出産・長時間の立ち仕事・遺伝的体質などが引き金となり、発症するケースがあります。
特に妊婦さんは、ホルモン変化や子宮による静脈圧迫によって一時的に発症することもありますが、産後に残存・悪化する場合も多いため注意が必要です。
また、職業柄長時間立ちっぱなし・座りっぱなしの方(飲食店・美容師・販売員・デスクワークなど)も、年齢にかかわらずリスクがあります。
若いから大丈夫と油断せず、症状があれば早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

❓Q. 治療は保険が使えますか?

🅰️はい。下肢静脈瘤の治療は健康保険で治療できます。自己負担額の目安はこちらの関連記事をお読みください。

【関連記事】下肢静脈瘤の治療費用とは?健康保険での費用を解説

まとめ|早期発見・早期対応がカギ

下肢静脈瘤は、血管がボコボコと浮き出る「見た目の変化」だけでなく、放置すれば皮膚の炎症(うっ滞性皮膚炎)や色素沈着、かゆみ、さらには皮膚潰瘍・血栓性静脈炎といった合併症へと進行することもある病気です。 こうした状態になると、治療の選択肢が限られたり、完治までに時間がかかったりするケースも少なくありません。

「仕事の疲れかな」「年齢のせいかも」と思って見過ごしてしまう方も多いですが、むくみ・だるさ・足のつり・皮膚のかゆみなどの違和感がある場合、それは体が出している静脈不全のサインかもしれません。

目黒外科では、下肢静脈瘤の診療に28年取り組んできた専門医が、初診から検査・治療・アフターケアまで一貫して対応いたします。
すべて日帰り・局所麻酔での治療が可能で、忙しい方でも無理なく通院いただけます。
早期の診断と適切な対策により、症状の進行を防ぎ、快適な日常生活を取り戻すことができます。

気になる症状がある方は、「念のため」の受診でも構いません。お気軽にご相談ください。
「ただの疲れかな」と思って放置せず、違和感を覚えたら早めの受診が大切です。目黒外科では、28年の実績をもつ専門医が丁寧に対応いたします。