ふくらはぎが痛いと感じたら|考えられる原因と自宅でできる対処法を専門医が解説


ふくらはぎが痛い原因とは?考えられる病気と対処法を専門医が解説


ふくらはぎが痛い原因とは?考えられる疾患と対処法をわかりやすく解説

ふくらはぎの痛みは、立ち仕事やスポーツ、さらには長時間同じ姿勢でのデスクワークなど、私たちの何気ない日常の中でふと現れることのある身近な症状です。一見すると単なる筋肉の疲れやこりと思われがちですが、実はその背後に深刻な疾患が隠れている可能性もあります。
本記事では、ふくらはぎの痛みの代表的な原因をはじめ、日常生活でできる予防法や症状別の適切な対処法について、わかりやすく丁寧にご紹介します。足の不調が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

原因を知る:ふくらはぎの痛みで考えられる4つの要因

1. 筋肉疲労

ふくらはぎの痛みで最も多い原因のひとつが筋肉の疲労です。長時間立ちっぱなしの仕事や、慣れない運動、さらには日頃の運動不足によって筋肉に負担がかかり、張りや痛みとしてあらわれます。とくに普段あまり体を動かしていない方にとっては、たった数段の階段の上り下りでも翌日にふくらはぎがズキズキと痛むことがあります。疲労が蓄積すると、慢性的なだるさや重さの原因にもなるため、軽視は禁物です。

2. こむら返り(筋肉のけいれん)

「夜中に突然ふくらはぎがつって飛び起きた――」そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?これは「こむら返り」と呼ばれる筋肉の急激なけいれんで、水分やミネラルの不足、冷え、疲労の蓄積などが引き金になります。痛みは一瞬とはいえ鋭く、しばらく動けなくなるほどつらいことも。日中の軽い運動やこまめな水分補給、就寝前のストレッチなどが予防に役立ちます。下肢静脈瘤が原因であるこもしばしば。



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3. 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

ふくらはぎの血管が浮き出てボコボコと蛇行していたり、「夕方になると足がだるくて重い」といった症状がある場合は、下肢静脈瘤が疑われます。これは足の静脈にある逆流防止弁がうまく働かず、血液が逆流して血管が拡張・うっ血することで起こる病気です。痛みのほかにも「むくみ」や「かゆみ」「夜間のこむら返り」など、日常生活にじわじわと影響を及ぼします。特に立ち仕事の方や中高年の女性に多く見られるため、気になる症状があれば早めの相談が安心です。

4. 深部静脈血栓症(DVT)

ふくらはぎの片側だけが突然パンパンに腫れて、歩くたびに強い痛みを感じる――そんなときは深部静脈血栓症(DVT)の可能性があります。
これは足の深部にある静脈の中に血栓(血のかたまり)ができ、血液の流れが妨げられることで痛みや腫れが生じる危険な状態です。
飛行機や新幹線などで長時間動かずに座っていた後や、手術後の安静期間に起こりやすく、場合によっては血栓が肺に飛んで肺塞栓症
を引き起こすことも。
命に関わる可能性があるため、症状に気づいたらすぐに医療機関を受診してください。

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予防が大切!ふくらはぎの痛みを防ぐ5つの習慣

1. 適度な運動を心がける

ふくらはぎの健康を保つには、日常的な運動習慣が欠かせません。ウォーキングや軽いジョギング、ラジオ体操などを無理のない範囲で継続することで、筋肉がしなやかに保たれ、血流もスムーズになります。血流が良くなると、老廃物の排出が促され、筋肉疲労の蓄積や血栓のリスクも軽減できます。毎日の生活に“ちょっと動く時間”を意識して取り入れてみましょう。

2. ストレッチで柔軟性を保つ

運動前後にふくらはぎを丁寧に伸ばすことで、筋肉の柔軟性を維持でき、肉離れやこむら返りなどのトラブルを防げます。特に寒い季節や運動不足が続いた後は、筋肉が硬くなりやすいため、ゆっくりと呼吸をしながらストレッチを行いましょう。テレビを見ながらや、お風呂上がりの習慣として取り入れるのもおすすめです。

3. こまめな水分・ミネラル補給

体内の水分やミネラル(特にカリウムやマグネシウム)は、筋肉の収縮と弛緩を正常に保つために重要な役割を果たしています。脱水状態になると筋肉の働きが乱れ、つりやすくなることも。のどが渇く前に、少量ずつ水やスポーツドリンクをこまめに摂取しましょう。特に汗をかいた後や寝る前などは意識的な水分補給が効果的です。

4. 自分に合った靴を選ぶ

ふくらはぎのトラブルは、足元から始まることもあります。サイズが合わない靴や、硬すぎる靴底、極端に高いヒールなどは、歩くたびにふくらはぎに余計な負担をかけてしまいます。靴を選ぶ際は、足の形や歩き方に合ったフィット感を重視し、クッション性やアーチサポート機能があるかも確認しましょう。特に長時間立ち仕事をする方や外出が多い方にとって、靴選びは体への投資ともいえます。

5. 弾性ストッキング(着圧ソックス)の着用

長時間立ちっぱなしや座りっぱなしの状態が続くと、ふくらはぎに血液が滞りやすくなり、むくみや痛みの原因になります。そうしたときに役立つのが、弾性ストッキング(着圧ソックス)です。ふくらはぎを適度に圧迫することで、静脈の血流をサポートし、血液の滞留やうっ血を防ぐ効果があります。

特に、下肢静脈瘤の予防や進行を抑える手段としても推奨されており、医療用のものは専門の医師の指導のもとで使用することでより効果的です。旅行中のエコノミークラス症候群対策や、デスクワーク中のむくみ防止にも役立ちます。履くだけの簡単なケアなので、日常に無理なく取り入れられます。

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痛みが出たときのセルフケア:自宅でできるふくらはぎケアのポイント

● 安静にして無理をしない

ふくらはぎにズキズキとした痛みや重だるさを感じるときは、まずは無理をせず、患部をしっかりと休ませることが大切です。特に筋肉疲労が原因の場合、無理に動かすことで炎症や痛みが悪化することもあります。横になって脚を少し高く上げるなど、血流が滞らないようにしながら、ゆっくりと体を休めましょう。

● 状況に応じて冷やす or 温める

痛みの性質によって、適切なケア方法を選ぶことが重要です。

  • 急な痛みや腫れ、熱感がある場合は、氷や冷却パックを使って患部を冷やしましょう。炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。

  • 一方で、慢性的な疲労感や筋肉のこわばりがあるときには、温かいお風呂に浸かる、温湿布を使うなどして温めると、血行が促進されて筋肉がやわらぎます。

冷やすか温めるか迷う場合は、症状の出方やタイミングを参考に判断すると良いでしょう。

● マッサージやストレッチで血流を促す

軽くふくらはぎをマッサージしたり、ストレッチを行ったりすることで、筋肉の緊張をほぐし、血流をスムーズに保つことができます。こうしたケアは筋肉疲労の回復を早めるだけでなく、下肢静脈瘤の予防や進行抑制にも効果的です。

ただし、ふくらはぎに急激な腫れや強い痛みがある場合は、深部静脈血栓症(DVT)などのリスクも考慮し、マッサージは避け、速やかに医療機関を受診しましょう。

また、医療用弾性ストッキングの着用も、ふくらはぎの血流改善に大いに役立ちます。医師の指導のもとで正しく使用すれば、エコノミークラス症候群の予防や、長時間のデスクワーク中のむくみ防止にも効果的です。履くだけの簡単ケアなので、忙しい日常の中でも無理なく続けられるのが魅力です。

医療機関の受診が必要なケース

次のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
  • 痛みとともにふくらはぎが腫れている
  • 皮膚が赤く熱を持っている
  • 歩くのが困難なほどの激痛がある
  • 長時間飛行機に乗った後や入院後に痛みが出た
症状が長引く、悪化する場合は自己判断せず、専門医の診察を受けましょう。

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