下肢静脈瘤を放置するとどうなる?皮膚潰瘍・血栓・痛みなどの合併症を専門医が解説
監修:下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤陽 医師(外科専門医・血管内治療学会指導医)
下肢静脈瘤は「見た目の問題」として軽く見られがちですが、放置すれば深刻な健康被害を招くリスクがあります。特に症状が軽いうちは受診を後回しにしてしまう方が多いのですが、皮膚潰瘍や血栓性静脈炎、慢性的な痛みなど、生活の質を大きく下げる合併症が生じることも。この記事では、下肢静脈瘤を放置した場合に生じうる症状と、早期治療の重要性について専門医が詳しく解説します。
皮膚潰瘍(静脈性潰瘍)
脚の血流が悪化すると、皮膚の栄養が不足し、結果的に潰瘍(慢性的な傷)が発生することがあります。これが静脈性潰瘍です。特に足首やすねの内側に多く見られ、治癒には数ヶ月かかることもあります。

血栓性静脈炎
血栓性静脈炎は、静脈瘤内部に血栓ができて炎症を引き起こす状態です。赤く腫れ、硬くなり、熱感や強い痛みを伴います。さらに悪化すると、稀に深部静脈血栓症に進行するおそれもあります。

色素沈着・皮膚脂肪硬化症
慢性的な静脈うっ滞により、脚の下部が茶褐色に変色し、皮膚が硬くなることがあります。これが皮膚脂肪硬化です。進行すると皮膚潰瘍の前段階ともなりえます。

慢性的な痛みやこむら返り
立ち仕事・座り仕事で症状が悪化し、脚が重だるくなったり夜間にこむら返りが頻発したりするケースもあります。こうした症状は睡眠の質を下げ、生活全体に影響を及ぼします。
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早期治療の重要性
下肢静脈瘤は自然に治ることはありません。皮膚切開を伴わない最新治療(レーザー・グルー治療など)であれば、術後の回復も早く、翌日から日常生活が可能です。目黒外科では、お一人おひとりに合った治療方針を丁寧にご提案いたします。
患者さんの声
以前は「ちょっと足がだるいだけだから大丈夫」と思って放置していましたが、気づけば足首が黒ずみ、痛みも強くなってきて受診しました。手術は本当にあっという間で、今はまったく症状がありません。もっと早く相談すればよかったと反省しています。
50代 女性・会社員
よくある質問(FAQ)
- Q1. 皮膚が茶色くなっています。これも下肢静脈瘤の症状ですか?
- A1. はい。色素沈着や皮膚硬化は進行した静脈瘤でよく見られる症状で、放置すると潰瘍になることもあります。
- Q2. こむら返りが頻繁に起こるのですが、関係ありますか?
- A2. 下肢静脈瘤の方では、血流の停滞によってふくらはぎがつりやすくなることが多く報告されています。
- Q3. 症状が軽くても手術した方がいいですか?
- A3. 軽症の下肢静脈瘤は、主に見た目が気になる場合やご本人が改善を希望される場合に治療対象となります。まずはエコー検査で静脈の状態を正確に把握することが大切です。
この記事は医学的知見に基づき、2025年6月に作成されました。内容は最新のガイドラインに準拠していますが、症状のある方は必ず専門医にご相談ください。