下肢静脈瘤の原因・症状・予防・治療法まで専門医が徹底解説!

下肢静脈瘤とは

 

【専門医監修】下肢静脈瘤の原因・症状・予防・治療法を徹底解説

足の血管がボコボコと浮き出て見える、夕方になると脚が重くてだるくなる、夜中や明け方にふくらはぎがつって目が覚める…。
こうした症状は、年齢や疲れのせいと思われがちですが、実は「下肢静脈瘤」という病気のサインである可能性があります。
初期のうちは見た目だけの変化でも、進行するとむくみ・かゆみ・皮膚の変色・潰瘍など、日常生活に支障をきたす症状に発展することもあります。
気になる症状がある方は、我慢せずに専門医の診察を受けてみましょう。

下肢静脈瘤の症例写真

下肢静脈瘤は、足の静脈が拡張し、うねるように蛇行して浮き出る病気です。
見た目の問題だけでなく、放置すると色素沈着や皮膚潰瘍、血栓性静脈炎といった合併症を引き起こすリスクもあるため、早めの対策が重要です。

下肢静脈瘤の原因

主な原因は、静脈の中にある「逆流防止弁(静脈弁)」が壊れてしまうことです。
健康な静脈では、この弁が血液の逆流を防ぎ、足から心臓へスムーズに血液を送り返しています。
しかし、弁の機能が低下すると血液が重力に負けて足の方へ逆流し、静脈内に滞留するようになります。
この血液の滞りが続くと、静脈に余分な圧力がかかり、血管が徐々に拡張・蛇行してボコボコと浮き出た状態になるのが下肢静脈瘤です。

下肢静脈瘤の原因

以下のような方は特に発症リスクが高くなります:

下肢静脈瘤の発症リスク
  • 長時間の立ち仕事や座り仕事
  • 遺伝的要因(親や祖父母に静脈瘤がある)
  • 妊娠や出産歴
  • 加齢
  • 肥満
  • 運動不足

下肢静脈瘤の症状

初期段階では目立つ症状が少なく、見た目の異常に気づいて受診する方が多いです。
進行すると以下のような症状が現れます:

  • 脚の重だるさ・疲れやすさ
  • 足首やふくらはぎのむくみ
  • 夜中や明け方のこむら返り
  • 皮膚の黒ずみ(色素沈着)
  • 湿疹・かゆみが慢性化
  • 皮膚潰瘍(重症例)

下肢静脈瘤の予防法

生活習慣の見直しで下肢静脈瘤の発症・進行を防ぐことができます:

  • こまめに脚を動かす:立ちっぱなし・座りっぱなしを避け、ストレッチや歩行を意識しましょう。
  • ふくらはぎを鍛える:階段の上り下りやウォーキングで「筋ポンプ機能」を高めます。
  • 体重管理:適正体重の維持が下肢への負担を減らします。
  • 弾性ストッキングの活用:朝起きた直後に履くことで、日中の逆流を予防できます。

下肢静脈瘤の治療法

進行した下肢静脈瘤には医療的治療が必要です

下肢静脈瘤は自然に治ることはなく、進行すると症状や合併症が悪化するため、医療による適切な治療が必要です。
患者様の症状の重さ、年齢、生活スタイルなどに応じて、以下の治療法が選択されます。

■ 圧迫療法(保存的治療)

医療用の弾性ストッキングを日中に着用し、脚への血流をサポートする方法です。
静脈内圧を下げ、血液の逆流を抑える効果があります。
初期〜中等度の静脈瘤や妊娠中の方、立ち仕事をされている方に推奨されますが、進行した静脈瘤を根本的に治す方法ではありません

弾性ストッキング(画像提供:グンゼ株式会社)

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■ 硬化療法(保険適用)

細い血管(クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤など)に対して、硬化剤という薬剤を注入し、血管を閉塞させる治療法です。
外来で短時間に行え、美容目的の治療や再発静脈瘤にも適応されます。
副作用として色素沈着が一時的に残ることがありますが、通常は数か月〜1年ほどで改善します。

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■ 血管内焼灼術(レーザー・高周波)

カテーテルを用いて静脈の内側から熱(レーザーまたは高周波)で焼灼し閉塞する治療法です。
皮膚を切らずに日帰り手術(通院治療)で対応可能。術後の痛みが少なく、回復も早いことから、現在の第一選択治療となっています。
目黒外科では年間1,000件以上の実績があり、安心して受けていただけます。

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■ 血管内塞栓術(グルー治療)

熱を使わず、医療用接着剤(グルー)で静脈を閉塞する新しい治療法です。
術後の痛みが非常に少なく、圧迫ストッキングの着用が不要な場合もあります。
神経障害のリスクがほとんどないため、高齢者やストッキング着用が難しい方に適しています。

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■ ストリッピング手術

静脈瘤の原因となっている血管を外科的に引き抜く手術です。
かつて主流だった治療法ですが、現在では低侵襲なカテーテル治療が普及しており、特殊な症例や再発例に限って行われることが多くなっています。

いずれの治療も、症状や患者様のご希望に応じて専門医がご提案いたします。
気になる症状がある方は、まずはご相談ください。

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まとめ|早期の診断・治療が大切です

下肢静脈瘤は見た目だけの問題ではなく、進行すれば皮膚トラブルや血栓症などの合併症を引き起こすことがあります。
早期に専門医の診断を受けることで、保険診療での治療や、痛みの少ない日帰り手術が可能です。

目黒外科では、下肢静脈瘤の専門医が診察から検査、治療、術後のフォローアップまで一貫して担当しています。
初診では超音波検査を用いて静脈の状態を正確に評価し、患者様一人ひとりに合った最適な治療方法をご提案します。
また、日帰り手術に対応した最新の医療機器を完備し、レーザー治療やグルー治療など低侵襲な治療法にも力を入れています。
「どの治療法が自分に合っているか分からない」「まずは相談だけしたい」という方も、お気軽にご来院ください。


この記事は、下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長・齋藤 陽(外科専門医/下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会の実施医・指導医)の監修により作成されています。

 

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