【医師監修】足に浮き出る血管は下肢静脈瘤のサイン?原因と症状を専門医がわかりやすく解説
「クネクネした足の血管がボコボコと浮き出てきた……これって何かの病気?」そう感じたことがある方は、下肢静脈瘤の可能性を疑ってみましょう。
本記事は、下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長・齋藤陽(医学博士)の監修のもと、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
こんな症状はありませんか?
- 足の血管がクネクネと浮き出てきた
- 夕方になると足がだるくて重い
- 足がむくみやすい
- こむら返り(特に明け方)
- 湿疹やかゆみ、色素沈着がある
こうした症状にひとつでも心当たりがある方は、「下肢静脈瘤」という静脈の病気が隠れている可能性があります。
特に、これらの症状は単なる疲労や加齢のせいと見過ごされがちですが、実際には静脈の逆流が慢性的に起こっているサインであることも多く、放置すると皮膚の炎症や潰瘍に進行することもあります。
症状が軽いうちに専門医の診察を受けることで、日帰りでの治療や進行の予防が可能になりますので、ぜひ早めの受診をご検討ください。
下肢静脈瘤とは?
下肢静脈瘤とは、足の静脈内で血液が本来の流れとは逆方向に逆流し、その結果として血管が拡張し、こぶのように膨らんだり、クネクネと蛇行したりする慢性的な疾患です。
健康な状態では、血液は心臓から全身へ送り出された後、酸素や栄養を各組織に届け、静脈を通って再び心臓へと戻っていきます。特に足の先から戻る血液は、重力に逆らって上向きに流れる必要があるため、身体には巧妙な仕組みが備わっています。
その重要な働きを担っているのが「静脈弁(じょうみゃくべん)」と呼ばれる構造です。静脈弁は血液が下から上に流れる途中で逆流を防ぐ“逆止弁”のような役割を果たしており、筋肉の収縮とともに血液を段階的に押し上げるサポートをしています。
静脈弁(じょうみゃくべん)は、足から心臓へと血液が戻る途中で「逆流を防ぐ弁」の役割を果たしており、ちょうど一方向にしか開かない“フタ”のような構造になっています。
歩行やふくらはぎの筋肉の収縮によって押し上げられた血液が、再び重力で下に落ちないよう、この弁が段階的に閉じることで、スムーズかつ効率的に心臓へと送り返されます。
ところが、加齢・妊娠・長時間の立ち仕事・遺伝的素因などによってこの静脈弁が壊れたり、ゆるんだりして機能不全に陥ると、血液が逆流して足にとどまりやすくなります。
このようにして静脈内の圧力が高まり、血管壁が押し広げられて蛇行・膨張した状態が「下肢静脈瘤」として目に見える症状となって現れます。
結果として、静脈弁が壊れて血液が逆流すると、足の静脈内に老廃物を多く含んだ「静脈血(じょうみゃくけつ)」がうっ滞し、正常な血流が保たれなくなります。
この状態が続くと、酸素や栄養が皮膚や筋肉に行き届きにくくなり、見た目にクネクネと浮き出た血管が目立つだけでなく、足のだるさ・むくみ・かゆみ・湿疹・色素沈着・こむら返りといった多彩な不調を引き起こすようになります。
さらに重症化すると、皮膚が硬く変化する「脂肪皮膚硬化」や、最終的には「皮膚潰瘍」に進行するケースもあります。

うっ滞性皮膚炎の皮膚症状
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下肢静脈瘤で起こる主な症状
足の重だるさや疲れやすさ、夕方になると悪化する足のむくみ、明け方や起床時に起こるこむら返りは、下肢静脈瘤の代表的な初期症状です。
さらに、ふくらはぎや太ももにクネクネと浮き出た血管が目立つようになったり、皮膚に湿疹やかゆみが現れ、時間が経つにつれて茶色っぽい色素沈着が起こることもあります。
症状が進行すると、皮膚の慢性的な炎症により弾力を失って硬くなる「脂肪皮膚硬化」が現れ、さらに放置すると皮膚が破れて潰瘍(皮膚のただれ)に至ることもあります。
潰瘍は自然には治りにくく、長期にわたる治療が必要になるケースもあるため、早めの対応がとても重要です。
放置せず、早めに専門医へ相談を
下肢静脈瘤は命に直結する病気ではないものの、慢性的かつ進行性の疾患です。
初期のうちは「見た目が気になるだけ」と感じていても、放置すればするほど、足のだるさやむくみ、かゆみ、皮膚の変色、潰瘍といった症状が悪化し、歩行や睡眠など日常生活に支障をきたすようになります。
つまり、下肢静脈瘤は“美容の問題”にとどまらず、生活の質(QOL)をじわじわと低下させていく病気なのです。
しかし、早期に診断を受け、適切な治療を行えば、進行を防ぎ、症状を軽減することが可能です。
日常の不快感から解放され、外出や仕事にも前向きに取り組めるようになります。
症状に心当たりのある方は
目黒外科では、エコーを用いた精密検査と、日帰りで受けられる最新の治療法をご提供しています。
監修:目黒外科 院長 齋藤陽(医学博士)
下肢静脈瘤の専門治療に特化したクリニックとして、年間1,000件を超える治療実績があります。医療用弾性ストッキングや血管内治療、硬化療法など、一人ひとりに最適な治療法をご提案しています。