両親からの遺伝で若くして発症する下肢静脈瘤にご注意を|進行を防ぐ方法とは
この記事は下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤陽 医師が監修しています。
なぜ下肢静脈瘤は遺伝するのか?
静脈の弁機能不全は遺伝しやすい
下肢静脈瘤は、静脈の中にある逆流防止の弁が壊れることによって発症します。この弁の強さや構造は遺伝的要因によって左右されるため、親から子へと静脈瘤のリスクが受け継がれることがあります。

下肢静脈瘤の画像
両親の静脈瘤があると発症リスク90%
統計によれば、両親ともに下肢静脈瘤がある場合、子どもが発症する確率は90%と非常に高く、片親のみでも女児で62%、男児で25%と報告されています(出典:Gundersen J, Hauge M. Hereditary factors in venous insufficiency. Angiology. 20: 346-55, 1969)
遺伝性下肢静脈瘤の特徴と注意点
10代~20代でも発症する可能性
一般的に下肢静脈瘤は中高年に多く見られますが、遺伝性の場合は10代や20代など若年層でも発症することがあります。症状としては、足のだるさやふくらはぎの痛み、皮膚のかゆみなどがあり、放置すると色素沈着や湿疹へと進行します。
進行を防ぐための3つの具体的対策
① 弾性ストッキングの正しい着用
医療用の弾性ストッキングは、足首から段階的に圧力をかけることで血流を促進し、静脈の逆流を抑制します。日中の活動時に着用するのが効果的です。
② 長時間の立ち仕事・座りっぱなしを避ける
同じ姿勢を続けると静脈内の血流が悪くなり、静脈瘤が進行します。1時間に1回は足を動かす、ふくらはぎを軽くマッサージするなどの工夫を取り入れましょう。
③ 年齢に関係なくエコー検査で早期診断
自覚症状がなくても、ご家族に静脈瘤の既往がある方は早めにエコー検査を受けることをおすすめします。目黒外科では保険適用で検査が可能です。
医師の立場から伝えたいこと
遺伝性のある人ほど早めの受診を
遺伝的にリスクが高い方は、早期に医師の診察を受けることで、進行を遅らせたり将来の合併症(皮膚潰瘍など)を予防することができます。
日帰り手術で早期に症状を改善する選択肢も
目黒外科では、切らない・縫わないレーザー治療や接着剤治療(グルー治療)などの最先端治療を日帰りで行っています。痛みも少なく、社会復帰も早いのが特徴です。
まとめ:親から受け継いだ静脈の弱さとどう向き合うか
下肢静脈瘤は、親からの遺伝によって若いうちから症状が出ることがあります。完全な予防は難しいものの、生活習慣の見直しと早期受診によって、症状の進行を大きく遅らせることが可能です。
親に静脈瘤がある方は、ぜひ一度、専門医の診察を受けましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 親が下肢静脈瘤なら必ず遺伝しますか?
A. 必ずとは言えませんが、統計的に高確率で遺伝することが分かっています。特に両親ともに症状がある場合は要注意です。
Q2. 若くても検査を受けるべきですか?
A. はい、10代・20代でも遺伝性のリスクがある方は、症状の有無にかかわらずエコー検査で状態を把握することが大切です。
Q3. 弾性ストッキングはいつから使うべき?
A. 軽度の症状や違和感を覚えた段階から着用すると、進行を防ぐ効果が期待できます。医師と相談しながら選びましょう。
関連記事リンク
下肢静脈瘤専門クリニック『目黒外科』のご案内
目黒外科は、2020年から5年連続で日本最多のレーザー手術件数を誇る下肢静脈瘤専門クリニックです。完全予約制・日曜診療対応で、忙しい方でも安心してご相談いただけます。