下肢静脈瘤の手術後、足の症状と見た目はどうなる?生活面での注意点は?


【医師監修】下肢静脈瘤手術後の足の変化とは?経過・注意点を専門医が詳しく解説


【専門医が解説】下肢静脈瘤の手術後、足はどう変わる?術後の経過と生活上の注意点を徹底ガイド


【専門医が解説】下肢静脈瘤の手術後、足はどう変わる?術後の経過と生活上の注意点を徹底ガイド

「下肢静脈瘤の手術を受けた後、足はどんなふうに変わるの?」「日常生活はいつから普通に戻れる?」そんな疑問に、専門医が実例とともにわかりやすく解説します。

下肢静脈瘤とは?

足の静脈内にある逆流防止弁が壊れ、血液が逆流して静脈が拡張する病気です。だるさ、むくみ、こむら返りが主な症状で、進行すると皮膚の変色や潰瘍を伴うこともあります。

下肢静脈瘤のイラスト これにより、足が重く感じたり、こむら返りやむくみを引き起こすことがあります。
症状が進行すると、皮膚の変色や潰瘍などの合併症も生じることがあります。

主な手術方法とその違い

血管内焼灼術(レーザー・高周波)

細いカテーテルを静脈の中に挿入し、レーザーや高周波の熱エネルギーを用いて血管の内側から焼灼(しょうしゃく)することで、異常な血流を遮断する治療法です。
皮膚を大きく切る必要がないため、体への負担が少なく、傷跡もほとんど残りません。
従来のストリッピング手術に比べて痛みが軽く、回復も早いため、日帰りで受けられるのが大きな特徴です。
現在では、下肢静脈瘤の治療として最も一般的に行われている方法です。

血管内焼灼術のイメージ図

血管内塞栓術(グルー治療)

医療用の瞬間接着剤(シアノアクリレート)をカテーテルを使って静脈内に注入し、血管の壁を接着して閉塞させる血管内塞栓術(グルー治療)です。
レーザーや高周波による熱エネルギーを使わない
ため、神経への影響や熱による痛みが少なく、術後の太もものつっぱり感や違和感も軽減される傾向があります。
麻酔の範囲も最小限で済み、より身体にやさしい治療法として注目されています。特に、皮膚の下を走る静脈が神経に近い位置にある方や、術後のつっぱりを心配される方に適しています。

グルー治療のイメージ

ストリッピング手術

ストリッピング手術とは、逆流や拡張を起こしている静脈にワイヤーを通し、皮膚を数か所切開して物理的に静脈を体外へ引き抜く従来の手術法です。
近年はカテーテル治療が主流となり、この手術はあまり行われなくなりましたが、血管が著しく蛇行していたり、再発例でカテーテルが通らない場合などには今も適応となることがあります
術後は切開部に縫合が必要となるため、ダウンタイムや内出血がやや長くなる傾向がありますが、状況によっては確実な効果が期待できる選択肢の一つです。

ストリッピング手術のイラスト 関連記事:【専門医が徹底比較】下肢静脈瘤の治療法|レーザー・高周波・グルー・ストリッピングの違いとは?

手術後の足の変化と経過

症状と見た目の改善

手術後は、足のだるさや重さ、夕方になると出ていたむくみなどの不快な症状が大幅に改善されることが多く、患者さまからも「足が軽くなった」との声をよくいただきます。
また、ボコボコと浮き出ていた静脈も目立たなくなり、見た目も大きく改善されます。
特にレーザー治療は皮膚を切らずに静脈の内側から閉塞するため、傷跡がほとんど残らず、術後に露出のある服を着る際も安心です。
美容面の悩みも同時に解消できるのが、この治療の大きなメリットです。

術後の足の改善例

典型的な下肢静脈瘤の術後経過

内出血(アザ):
手術後に太ももやふくらはぎに紫色や黄色っぽいアザのような内出血が見られることがあります。これは血管治療の性質上、血液が皮下ににじみ出ることで起こる一時的な現象で、通常は1〜2週間ほどで自然に吸収され、消えていきます。痛みはほとんど伴わないことが多く、治療の経過としてご心配は不要です。

太もものつっぱり感:
術後しばらくの間、太ももやふくらはぎに「ピンと張ったような感覚」やつっぱる感じが出ることがあります。これは焼灼された静脈が徐々に硬く縮んでいく過程で起きる反応で、1〜2ヶ月ほどかけて徐々に軽快します。特に長時間座っていて立ち上がる瞬間に強く感じる方が多いですが、歩き始めると自然と楽になるのが特徴です。

しこり:
術前にボコボコと目立っていた静脈瘤の部分に、術後もしばらく「しこり」のような硬さや盛り上がりが残ることがあります。これは焼灼や塞栓によって閉塞された血管が、体内でゆっくりと吸収されていく過程で見られるものです。個人差はありますが、おおよそ3〜6ヶ月ほどで自然に平坦化し、目立たなくなっていきますのでご安心ください。

術後のしこりのイメージ

下肢静脈瘤手術後のケアと注意点

弾性ストッキングの着用

術後のむくみ・内出血・血栓リスクを軽減するために、弾性ストッキング(着圧ソックス)の着用が強く推奨されます。
手術後は一時的に足のむくみや内出血、まれに血栓(深部静脈血栓症)のリスクが高まることがあります。これを防ぐために有効なのが、専用の医療用弾性ストッキング(着圧ソックス)の着用です。

弾性ストッキングは、足首から太ももにかけて段階的に圧力をかける設計になっており、重力で下がりがちな血液を心臓に戻すサポートを行うことで、術後の腫れや内出血を抑えるだけでなく、血流を促進し血栓の予防にもつながります

当院では、術後1か月間の着用を基本とし、必要に応じて期間を延長しています。術前から慢性的に足のむくみがある方には、より長期間の着用をお願いすることもあります。医師の指示のもと、ご自身の脚の状態に合った圧力・長さのストッキングを選ぶことが大切です。

弾性ストッキングの写真 関連記事:弾性ストッキングの効果と選び方|下肢静脈瘤専門医が解説

生活習慣と運動

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、術後の回復を促進するうえで非常に重要です。
術後の静脈の血流をスムーズに保つには、適度な運動が欠かせません。特にウォーキングはふくらはぎの筋肉(“第二の心臓”とも呼ばれる)をしっかり動かすことができ、血液の循環を助けて血栓の予防にも効果的です。

ストレッチも同様に、関節や筋肉をほぐすことで血流が促進され、足の重だるさやこわばり感の軽減につながります。

また、術後に長時間座りっぱなしや立ちっぱなしといった同じ姿勢を続けることは、血流を悪化させる原因となります。仕事中でもこまめに足を動かす、定期的に立ち上がって歩くなど、意識的に身体を動かす習慣をつけましょう。

術後のフォローアップ

再発や合併症の早期発見のためにも、術後は医師の指示に従って定期的に診察を受けることが重要です。
下肢静脈瘤は治療後も生活習慣や体質によっては別の血管に新たな逆流が生じる可能性があります。特に、下肢静脈瘤の原因が遺伝と考えられる若年発症の方や、再発した方では、数ヶ月〜1年単位での経過観察が推奨されます。

超音波検査によって静脈の状態を詳細に確認できるため、自覚症状がない場合でも再発の兆候を早期に察知することが可能です。
万が一、再度治療が必要となった場合でも、初期段階で発見できれば、より簡単で負担の少ない処置で済むことがほとんどです。

健康な足を長く保つためにも、「もう治ったから大丈夫」と思わず、アフターケアの一環として定期診察を習慣化することをおすすめします。

まとめ

下肢静脈瘤の手術は、足のだるさやこむら返りといった自覚症状の改善はもちろん、ボコボコと浮き出た血管が目立たなくなることで、見た目のコンプレックスの解消にもつながります。

とくにレーザーカテーテル治療は傷跡がほとんど残らず、日常生活への影響も最小限に抑えられるため、多くの方に満足いただいています。

ただし、術後の経過を良好に保ち、再発を防ぐためには、弾性ストッキングの着用や生活習慣の見直しといったセルフケアが欠かせません。

健康的で快適な足を長く維持するためにも、治療後のケアや定期的なフォローアップを大切にしましょう。 目黒外科では、術後も一人ひとりの状態に合わせた丁寧なサポートを行っていますので、安心してご相談ください。

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28年以上にわたり下肢静脈瘤治療に専念してきた院長が、診察・検査・説明・手術・フォローアップまで一貫して担当します。
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