下肢静脈瘤は見た目だけじゃない!健康リスクと治療法を専門医が解説

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤の症状と健康への影響|放置リスクと治療法を専門医が解説

この記事は、下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤陽 医師(日本外科学会認定外科専門医)が監修しています。

脚に浮き上がる血管、夕方になると感じるだるさや重み……。それは単なる見た目の問題ではなく、「下肢静脈瘤」という健康に関わる病気かもしれません。この記事では、下肢静脈瘤の原因・症状・健康リスク・治療法・予防策について、専門医の視点から詳しく解説します。

1. 下肢静脈瘤の原因と症状

下肢静脈瘤は、静脈内の弁がうまく機能しなくなり、血液が逆流して足に滞留することで発生します。特に以下のような方に多く見られます。

代表的な症状は以下の通りです:

下肢静脈瘤の画像

2. 健康への影響

下肢静脈瘤は見た目の問題だけでなく、放置すると深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

  • 慢性的な脚の痛みやだるさ:日常生活に支障をきたすことも。
  • 皮膚の色素沈着・皮膚脂肪硬化:皮膚が茶色く変色したり、硬くなることもあります。
  • 皮膚潰瘍:血流の悪化により、治りにくい傷ができる場合があります。
  • 血栓性静脈炎:血液が滞留し、炎症や痛みを伴う血栓ができる可能性も。

3. 下肢静脈瘤の治療法

症状の程度により、以下のような治療法が選ばれます。

弾性ストッキング(着圧ソックス)

軽症の下肢静脈瘤の方には、ふくらはぎに段階的な圧力をかける医療用の弾性ストッキング(着圧ソックス)が有効です。これにより、血液の逆流を防ぎ、ふくらはぎの筋肉ポンプを助けることで血流を改善します。立ち仕事や長時間のデスクワークが多い方に特におすすめで、日常生活に取り入れやすい予防・進行抑制法として広く使用されています。ただし、サイズや圧迫圧は医師の指導のもとで選ぶことが大切です。

弾性ストッキング(画像提供:グンゼ株式会社)

血管内焼灼術(カテーテル治療)

「血管内焼灼術(カテーテル治療)」は、細いカテーテルを静脈内に挿入し、内側からレーザーや高周波(ラジオ波)で加熱して血管を閉塞する治療法です。皮膚を切開する必要がなく、縫合も不要なため傷跡が残りにくく、見た目にも配慮された低侵襲治療です。
局所麻酔と静脈麻酔で行われるため、手術中の痛みや不安もほとんどありません。通常は当日中に歩いて帰宅できる日帰り手術であり、翌日から仕事や家事などの日常生活にも復帰しやすいのが特徴です。再発率が低く、標準治療として国内外で広く行われています。

血管内塞栓術(グルー治療)

「血管内塞栓術(グルー治療)」は、医療用の瞬間接着剤(シアノアクリレート系)を静脈内に注入し、逆流の原因となっている血管を物理的に閉鎖する治療法です。レーザー治療や高周波治療のような熱による焼灼を伴わないため、熱による神経損傷のリスクがなく、安全性が高いとされています。局所麻酔のみ、もしくは麻酔をほとんど使わずに実施可能で、術中・術後の痛みが極めて少ないのが特徴です。術後の弾性ストッキング着用の必要もほとんどなく、高齢者や痛みに弱い方、再発例にも適した選択肢として注目されています。

硬化療法

「硬化療法(スクレロセラピー)」は、硬化剤と呼ばれる薬剤(ポリドカノールなど)を静脈内に注入し、血管の内膜に炎症を起こさせて閉塞させる治療法です。治療後、血液は自然に他の正常な静脈に流れるようになります。
主にクモの巣状静脈瘤網目状静脈瘤といった細かい表在静脈の治療に適しており、外見の改善を目的とする患者に多く選ばれています。注射のみで治療できるため体への負担が少なく、短時間で終了するのが特徴です。
硬化剤の濃度や注入量は静脈の太さに応じて調整され、医師の技術と経験が重要な治療法の一つです。また、治療後は一定期間の弾性ストッキング着用が必要です。

4. 下肢静脈瘤の予防方法

  • 適度な運動:ウォーキングやストレッチで血流を促進。
  • 長時間の立ち仕事や座位を避ける:こまめに足を動かす工夫を。
  • 弾性ストッキングの活用:特に立ち仕事や旅行時に効果的。

まとめ

下肢静脈瘤は、見た目だけでなく健康にも深く関わる疾患です。違和感を感じたら早めに専門医へ相談することをおすすめします。目黒外科では、豊富な実績と最新設備で、一人ひとりに合った治療をご提案しています。


目黒外科 下肢静脈瘤専門クリニック

よくある質問(FAQ)

Q1. 下肢静脈瘤は自然に治りますか?

A. 一度拡張した静脈は自然には元に戻りません。進行を防ぐには早期治療が重要です。

Q2. 手術後はいつから仕事に復帰できますか?

A. ほとんどの方が手術翌日から通常の生活に戻れます。デスクワークなどはその日のうちに可能です。

Q3. 男性にも下肢静脈瘤はありますか?

A. はい。特に長時間立つ職業に従事する男性に多く、進行してから受診する傾向があります。

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