膝裏の青い血管「網目状静脈瘤」とは?原因・治療法を専門医が解説
本記事は下肢静脈瘤専門クリニック「目黒外科」院長 齋藤 陽 医師が監修しています。
網目状静脈瘤は、皮膚のすぐ下にある直径1〜2mmの細い青い静脈が浮き出る症状で、特に膝の裏側や太ももの裏に現れやすいのが特徴です。伏在型静脈瘤のようにボコボコと盛り上がることはなく、自覚症状が少ないため気づかれにくいですが、見た目を気にされる方にとっては大きな悩みです。
この記事では、網目状静脈瘤の特徴や原因、治療法と予防策について、下肢静脈瘤専門医の視点からわかりやすく解説します。
どんな症状?網目状静脈瘤の特徴と見た目
- 見た目: 青〜緑色の細い静脈が網目状に浮かびます。主に膝裏や太もも裏に多く見られます。
- 自覚症状: ほとんどの場合痛みはありませんが、まれにチクチクした軽い痛みやかゆみを伴うことがあります。
- 進行性: 他の静脈瘤と比べると悪化しにくく、重大な健康被害をもたらすことは稀です。

網目状静脈瘤の画像
なぜできるの?網目状静脈瘤の原因
以下の要因が複数絡み合って発生することが多いです:
- 遺伝: 家族に静脈瘤がある場合は、発症しやすい傾向があります。
- ホルモンの影響: 妊娠やピルなどのホルモン変化は血管を拡張させやすく、特に女性に多く見られます。
- 生活習慣: 長時間の立ち仕事や座りっぱなしの姿勢が続くと、脚の血流が滞り静脈瘤のリスクが高まります。
- 加齢: 静脈の弾力が失われやすくなり、血管が浮き出やすくなります。
治療法|フォーム硬化療法が主流
見た目が気になる方には、保険適用のフォーム硬化療法が効果的です。
フォーム硬化療法の流れ
- 細い注射針で硬化剤を血管内に注入
- 静脈が閉じて数週間〜数ヶ月で目立たなくなります
- 施術時間は短く、通院で対応可能

硬化療法施術の様子
メリット・デメリット
- メリット: 傷跡が残らず、ダウンタイムも少ないため美容目的でも選ばれやすい治療です。
- デメリット: 治療後、一時的に色素沈着が起こる場合があります。
施術の様子は以下の動画をご覧ください。
再発を防ぐには?予防とケアのポイント
治療後や軽度の症状の場合には、以下のケアで予防効果が期待できます。
- 弾性ストッキングの着用で圧迫をサポート
- ウォーキングやストレッチなどの軽い運動
- 長時間の同一姿勢を避ける工夫
治療が必要なケースとは?
以下に該当する方は専門医へのご相談をおすすめします:
- 見た目が気になってストレスを感じている
- かゆみや軽い痛みを感じることがある
- 再発予防を含めて一度しっかり治療したい
まとめ|見た目の悩みも医学的に改善できます
網目状静脈瘤は放置しても健康への影響は少ない一方で、見た目の悩みが精神的なストレスになる場合は治療の対象となります。
目黒外科では、保険適用のフォーム硬化療法をはじめ、患者さま一人ひとりに合わせた治療をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 網目状静脈瘤は自然に治りますか?
A. 網目状静脈瘤が自然に消えることはほとんどありません。見た目が気になる場合は、専門医にご相談ください。
Q2. 網目状静脈瘤の治療は保険が使えますか?
A. フォーム硬化療法は健康保険の適用が可能です。
Q3. 網目状静脈瘤とクモの巣状静脈瘤はどう違うのですか?
A.網目状静脈瘤は、皮膚のすぐ下にある直径1~2mm程度の青くてやや深い位置の静脈が拡張して目立つ状態です。多くの場合、膝の裏や太もも裏に現れ、青緑色の細い線状に浮かびます。伏在型静脈瘤のようにボコボコと隆起するわけではありませんが、広範囲に広がることがあります。
一方、クモの巣状静脈瘤はさらに浅い位置、真皮内の毛細血管が拡張したもので、赤や紫色の非常に細い血管が蜘蛛の巣状または扇状に広がって見えるのが特徴です。好発部位は太ももの外側や膝の周囲、足首などで、網目状静脈瘤よりも表層にあるため、見た目がより目立ちやすく、特に美容面で気にされる方が多いです。
両者はしばしば併発することもあり、クモの巣状静脈瘤のすぐ下に網目状静脈瘤が隠れているケースも見受けられます。そのため、正確な診断には専門医による視診とエコー検査が重要です。

くもの巣状静脈瘤の画像