下肢静脈瘤手術の歴史
2011年以前は下肢静脈瘤の手術方法は長きにわたり、ストリッピング手術という足の静脈を引き抜いてしまう手術が主流でした。当時としては世界中でも最も多く行われる一般的な手術方法でした。
ストリッピング手術はいわゆる世間のイメージ通りの「ザ・外科手術」でしたので
患者さんのお体に与えるダメージがそれなりにあり、2泊3日程度の入院手術で行うことが一般的でした。
お仕事をされている方はその間お仕事を休む必要がありましたし、退院後も抜糸のために再度受診をしなければなりませんでした。
そのような状況が大きく変わったのが2011年です。
下肢静脈瘤手術に関する環境が大きく変わった2011年
2011年、下肢静脈瘤血管内焼灼術いわゆるカテーテル手術が健康保険で受けられるようになりました。カテーテル手術はこれまでの「切る・縫う」という外科手術とは異なり、皮膚を切らない手術のため
患者さんのお体に対するダメージがかなり小さくなりました。
これを「低侵襲手術」といいます。
その結果、下肢静脈瘤の手術は入院することなく通院治療の「日帰り手術」で受けられるようになりました。
それ以前にもカテーテル手術を行う医療機関もありましたが、健康保険は適用されませんので
治療費は片足あたり何十万円というとても高額なものでした。
それが低侵襲・健康保険・通院で手術が受けられるようになったことから
下肢静脈瘤に悩む患者さんにとっては手術に対する様々なハードルが下がったため
全国的に下肢静脈瘤の日帰り手術を受ける患者さんが爆発的に増加しました。
テレビや雑誌などでも下肢静脈瘤の日帰り手術が番組や記事で取り上げられることが多くなり
徐々に世の中に「下肢静脈瘤」という病気の存在が知られるようになりました。
更には2020年4月より、下肢静脈瘤血管内塞栓術(いわゆるグルー治療)も健康保険で受けられるようになりました。
下肢静脈瘤血管内焼灼術に関する動画はこちらをクリックするとご覧いただけます
下肢静脈瘤血管内塞栓術(グルー治療)に関する動画はこちらをクリックするとご覧いただけます
下肢静脈瘤は何科にかかればいいの?
下肢静脈瘤という病気の存在が世の中に浸透し始めてもやはり、依然として患者さんから「どこの病院に行けばよいか分からなかった。何科を受診すればよいのか分からなかった」と言われます。
下肢静脈瘤の診療している診療科目は
心臓血管外科・外科・形成外科などが多く、中には皮膚科や放射線科の医師が治療を行っている医療機関もあります。
ではこれらの診療科目がある医療機関であれば下肢静脈瘤の手術が受けられるのかというと、事前に確認が必要です。
下肢静脈瘤血管内焼灼術は「下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施施設」に認定されている医療機関でしか行うことができません。
ですから実施施設に認定されていない医療機関は下肢静脈瘤の手術に関してはストリッピング手術しか行うことができません。
病院のホームページで下肢静脈瘤専門外来と書いてあっても、
非常勤の先生が1週間に1回とか月に1-2回しか来ないというケースも多いです。
あるいはホームページが古い内容のまま更新されておらず、
現在は下肢静脈瘤を診察できる医師が不在ということもありますので、
医療機関を受診する前に確認したほうがよいでしょう。
下肢静脈瘤に関することなら、下肢静脈瘤ひとすじ26年の専門クリニック目黒外科にご相談ください