弾性ストッキングについて

弾性ストッキングについて

目黒外科 院長 齋藤陽(あきら)

【記事執筆】
目黒外科 院長 齋藤陽(あきら)
日本外科学会 外科専門医
脈管専門医
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医
詳しいプロフィール

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静脈は血液を心臓に運ぶ役割をしています。

足は心臓から最も遠くにあり、人間は重力のある地球で立って生活をしています。

そのため、足の血液は重力に逆らって心臓に戻らなければならず、足にたまりやすくなります。

足にたまった静脈血を心臓まで戻すための機能は、ふくらはぎの筋肉が静脈を圧迫して血液を押し上げる「筋ポンプ作用」と静脈の「逆流防止弁」です。


弾性ストッキングは医療用に作られたストッキングで、筋ポンプ作用と逆流防止弁の両方を強化してくれます。

弾性ストッキングによる圧迫療法は、軽症から重症の方まであらゆる下肢静脈瘤の患者さんが手軽に始められる治療方法です。

形状によりストッキングタイプ、パンストタイプ、ハイソックスタイプの3種類があります。

 

どのタイプを着用すればよいか?

ハイソックスタイプ

長所:3種類の中でもっとも着脱しやすい。値段が最も安い。
短所:太ももまでは圧迫することができない。

ストッキングタイプ

長所:太ももまで圧迫できる。
短所:ずり落ちやすい。ストッキングのずり落ち防止シリコンが施されている製品もありますが、かぶれることがあります。

パンストタイプ

長所:足全体が圧迫されるので静脈の血流改善には最も良い。
短所:着脱が大変。値段が最も高い。

 

 

で、どのタイプを履けばよいの?
弾性ストッキングの目的はふくらはぎの筋ポンプ作用の補強ですので、最低限ふくらはぎが圧迫されていることが重要です。

着脱のしやすさや価格などを考えると、ハイソックスタイプが第一選択となります。

 

足の圧迫する強さにより、弱圧・中圧・強圧があり、下肢静脈瘤の方は中圧タイプとなります。

足を圧迫すると血行が悪くなるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、ご安心ください。

弾性ストッキングは足首の圧迫圧が最も強く、上に行くにしたがって圧力が弱くなる構造(段階的圧迫法)になっています。

血液を下から上に押し上げてくれるため、静脈血のうっ滞を改善してくれます。

歯磨き粉やマヨネーズを押し出すようなイメージと思ってください。

Q.市販の着圧ソックスでも大丈夫ですか?

A.薬局などで売られている市販の着圧ソックスは、圧迫力が弱圧に相当します。

圧迫療法の効果が弱くなりますので下肢静脈瘤の方は中圧ストッキングがよいでしょう。

ただし、弾性ストッキングが硬くて履けないという方は弱圧でも構いません。

 

Q.弾性ストッキングは硬くて履けないのですが。

A.初めて弾性ストッキングを履くとき「こんなにきつい靴下、履くのは無理」とおっしゃる方が多いです。

しかし、毎日頑張って履き続けていれば少しずつ慣れてきます。

一度コツをつかんでしまえば苦手意識も薄れていきます。

弾性ストッキングはかかと部分が一番の難所です。

ストッキングを裏返してかかとまで入ってしまえばあとはそれほど難しくはありません。

それでもご自身でストッキングを履くのが難しいという方には、ストッキング着用補助具もあります。

 

 

弾性ストッキングは手軽に始められる下肢静脈瘤の治療方法です。

ただし、静脈瘤自体を治すわけではないので、脱いだら効果がなくなります。

メガネはかけると物がよく見えますが、外すと見えにくくなります。それと同じ理屈です。

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