夜寝ているときや明け方に足がつるのは何かの病気?こむら返りの原因は下肢静脈瘤かも!?
夜寝ているとき・明け方に足がつるのは何かの病気?こむら返りの原因は下肢静脈瘤かも・・・!?
「夜寝ていると、急に足がつって目が覚める」
「朝方目が覚めて伸びをした途端、足がつる」
このような症状でお悩みですか?
これらの症状の原因は「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という病気の可能性があります。
下肢静脈瘤とは
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)という病気の名前を聞いたことがありますか?
下肢静脈瘤は、下肢(=足)の静脈が瘤(こぶ)のように膨らんだ状態を言います。
なぜ足の静脈瘤がこのように瘤状に膨らんで浮き出てしまうのでしょうか?
下肢静脈瘤の原因
足の静脈には「弁(べん)」という構造があります。
血液は足の静脈を心臓に向かって流れていきます。重力によって血液が落下しないように弁が必要なのです。
しかし、弁がきちんと閉じなくなってしまうと、血液は逆流してしまいます。
静脈を流れる血液は酸素が少なく二酸化炭素が多い、そして老廃物の多い汚れた血液です。
そのため、静脈血が足の静脈に逆流して停滞してしまうと
- 足のだるさ
- 足のむくみ
- こむら返り
- 足が熱を持つ
- 足の静脈がボコボコ浮き出て目立つ
などの症状が出現するようになるのです。とりわけ「こむら返り」は下肢静脈瘤の初期症状と言われています。
下肢静脈瘤が原因でこむら返りが起こる方は中高年以上の方に多い傾向があります。
下肢静脈瘤の治療方法
下肢静脈瘤の治療方法は2通りあります。
応急処置と根本的な治療です。
まずは応急処置としての圧迫療法について説明します。
圧迫療法
圧迫療法は、「弾性ストッキング」によって足を圧迫する治療法です。
弾性ストッキングは医療用に作られたストッキングです。
画像提供:グンゼ
弾性ストッキングは、編み込まれた糸の弾力によって、血液が心臓の方へと絞り出されるようにできています。
弾性ストッキングを着用中は静脈血が足の静脈内に停滞することが無くなり、
- 足のだるさ
- 足のむくみ
- こむら返り
- 足が熱を持つ
など下肢静脈瘤の症状を改善します。
圧迫療法は手軽に始められるというメリットがありますが、きちんと閉じなくなってしまった静脈弁を治すわけではありません。
したがって、根本的な治療方法ではなく、あくまでも応急処置という位置づけです。
根本的な治療のためには手術が必要です。
下肢静脈瘤の手術
下肢静脈瘤の手術法について説明します。
まず大前提として、壊れてしまった静脈弁は手術でも治りません。
では手術の目的は何かというと、血液が逆流しないようにすることです。
かつての手術方法としては、静脈弁がダメになってしまった静脈を体から切り離して引っ張り出してしまう「ストリッピング」という手法が主流でした。
皮膚をメスで切開し、術後は傷を糸で縫っていました。当然抜糸が必要ですし、傷跡も残ります。
しかし、現在では「切らない」「縫わない」「抜糸しない」手術が主流となっています。
当然抜糸も必要ありませんし、傷跡も目立ちません。術後の痛みはストリッピング手術に比べると小さくなりました。
現在主流の治療方法は大きく分けて2通りあります。
一つ目は静脈を焼いて閉塞させてしまう方法。
もう一つは、静脈を接着剤によって閉塞させてしまう方法です。
血管内焼灼術
静脈を焼いて閉塞させ、血液を流れなくすることで逆流を食い止める治療法です。
これはカテーテルという細い管を治療したい静脈の中に挿入し、カテーテルの先端から発せられる熱によって静脈を焼きます。
画像提供:コヴィディエンジャパン
画像提供:インテグラル株式会社
手術時間は片足あたり概ね30分程度です。
血管内塞栓術
血管内塞栓術は、血液が逆流している静脈を接着剤によって閉塞してしまう治療法です。
細長いチューブを閉塞させたい静脈内に挿入し、内装されたガンの引き金を引くと接着剤が注入されます。
シアノアクリレートという接着剤が血液に触れると固まります。
この治療法も片足あたり概ね30分程度で終わります。
最後に
下肢静脈瘤が原因でこむら返りが起こっていた場合、手術を行うとこむら返りが改善します。
夜眠るのが怖くて仕方がないという患者さんは安眠できるようになるので、とても喜ばれます。
もしこの記事をお読みになって「下肢静脈瘤かな?」と思ったら、一度専門医を受診してみることをおすすめします。
何科に行けばよいか分からない、という方は「心臓血管外科」または「血管外科」のある医療機関を探してみましょう。