【糖尿病になる危険飲料】〇〇を飲むのは絶対にダメ!
ある飲み物と糖尿病発症リスクの関係
みなさんこんにちは。
目黒外科院長の齋藤陽です。
目黒外科は下肢静脈瘤という足の血管の病気の専門クリニックですが、
私は心臓血管外科医なので、動脈硬化の患者さんもたくさん診察しています。
動脈硬化の原因としては、
高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・肥満などが代表的ですが、
中でも糖尿病は一番の危険因子です。
そこで、糖尿病のある患者さんに対して生活習慣の指導を行うのですが、
そもそも糖尿病になってしまうのは炭水化物を摂りすぎてしまうからで、
なぜ炭水化物を摂りすぎてしまうのかというと、美味しいからです。
炭水化物は中毒性があります。特に甘いもの。
体に良くないことは分かっちゃいるんです。
でもやめられない。
気持ちはよくわかるんです。
しかし、私がその気持ちを分かってあげても患者さんの糖尿病は良くなりません。
ご自身で生活習慣を改善しないと糖尿病が悪化してしまいます。
糖尿病の合併症は非常に怖いです
糖尿病性網膜症による失明
糖尿病性腎症で腎不全、透析
糖尿病性神経障害で手足がしびれて不快になります。
足のけがや傷が原因で足が腐ってしまう糖尿病性壊疽
動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞など深刻な病気を発症することもあります
そこで何とか生活習慣を改善できるように色々アドバイスをするわけなんですが
人の生活習慣ってなかなか急には変えられないと思うんです。
特に好きなものを我慢するって、短期的にはできても、大事なことはそれを継続することなので、いかに低いハードルから始めていくかという事がポイントだと思います。
そこでね、今回の動画では糖尿病の方あるいは糖尿病が心配という方へのファーストステップとして、まずここから始めようというお話をしたいと思います。
その内容は、まずコーラや果汁飲料をやめてみましょうというお話です。
その理由についてはこのあと詳しく解説していきたいと思います。
是非最後までご覧ください。
清涼飲料水と糖尿病の発症リスク
国立がん研究センターが
清涼飲料水と糖尿病の発症リスクに関してデータを発表しています
本日はその内容に関して解説したいと思います。
この調査では、平成2年(1990年)に、
岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、東京都にお住まいの40~59歳の男女に、
食習慣を含む生活習慣についてのアンケートに回答していただいて食事調査を行いました。
5年後、10年後にも生活習慣のアンケートを送付し、生活習慣について調査しました。
これらの方の中で、初回の調査を行った時点で
糖尿病や循環器の病気、がんなどの病気になっていなかった男女約3万人の方々を、
約10年間追跡調査しました。
この調査では清涼飲料水を
「コーラや果汁飲料(果汁100%未満)」
「100%果汁ジュース」
「野菜ジュース」の3種類に分けて、
どのくらいの頻度で飲んでいるのかを回答してもらい
5年後、10年後の生活習慣アンケートで糖尿病を発症したかどうかを確認しました。
10年間の追跡調査
10年間の追跡調査を行った結果、
5年間追跡できた30,861人の中で598人(男性366人、女性232人)が、
10年間追跡できた27,585人の中で824人(男性484人、女性340人)が糖尿病になったことを確認しました。
食事調査の結果、清涼飲料水を
「ほとんど飲まない」「週に2回以下飲む」「週に3-4回飲む」「ほぼ毎日飲む」
の4区分に分け、5年間の糖尿病発症、10年間の糖尿病発症に分けて分析しました。
その結果、5年間の糖尿病発症のみならず、10年間の糖尿病発症においても、
女性で「コーラや果汁飲料(果汁100%未満)」を飲む量が多いほど、糖尿病の発症リスクが高いという結果が出ました。
清涼飲料水が糖尿病を発症させる理由
コーラや果汁飲料を多く飲むと、ブドウ糖や果糖は小腸からの吸収が早いので、血糖値が急上昇します。
すると血糖値を下げようとして膵臓から大量のインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは別名「肥満ホルモン」と言われ、清涼飲料水で摂取した炭水化物が効率よく内臓脂肪として蓄積されます。
つまり肥満になりやすいわけです。
内臓脂肪が過剰に蓄積すると、脂肪から放出されるアディポカインという物質の種類や量が変化してインスリンの働きを妨げるため、インスリンが効きにくくなります。これをインスリン抵抗性と言います。
するとインスリンを多量に分泌しないと血糖値が下がらなくなるため、膵臓は一生懸命インスリンを出し続けるので疲れてしまい、インスリンを分泌できなくなります。
膵臓がインスリンを分泌できなくなると血糖値が下がらなくなるので糖尿病になってしまうわけです。
男性で清涼飲料水と糖尿病の関係がみられなかった理由
欧米人の男性では、清涼飲料水の飲用量が多いほど糖尿病発症リスクが高いことが報告されていますが、今回の調査では、日本人男性において清涼飲料水と糖尿病の関係はみられませんでした。
考えられる理由として、欧米人に比べ清涼飲料水の飲料量が少ないこと、また同じ日本人でも、男性は女性に比べ体格が大きいことから、清涼飲料水1杯分の影響が女性よりも小さく、関係が出にくかったのではと推察されます。
だからといって男性もコーラや果汁飲料をガブガブ飲んで大丈夫という訳ではありません。
この研究では、欧米に比べ、その飲用量の少ない日本人女性においても、清涼飲料水の飲用量が多いと糖尿病発症リスクが高いということがわかりました。
今後注意が必要な食習慣の一つです。
すでに糖尿病で治療中の方、糖尿病予備軍と言われている方、食事制限や運動をするようにお医者さんから言われて耳が痛いと思います。
食欲を抑えることはなかなか容易なことではないかもしれませんが、食生活の改善が見られない事には糖尿病の合併症が進行してしまいますので、まずはコーラや果汁飲料を飲むのをやめる、というファーストステップを最低限頑張りましょう。
それができて自信がついたら次のステップを頑張りましょう。