血管内焼灼術が適さないケース
日本静脈学会の「下肢静脈瘤に対する血管内治療のガイドライン」では、
下肢静脈瘤に対する血管内治療の除外規定が決められています。
おさらいしてみます。
1.クモの巣状、網目状静脈瘤
2.深部静脈血栓症がある、あるいは血栓症の既往がある
3.動脈性血行障害がある
4.歩行困難
5.多臓器障害あるいはDIC(播種性血管内凝固)状態
6.経口避妊薬あるいはホルモン薬を服用している
7.重篤な心疾患がある
8.ショックあるいは前ショック状態にある
9.妊婦あるいは妊娠が疑われる
10.ステロイド治療中
11.ベーチェット病
12.骨粗しょう症の薬(ラロキシフェン)を服用中
13.血栓性素因(プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、アンチトロンビンⅢ欠損症、抗リン脂質抗体症候群)
では、これらの条件を満たさなければ血管内治療は受けられるのか?
答えはNO!です。
血管内治療が難しいケースをご紹介します。
その1、伏在静脈の屈曲が強い場合
まず、治療すべき静脈が多少ゆるやかなカーブを描く程度であれば、カテーテルを入れられないこともありません。しかし、クネクネと曲がりくねっていたら、カテーテルが血管の中に入りません。
その2、大伏在静脈が皮膚直下を走行する場合
大伏在静脈は太もものあたりでは筋膜に包まれていますが、
膝の近くになると皮下脂肪の中を走行します。
人によって、静脈が皮膚直下を走る方がいます。
この場合、血管内焼灼術を行うと、静脈の走行に沿って皮膚の色素沈着が見られることがあります。
なぜ皮膚直下という浅い部分を静脈が走行する人と、そうでない人はいるのかは分かりません。
「見た目は気にしない」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、
美容的に気にされる方、特に女性には
ストリッピング術を併用(または全部ストリッピングで治療する)することをお勧めしています。