膝の痛みが良くなる?下肢静脈瘤の珍しい症状|目黒外科|東京都品川区・目黒駅から徒歩30秒

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2018.01.17 わかりやすい下肢静脈瘤の教科書

膝の痛みが良くなる?下肢静脈瘤の珍しい症状

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

典型的な症状ではないため下肢静脈瘤とは関係ないと思われがちな、少数派の症状についてご紹介します。

下肢静脈瘤のよくある症状

下肢静脈瘤は、足の静脈にある逆流防止弁が閉じないため重力で落ちてきた血液が足にたまる病気です。

静脈血は動脈血とは異なり老廃物の多い血液のため、これが足にたまると様々な症状が出ます。

典型的な症状は、足のだるさ・むくみ・こむら返りです。ひどくなると皮膚炎をおこして湿疹・かゆみ・色素沈着などの皮膚症状が現れ、皮膚の潰瘍になることもあります。

 

めずらしい下肢静脈瘤の症状

少数ですが、足の冷え・ほてり・しびれ・膝の痛みなどの症状を訴える方もいらっしゃいます。

これらの症状でお悩みの方は、まず内科や整形外科を受診されると思います。

検査を行っても異常はなく、「年のせい」と言われたり、漢方を飲んでいても治らず、、、長年悩みを抱え続けている方が少なくありません。

「冷え」と「ほてり」なんて、正反対の症状です。不思議ですが、静脈瘤の症状としてあり得るのです。

医師でもあまり知りません。

なぜこれらの症状が下肢静脈瘤による症状と言えるのか?正しいメカニズムは解明されていません。しかし、下肢静脈瘤を長年診察している医師は経験的にそれを知っています。なぜかというと、治療により症状が良くなる方が実際にいらっしゃるからです。

 

典型的ではない下肢静脈瘤の症状を診断する方法

下肢静脈瘤の典型的な症状があり、なおかつ超音波検査で静脈の逆流が確認されれば下肢静脈瘤と診断するのは簡単です。

しかし、典型的ではない症状の場合、どのように診断するのか?

診断的治療

「診断的治療」という言葉を聞いたことはありますか?

「診断を兼ねた治療」という意味です。

つまり、下肢静脈瘤の治療をやってみて症状が良くなれば下肢静脈瘤と診断するということです。

当然症状が治らなければ下肢静脈瘤以外の原因を考えなければなりません。

診断的治療の実際

下肢静脈瘤は足の血液がうっ血していますので、うっ血を改善させて症状が良くなるかどうか確認します。

具体的には弾性ストッキングを試していただきます。いきなり手術など行いません。

2週間くらい毎日履いていただいて、症状がどうなったかを聞きます。

良くなった症状は静脈瘤による症状と考えられます。

たまたま良くなっただけじゃないのか?冷えが良くなったのは、陽気がよくなったせいじゃないか?と反論する方もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合、今度は弾性ストッキングを履かないで過ごしていただきます。

弾性ストッキングなしで過ごしてみて、症状が悪化すれば静脈瘤との因果関係はあると考えてよいと思います。

そのままストッキングを履き続けても構いませんし、静脈の逆流があれば血管内焼灼術を行ってもよいでしょう。

 

先入観を持たずに患者さんの話をよく聞く

膝が痛くて長年整形外科に通院している方が、たまたま下肢静脈瘤があって治療したところ、膝の痛みも治ってしまいとても喜んでいただけたという経験をしばしば経験します。

静脈瘤の治療をしてから足の冷えに加えて肩こりも治ってしまったという方もいらっしゃいます。

こんな症状も下肢静脈瘤と関係があるのかと驚くとともに、静脈瘤は奥が深いなと感じます。

典型的な症状ではなくても、わずかな可能性を考えておくべきだと思います。

「先入観を持たずに患者さんの話をよく聞く」ことの大切さを下肢静脈瘤から学んでいます。

 

 

 

 

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