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2017.08.16 わかりやすい下肢静脈瘤の教科書

クモの巣状静脈瘤と網目状静脈瘤

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

太ももやひざ、ふくらはぎに赤や紫色の毛細血管が見られることがあります。


これをクモの巣状静脈瘤といいます。

皮膚の直下、真皮と呼ばれる層を走る直径 0.1 ~ 1mm の毛細血管です。
英語では spider vein といい、クモの巣状「静脈瘤」と名前はついていますが、正確には、「 毛細血管拡張症」 と言います。
太ももの裏側を走る表在静脈「外側静脈系」から派生し、多くの場合、「栄養血管」といわれる網目状静脈瘤を根っことして、樹枝状に生えてきます。

<原因>
足の静脈がボコボコ目立つ「下肢静脈瘤」とは発生の原因が異なります。
下肢静脈瘤は静脈の逆流防止弁がダメになり血液が逆流する ことで血液の渋滞が起こり、渋滞の抜け道として静脈瘤が発生します。
これに対し、 クモの巣状静脈瘤は ホルモンの影響、遺伝、皮膚が薄いことなどの要因に加え、静脈の血圧が高くなることにより毛細血管が拡張・蛇行していきます。
思春期や妊娠中に発生することが多く、年をとるにつれ増えてくるというわけではありません。
<症状>
クモの巣状静脈瘤の部分に時おりピリピリとした痛みを訴える方がいらっしゃいますが、基本的には無症状です。ほとんどが見た目の問題です。
<治療の必要性>
見た目は気にしないという方は、放っておいても構いません。
見た目を気にして治療を希望される方への治療法は、保険診療では硬化療法、自由診療では皮膚レーザー照射があります。
硬化療法は、血管内に硬化剤を注射して硬化剤により静脈炎症をおこさせます。 2 日間患部をストッキングまたは包帯で圧迫すると静脈瘤がペッタンコになります。
静脈に炎症が起こるので、 10 %から 30 %くらいの方は静脈に沿って皮膚の色素沈着が起こることがあります。色素沈着は数か月から半年くらい続き、徐々に消えていきます。
皮膚レーザー焼灼は、皮膚に直接レーザー光線を当てて治療します。レーザーは赤い色に反応しますので、赤い色をしたクモの巣状静脈瘤はレーザー焼灼のよい適応だと思います。
どちらがきれいに仕上がるかについては、硬化療法よりも皮膚レーザー照射のほうが仕上がりは良いと思います。ただし、健康保険が効きませんので自費での治療となります。
網目状静脈瘤
網目状静脈瘤は、 太ももやひざ、ふくらはぎにみられます。


直径 2mm までの毛細血管で、通常は青色をしています。
クモの巣状静脈瘤と交通していることが多く、クモの巣の「栄養血管」ともいわれます。

<症状>
クモの巣状静脈瘤と同様に、特有の症状はありません。

<治療法>
クモの巣状静脈瘤と同様に、見た目を気にされる方は硬化療法が適しています。
皮膚レーザー照射は、静脈の太さや色を考えると必ずしも効果的とは言えません。

 

 

 

 

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