【夜中や明け方に足がつる人は必見!】こむら返りの原因と対処法
夜中や明け方に足がつる原因と対処法
みなさんこんにちは。
下肢静脈瘤専門クリニック目黒外科院長の齋藤陽です。
今回のブログでは、夜中や明け方に足がつる原因と対処法について解説していきたいと思います。
目黒外科は下肢静脈瘤という病気の治療を専門に行うクリニックです。
下肢静脈瘤の患者さんは足の様々なつらい症状があって受診をされるのですが、
その中でも代表的な悩みが
夜中や明け方のこむら返りです。
特に60歳以上の方はこむら返りで悩む方の割合がグッと増えます。
患者さんは夜中や明け方になると急に足がつって、その痛みで目が覚めてしまう。
朝起きた時に、伸びをしようとしたら足がつってしまった。
こんな状態が頻繁に起こるので、毎晩寝る時が恐怖だそうです。
こむら返りの原因は様々ですが、原因と対処法について知っておけば
夜中や明け方のこむら返りを改善することができると思います。
夜中や明け方のこむら返りでお悩みの方は、是非今回の記事をご覧ください。
この記事の内容
- こむら返りとは何か
- こむら返りが起こるメカニズム
- こむら返りの原因
- 足がつった時の対処法
- こむら返りになる病気
このブログでは医師として26年間に学んだ知識や経験をもとに皆様の健康に役立つ情報をお届けしてまいります。
是非最後までご覧ください。
こむら返りとは何か
「こむら返り」は病名ではありません。
医学用語では「有痛性筋けいれん」と言います。
文字通り、痛みを伴う筋肉のけいれんという意味です。
足の筋肉が急にけいれんして固まってしまい、痛みを伴います。
最もつりやすい場所はふくらはぎですが、
それ以外にも太ももやすね、足の指もこむら返りが起こりやすい部位です。
こむら返りが起こるメカニズム
こむら返りは筋肉がどのような状態になっているのかというと
足の筋肉や腱に備わっているセンサーが誤作動をして
筋肉が勝手に収縮してしまう、いわば筋肉が暴走した状態です。
ちなみに腱というのは筋肉と骨をつなぐ硬い組織です。アキレス腱が代表的です。
人の筋肉には2つのセンサーが備わっています。
1つ目は筋肉の中にある「筋紡錘」
筋紡錘は筋肉が伸びすぎないようにするセンサーの役目をします。
筋肉が急に伸びると筋紡錘は「筋肉が急に伸びたよ」という情報を脊髄に送ります。
すると脊髄は筋肉に対して「縮め!」と命令をします。
そして、もう1つが筋肉と腱の境目にある「腱紡錘」です。
腱紡錘は、筋肉や腱が伸びすぎないようにするだけでなく、
縮みすぎないようにするセンサーの役割をします。
腱紡錘は筋肉が伸びた時は脊髄に情報を送り、脊髄は筋肉に縮むように命令します。
反対に、筋肉が縮んだ時は脊髄に情報を送り、脊髄は筋肉に伸びるように命令します。
これらは私たちが自分の意志で筋肉に命令しなくても自動的に行われる反射です。
しかし、様々な理由により腱紡錘がうまく働かなくなることがあります。
すると筋肉が縮んでも脊髄に情報が伝わらないので、
脊髄も「筋肉よ伸びろ!」という命令を出しません。
そのため筋肉は収縮しっぱなしとなり、けいれんしてしまうのです。
これがこむら返りの状態です。
こむら返りの主な原因
こむら返りの主な原因は
- 筋肉量の減少
- 筋肉疲労
- 血流が悪い
- 体の水分不足
- 冷え
- 電解質異常
などが挙げられます。
足の筋肉量の減少
人間は20代がピークで、その後は年を取るごとに足の筋肉量が減っていきます。
運動不足が重なると、なおさら筋肉量は減ります。
ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれます。
心臓も筋肉の塊で、その強力な力で血液を全身に送り届けていますが、
ふくらはぎの筋肉も心臓に負けず劣らずの力で血液を心臓に押し戻す役割をしています。
これを筋肉のポンプ作用と言います。
筋肉疲労
足は歩く力や直立の姿勢を保持するために使われるため、非常に頑張り屋さんです。
ですから若い方でも足の筋肉は疲れやすいのですが、
年齢とともに足の筋肉量が減るとふくらはぎの筋力が弱くなります。
ふくらはぎの筋力が弱くなると、筋肉は疲れやすくなりますし、
疲労回復にも時間がかかるようになります。
血流が悪い
心臓と足の位置関係で考えますと、足は心臓から最も遠くにあります。
心臓が東京都だとすれば、足の先は沖縄県。
血液は足の先までは届きにくいですし、心臓に戻ってくるのも大変なんです。
ですからふくらはぎの筋力が落ちると足の血流が悪くなりやすいのです。
ふくらはぎの筋力が弱くなると、静脈やリンパの流れが悪くなるので筋肉内に疲労物質が蓄積します。
また、長時間の立ち仕事やデスクワークなどにより
ふくらはぎの運動が不足している場合も筋肉内に疲労物質が蓄積します。
冷えや動脈硬化、水分不足で血流が悪くなると、血液が足の先まで届きにくくなります。
すると、筋肉は酸素やビタミン・ミネラルが不足しがちになります。
こういったこともこむら返りの原因として考えられています。
電解質異常
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質は
筋肉と神経の情報伝達に重要な役割を果たしています。
運動や暑さで汗をかいて体から塩分が失われればナトリウム不足になります。
運動中に足がつったり、熱中症になった時全身がつってしまうのはナトリウム不足です。
足がつった時の対処法
足がつった時の対処法です。
- ストレッチ
- 漢方
- 足を温める
ふくらはぎがつった時はゆっくり伸ばしましょう
ポイントは慌てないでゆっくり伸ばすことです。
急に伸ばすと筋紡錘や腱紡錘が働いて筋肉が余計に縮もうとしますので注意してください。
足先やすねなどがつった時も、
筋肉のけいれんしている方向と逆の方向にゆっくり伸ばしてしばらく耐えてください。
それでも治まらない時は漢方の芍薬甘草湯が効果的です。
足がつった時に飲むのが基本ですが、
毎晩夜中につるという方は寝る前に飲んでおくという方法も効果的です。
ストレッチしてもダメで芍薬甘草湯を飲んでもダメな場合
ドライヤーとかシャワーのお湯などで患部を温めましょう。
患部を冷やすと逆効果ですので、決して冷やさないように注意してください。
こむら返りを起こしやすい病気
こむら返りが頻繁に起こる人は何か病気が隠れている可能性があります。
そこで、こむら返りの原因となりやすい病気について解説します。
こむら返りが起こりやすい主な病気は大きく分けて4つあります。
- 脊髄の病気
- 代謝の病気
- 甲状腺の病気
- 血管の病気
脊髄の病気として代表的なのは
脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアです。
変形した腰の骨や椎間板によって脊髄が圧迫されると
坐骨神経に誤作動が起こってこむら返りが起こるようになります。
何科を受診すればいいのかというと、整形外科です。
代謝の病気としては
糖尿病、腎臓病、肝臓病です。
これらの病気は血流が悪くなることと電解質異常を起こしやすいので、
こむら返りの原因となります。
甲状腺の病気としては
甲状腺機能低下症や副甲状腺機能低下症がこむら返りの原因になり得ます。
代謝の病気や甲状腺の病気は何科を受診すればよいかというと、内科、代謝内科、糖尿病代謝内科、甲状腺科などが挙げられます。
血管の病気の場合、
閉塞性動脈硬化症という動脈硬化によって足の動脈が細くなったり詰まってしまう病気や
下肢静脈瘤という病気が代表的です。
私が専門とする下肢静脈瘤という病気は足がつる原因の代表的な病気です。
下肢静脈瘤とは、足の静脈の異常によって血液が心臓に戻らなくなり、
そのため、老廃物の多い汚れた血液が足の静脈にたまってしまう病気です。
夜中や明け方に急に足がつって目が覚めたり
朝起きた時に伸びをしようとすると足がつってしまいます。
患者さんは「また今日も足がつるのではないか」と毎日恐怖を感じながら寝るわけです
下肢静脈瘤が原因で足がつっていた患者さんの場合
下肢静脈瘤の治療を行うと、その日の晩からこむら返りがピタッと治ります。
結構劇的な変化で、患者さんは治療をした翌日から足がつらなくなるので、毎晩安心して眠れるようになります。
これはもの凄く喜ばれます。
足の血管がボコボコ浮き出ていて、夜中や明け方に足がつって困っている方は一度血管外科を受診してみるとよいでしょう。
今回のブログを動画にしましたので、ご覧ください。