足の赤い毛細血管はクモの巣状静脈瘤かも?原因・症状・硬化療法やレーザー治療まで医師が解説
クモの巣状静脈瘤とは?原因・症状・治療法を医師が解説
クモの巣状静脈瘤とは?
太ももやひざ、ふくらはぎに赤や紫色の毛細血管が浮き出ることがあります。これをクモの巣状静脈瘤(spider vein)といいます。皮膚の直下を走る直径0.1~1mmの毛細血管が拡張・蛇行することで発生します。
医学的には「毛細血管拡張症」と呼ばれ、下肢の表在静脈である「外側静脈系」から派生し、網目状静脈瘤を根元として樹枝状に広がるケースが多く見られます。
原因
下肢静脈瘤のような静脈弁の不全とは異なり、ホルモンの影響、遺伝、皮膚の薄さ、静脈圧の上昇などが原因とされます。特に思春期や妊娠中に発生しやすく、加齢により増えるとは限りません。
症状
クモの巣状静脈瘤はほとんどが無症状で、日常生活に支障をきたすような痛みや腫れは基本的に見られません。
ただし、人によっては患部にピリピリとした軽い痛みや違和感を感じることがあり、特に長時間の立ち仕事や気温の上昇などで症状が強くなることがあります。
多くの方が見た目の目立ちや美観の問題を理由に受診されており、特に薄着になる夏場や、スカート・短パンを着る機会がある女性のご相談が増えています。
治療法
クモの巣状静脈瘤は進行して重大な病気に発展することはほとんどなく、健康上のリスクは非常に低いため、気にならない方は治療を受けず経過観察でも問題ありません。
一方で、「足を出すのが恥ずかしい」「温泉やプールに行きづらい」など、見た目の悩みが日常生活に影響している場合は、治療によってQOL(生活の質)を改善できる可能性があります。
当院では、症状やライフスタイルに応じて硬化療法やレーザー治療など複数の選択肢をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。
1. 硬化療法(保険適用)
血管内に硬化剤を注射し、軽い炎症を起こさせて閉塞させる方法です。施術後24時間弾性ストッキングと弾性包帯で患部を圧迫します。
硬化療法後にできる色素沈着は、一時的なものであることがほとんどです。
クモの巣状静脈瘤に対する治療の場合、早い方では3か月程度で徐々に薄くなりますが、平均して3〜6か月ほどかかる方が多く、
体質や肌の色によっては1年ほどかかるケースもあります。
紫外線対策や圧迫療法をしっかり行うことで、色素沈着のリスクや残り方を最小限に抑えることができます。

硬化療法後の色素沈着
硬化療法について動画で解説しておりますので、こちらも併せてご覧ください。
2. 皮膚レーザー照射(自由診療)
赤い色に反応するレーザー光を皮膚に照射して血管を焼灼する方法です。クモの巣状静脈瘤には効果が期待できますが、保険適用外となります。また、1回の施術でクモの巣状静脈瘤が完全に消えることは難しく、複数回の施術が必要です。
※ 目黒外科ではクモの巣状静脈瘤に対するレーザー照射は行っていません。
クモの巣状静脈瘤と網目状静脈瘤との関係
網目状静脈瘤(reticular vein)は、皮膚の少し深い層に見られる直径1~2mm程度の青色の静脈で、特に太ももや膝裏、ふくらはぎの外側によく見られます。
この静脈は、クモの巣状静脈瘤(spider vein)と密接に関連しており、多くの場合、クモの巣状静脈瘤の「栄養血管」として、その根元に存在しています。
見た目に目立つことはあっても、痛みやむくみなどの特有の症状はほとんどなく、美容的な観点から治療を希望されるケースがほとんどです。
治療法としては、硬化療法が第一選択となります。硬化剤を注入することで網目状静脈瘤とそれに続くクモの巣状静脈瘤の血流を遮断し、両方の改善が期待できます。
網目状静脈瘤に対する硬化療法も、クモの巣状静脈瘤の場合と同様に副作用で色素沈着が起こる可能性があります。
一方で、皮膚レーザー照射は網目状静脈瘤に対しては十分な効果が得られにくく、あまり適していません。
網目状静脈瘤は放置しても健康上のリスクは基本的にありませんが、見た目や美容上の悩みがある方は、医師に相談されることをおすすめします。
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