深部静脈血栓症と間違いやすい病気、ベーカー嚢腫(のうしゅ)|目黒外科|東京都品川区・目黒駅から徒歩30秒

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2018.05.08 わかりやすい下肢静脈瘤の教科書

深部静脈血栓症と間違いやすい病気、ベーカー嚢腫(のうしゅ)

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

ベーカー嚢腫とは?

ベーカー嚢腫とは、膝の関節液が袋のようにたまったものです。

急に足が腫れるので、深部静脈血栓症が疑われて当院を紹介受診される患者さんにしばしば見られます。。

原因

膝関節の動きを滑らかにするための潤滑油として関節液があります。関節液は関節腔という空間に閉じ込められているのですが、変形性膝関節症やリウマチ、膝の使い過ぎなどが原因で関節腔の一部が突起のように膨らみ、そこに関節液がたまって袋状(嚢腫)になります。ベーカー嚢腫が一番発生しやすい場所は膝の裏側です。

症状

ベーカー嚢腫が小さいうちは症状は現れませんが、嚢腫が大きくなると膝の曲げ伸ばしがしにくく感じたり、嚢腫が足の静脈を圧迫して血の流れが滞り、血のかたまり(血栓)を生じることがあります。血栓により血液が心臓に戻れなくなると足が腫れるのです(深部静脈血栓症)。

ベーカー嚢腫は破裂することがあります。関節液が嚢腫から漏れ出て足の筋肉の間にたまります。足が急に腫れ、ふくらはぎの痛みやあざなど、深部静脈血栓症の症状と非常によく似ています。

検査・診断

診断には超音波検査(エコー)を行います。超音波検査を行うと深部静脈血栓症の有無も分かります。

膝の裏側などに袋状に液体がたまっていればベーカー嚢腫が考えられます。

液体が多量にたまっている場合、注射器で液体を抜いてみます。ゼリーのような液体が引けたらそれは関節液ですので、ベーカー嚢腫と診断されます。

治療方法

ベーカー嚢腫があっても無症状であれば治療の必要はありません。

膝の曲げ伸ばしがしづらいとか、静脈を圧迫して血栓症をおこすような場合は嚢腫を注射して関節液を吸引します。

関節液を抜いてもすぐにたまってしまい、頻繁に吸引しなければならないような場合は手術を行うことがあります。

ベーカー嚢腫が破裂した場合、まずは消炎鎮痛剤により症状の改善を図りますが、症状が改善しない場合は手術を行うこともあります。

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