【食物繊維で腸活】ダイエットからメンタルまで|食物繊維で腸を整える6つのメリット|目黒外科|東京都品川区・目黒駅から徒歩30秒

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2022.09.04 YouTube

【食物繊維で腸活】ダイエットからメンタルまで|食物繊維で腸を整える6つのメリット

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

みなさんこんにちは。目黒外科院長の齋藤陽です。

 

本日の動画のテーマですが、

先日発売された雑誌Tarzanが「食物繊維で腸を整える」というテーマで特集していたのですが、

自宅用だけでなく、目黒外科の待合室用にも追加で購入してしまいました。

それほど素晴らしい内容でした。

そこで、是非このブログをご覧の皆様にもシェアしたいと思い、この雑誌に載っている内容を要約して解説したいと思います。

 

今回のブログの内容は健康で長生きするために大切な内容が大変盛りだくさんとなっております。

是非最後までご覧ください。

それでは本編のスタートです!

 

日本人の腸がアブナい!

 

日本人は世界一の長寿国ですが、意外な弱点の一つが大腸で、実は大腸がんの増加しているそうです。

 国立がん研究センターのデータによると、

大腸がんになる人と大腸がんで亡くなる人は1975年から右肩上がりで増え続けているそうです。

全てのがんの中でも大腸がんは男女ともにワースト3に入り、年間5万人以上が大腸がんで亡くなっているそうです。

 

大腸がんが増加している理由として

食物繊維の摂取量が減り動物性脂質の摂取量が増える

という食事の欧米化が腸内環境を悪化させている事が考えられます。

実際、食物繊維が豊富な全粒穀物などの摂取によって、大腸がんの発症リスクが下げられるというデータもあります。

 この他にも潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や、原因不明の便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群

といった腸の病気も若い世代を中心に増えています。

 

食物繊維が少ないと腸内環境が悪くなり、大腸がん以外にも様々な病気での死亡リスクが上がります。

国立がん研究センターの調査では

食物繊維の摂取量が増えるほど、心臓病や脳卒中などの病気で死亡するリスクが下がることが分かりました。

例えば食物繊維の摂取が最も少ないグループの総死亡率を基準にした場合

食物繊維の摂取量が最も多いグループでは

男性は23%、女性は18%も死亡リスクが低くなりました。

逆に言うと、食物繊維の摂取量が少ない人ほど死亡率が上がるということです。

食物繊維をどのような食物から摂取しているかという調査では

豆類、野菜、果物の食物繊維が多いほど死亡リスクが低下していました。

 

食物繊維と腸内環境の関係について

 

大腸の中には数百種類の腸内細菌が棲んでいて、その数は40兆以上と言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腸内細菌は大便に混ざって常に排泄されいるので、

日々盛んに増殖し続けないと大腸の中に留まることができません。

そこで腸内細菌にとって必要となるのが食物繊維です。

食物繊維とはヒトの消化酵素で消化されない成分です。

物理的に便通を良くする働きがありますが

最も大事な働きは、

小腸で吸収されずに大腸まで届き、腸内細菌の栄養となって、腸内細菌の増殖を助けることです。

したがって、食物繊維の摂取が足りていないと腸内細菌が増殖できません

すると、腸内環境が乱れてしまいます。

腸内細菌が食物繊維を利用するプロセスが「発酵」です。

納豆やお酒、チーズなどを作る際の発酵です。

発酵とは、微生物のはたらきによって食物が変化して

人間にとって有益な物質が作られる事を言います。

腸内細菌は食物繊維を発酵させて、「短鎖脂肪酸」という物質を作り出します。

この短鎖脂肪酸が体の健康にとても大切なのです。

ですから、食物繊維が少ないと腸内細菌が困るだけでなく、

短鎖脂肪酸などの有益な代謝物が作られなくなりますので

人の体が不調を起こすというわけです。

 

食物繊維で腸を整える!

がんや心臓病、脳卒中などの病気だけでなく、脳や免疫、老化などにも腸が関わっていることが分かってきました。

そんな腸を整えるのが食物繊維です。

腸内細菌を元気にして腸内環境を改善してお腹から健康の土台を作ることが大切です。

 

食物繊維こそが、超重要。腸との深すぎる関係を知る。

キーワードは発酵性食物繊維です。

水に溶ける水溶性食物繊維は腸内をゆっくり移動して腹持ちを良くし

水に溶けない不溶性食物繊維は腸を刺激して便通を促す

といったように、食物繊維は従来物理的な性質で語られることが多かったのですが

現在は食物繊維の違った側面にスポットが当たるようになりました。

そのキーワードは「発酵性食物繊維」です。

食物繊維が役立つのは、腸内細菌がそれを発酵して有益な物質を作るからです。

水溶性・不溶性に関わらず、腸内細菌がどのくらい活発に発酵するかが重要です。

そのため、最近では発酵性を軸として食物繊維を評価する考えが主流になってきました。

 

では栄養源となる食物繊維が慢性的に足りない状況に追い込まれると

腸内細菌と腸内環境はどう変わるのでしょうか?

腸管は余分なものが体内に侵入するのをブロックするバリア機能を持っていて

腸内細菌は腸管を薄く覆う粘液層を棲み処にしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この粘液層の主成分は糖質とタンパク質が結合した多糖類の一種なのですが

食物繊維が乏しくなると腸内細菌はこの多糖類を餌として食べ始めてしまうのです。

つまり食物繊維が足りないと腸内細菌はバリアをムシャムシャ食べ始めてしまうのです。

するとバリア機能が壊れてしまいますので、腸管の粘膜を通過して侵入してくる異物が多くなります。

そのためにアレルギーや花粉症などが引き起こされるようになるのです。

 

腸内細菌のホームグラウンドは約1.5メートルの長さがある大腸です

そこに40兆個とも言われる無数の腸内細菌が住んでいます。

 

大腸の入り口近くに多く住むのは乳酸菌

腸内細菌は酸素を嫌う嫌気性菌ですが、乳酸菌は酸素が多少あっても平気なタイプなので

酸素がやや多い大腸の入口付近に住んでいます。

大腸の真ん中から奥には有益な短鎖脂肪酸を作るバクテロイデス属などが多く棲んでいます。

そして大腸の一番奥では酸素を最も嫌うビフィズス菌や酪酸産生菌の比率が高く、短鎖脂肪酸を作ります。

腸内細菌はそれぞれ大腸の中で棲んでいる場所が異なり、また好むエサが異なるので、

様々な種類の食物繊維を偏りなく取った方が腸内環境は整いやすくなります 。

 

食物繊維のように腸内細菌の栄養源となり腸内環境の改善させる食品成分を取り入れることを「プレバイオティクス」と言います

腸内環境を良くする生きた有益な微生物を取り入れることを「プロバイオティクス」と言います。

ビフィズス菌や乳酸菌を生きたまま腸まで届けることができても、

餌となる食物繊維が足りないとヒトの体に有益な短鎖脂肪酸などを十分作ってくれません。

ですから「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」はセットで行う必要があります。

プレバイオティクスとプロバイオティクス をセットで行うことを

シンバイオティクス」と言います

シンバイオティクスを新たな習慣にしてお腹から元気になりましょう 。

 

全身で活躍するヒーロー。短鎖脂肪酸の正体。

食物繊維を摂る最大のメリットは、発酵により腸内で短鎖脂肪酸が増えることです。

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸は、主に酪酸酢酸プロピオン酸の3つ。

同じ短鎖脂肪酸でも働きが異なります。

酪酸の大半は腸管内で働きます。

腸管の細胞のエネルギー源になったり、腸管における免疫に関わったりします。

また、短鎖脂肪酸はエネルギー代謝が高まり、体内に余計な糖質や脂質の取り込みを防いでくれる作用があります。

これらの作用によって短鎖脂肪酸は代謝を改善して肥満を抑える効果を発揮します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、酢酸の一部は脳に働きかけて食欲を抑える働きを持ちます。

つまり、太っている人が痩せたかったら、余分なカロリーを抑えつつ、発酵で短鎖脂肪酸を作る食物繊維を増やすことが大切です

その他、血糖値や血圧を下げる効果も持っていますので、食物繊維は健康のために益々必要ですね。

 

ダイエットからメンタルまで。腸を整える6大メリット。

1.肥満生活習慣病の予防

食物繊維で腸内環境を整える一番のメリットは何かというと

スリムでヘルシーになれる事です。

肥満とそこから生じる生活習慣病のどちらも回避できるのです

ポイントになるのはまたまた短鎖脂肪酸です

腸内細菌が食物繊維を代謝すると最終的に短鎖脂肪酸が生じます

人にとって大便が不要であるように、腸内細菌にとっても短鎖脂肪酸は不要なものです。

しかし、人が短鎖脂肪酸を吸収すると、体内のエネルギー代謝が適正化されます。

低下した代謝を高める交感神経を刺激したり、余分な体脂肪を貯める脂肪組織の働きを抑えたりできるのです。

お腹に内臓脂肪がたまる内臓脂肪型肥満に陥ると、全身の代謝が乱れて糖尿病や高血圧などを併発するメタボリックシンドロームの危険度が上がります。

メタボリックシンドロームは心臓病や脳卒中といった死に至る生活習慣病を招く動脈硬化のリスクファクターです。

腸内環境が整い短鎖脂肪酸でエネルギー代謝が最適化できたら

内臓脂肪は減りお腹もへこみます。

メタボと動脈硬化を予防して健康長寿への明るい未来が拓けます。

 

2.免疫力アップ

口からは様々な物が体内に入ってきますが、外敵が入ってこないよう、いわば国境に当たる腸管には多くの免疫細胞が集まります。

中でも大切なのが制御性 T 細胞という免疫細胞で、免疫グロブリン IgA を作らせます。

腸管で作られた IgA は全身の粘膜に広がり病原体の侵入をブロックします。

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸の酪酸は主に腸管内で作用しており、この制御性 T 細胞を増やしてくれます。

制御性 T 細胞は免疫の暴走を抑える働きがありますが

酪酸が減り制御性 T 細胞が活躍できないと、自らを誤って攻撃する自己免疫疾患が起こりやすくなります。

その典型例がアレルギーや花粉症です。

アレルギー体質の人は是非腸内環境を整えましょう。

 

3.メンタルヘルス

脳腸相関という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

脳と腸は離れていますが、互いに連絡し合って影響を与えあっています。

この脳腸相関で大きな役割を担うのが迷走神経です。

迷走神経は自律神経の副交感神経の一種です

消化吸収を司るため、胃腸に広く分布しています。 

神経線維には脳から体の末端のほうへ情報を伝えるものが多いですが

この迷走神経は神経繊維の多くが逆に末端から脳みそへ情報をお伝えており

メンタルに深く関わると考えられています。

例えばうつ病の患者さんには下痢や便秘などでお腹の調子が悪い人も少なくありません

うつ病だと状況次第で悪玉に変わってしまう日和見菌が増えたり

短鎖脂肪酸の 酪酸を作る腸内細菌が少なくなることも分かっています

お腹の不調がうつ病に影響することも考えられるそうです

 

4.体づくり

筋肉をつけたいならタンパク質を取れというのが長年の合言葉でしたが

今後は筋肉をつけたいなら食物繊維を摂れに変わるかもしれません

鍵を握っているのは胆汁酸です

胆汁酸は肝臓が分泌する胆汁に含まれますが

胆汁酸の95%は小腸で吸収されて肝臓で再利用されますが

残りの5%は大腸で腸内細菌が代謝します

肝臓が分泌する胆汁酸を二次胆汁酸に変換します。

この二次胆汁酸が筋肉の合成を促進します。

腸内細菌は胆汁酸の代謝で重要な役割を果たしており

その栄養源として食物繊維が不可欠というわけです

つまり、筋肉を作るのに大切な二次胆汁酸を作ってくれる大切な腸内細菌が頑張ってくれるためにも、腸内細菌が喜ぶ食物繊維をたくさん摂りましょう。

 

5.運動パフォーマンス

腸内細菌は運動パフォーマンスに影響しており、中でも持久力に関係しています。

ボストンマラソン出場者の腸内細菌を調べたところ

タイムの良かったランナーはペイロネラ属という腸内細菌が多い傾向にありました。

マラソンのような持久的な運動を続けると筋肉で作られた乳酸が溜まります

ペイロネラ属は、この乳酸からプロピオン酸という短鎖脂肪酸を作ります。

プロピオン酸は筋肉のエネルギー源にもなるので

ペイロネラ属が多いと持久力が高まり、ゴールタイムも良くなります。

日本人で持久力を左右するのはペイロネラ属ではなくてバクテロイデス属のようです

大学駅伝選手と一般の人の腸内細菌を比べると

駅伝選手にはバクテロイデス属が多かったそうです

バクテロイデス属が作る短鎖脂肪酸もエネルギー源になります

運動パフォーマンスアップのためにも腸内細菌と食物繊維は非常に大切だということです。

 

6.アンチエイジング

日本の100歳以上の方はは8万人と世界トップクラスです

中でも人口当たりの100歳以上の人数が全国平均の約3倍という長寿の町が

京都府の京丹後市です。

調査によると京丹後市の高齢者は

全粒穀類・芋類・海藻類・豆類などをよく食べ、水溶性食物繊維の摂取量が多いことが分かりました。

また、腸内フローラを調べると、発酵性の高い水溶性食物繊維を好み

酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を作る腸内細菌が多いことが分かりました。

短鎖脂肪酸は病気になるリスクを下げて、酪酸は免疫力をアップします。

こうしてみると、食物繊維を意識した食生活が健康長寿にとっていかに大切かということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

次回のブログでは実際具体的にどのように食物繊維を摂取すれば良いのか

ということについて解説していきたいと思います。

 

今回のブログを動画にしましたので、是非ご覧ください。

 

 

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