下肢静脈瘤は放置するとどう進む?こむら返り・色素沈着・皮膚炎・潰瘍の流れを医師が詳しく解説 | 目黒外科

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2025.11.27

下肢静脈瘤は放置するとどう進む?こむら返り・色素沈着・皮膚炎・潰瘍の流れを医師が詳しく解説

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

下肢静脈瘤を治療せず放置するとどうなる? 色の変化から皮膚トラブル・潰瘍までの進行を解説

「痛いわけではないから…」「仕事が落ち着いてからでいいかな」と、
下肢静脈瘤の治療を後回しにしている方は意外と多いものです。しかし静脈瘤は、放置して改善する病気ではありません。
時間の経過とともに皮膚の状態が変化し、日常生活に支障をきたすレベルまで進むケースも存在します。

下肢静脈瘤 画像

この記事では、症状が進む流れをステップごとに整理し、
「どの段階で何が起きているのか」をわかりやすくお伝えします。

下肢静脈瘤は自然に良くならない ― 進行性の病気です

逆流した静脈の弁は元に戻ることがないため、症状は少しずつ確実に前へ進みます。
血液が足にたまり続けることで皮膚にも影響が及び、色が変わったり、炎症が続いたり、やがて潰瘍となることもあります。

【ステップ1】血管のふくらみ・むくみ・だるさ・こむら返り

初めのうちは軽度の違和感や疲れやすさが中心ですが、次第に静脈瘤特有の症状が増えてきます。

  • 皮膚の上から血管の盛り上がりが見えてくる
  • 午後になるほど足が重い・だるい
  • 立ち仕事のあとにむくみが強く出やすい
  • 夜中や明け方にふくらはぎがつる(こむら返り)

下肢静脈瘤の画像

こむら返りは「疲れ」ではなく、静脈血の滞りが引き起こす典型的な現象です。
この段階で治療を行うと症状の改善が早く、生活の快適さも大きく変わります。

【ステップ2】色素沈着 ― 足首まわりが茶色く染まるサイン

血液中の鉄分が皮膚の中に沈着し、足首を中心に茶色い影のような変化が現れ始めます。
これは、静脈瘤が単なる“血管のふくらみ”から“皮膚そのものの病気”へ進みつつある兆候です。

  • 足首やすねの色が茶〜黒色に変化する
  • 皮膚が厚く硬くなってくる
  • 軽い痛みを感じることがある

下肢静脈瘤 色素沈着

色素沈着は改善しにくく、治療後も完全に元に戻らないことがある段階です。
見た目の悩みとして残りやすいため、ここに到達する前に対処するのが理想的です。

【ステップ3】皮膚炎 ― かゆみ・赤み・湿疹が長く続く

血液が滞る状態が長引くと、皮膚の表面に慢性的な炎症が起こります。
これが「静脈うっ滞性皮膚炎」と呼ばれる状態です。

  • 皮膚の赤みや湿疹が繰り返し出る
  • かゆみが強く、掻くことで悪化しやすい
  • 少しの刺激で皮膚が傷つきやすくなる

うっ滞性皮膚炎 湿疹

塗り薬で一時的に良くなる場合もありますが、
原因である静脈の逆流を治療しない限り再発を繰り返すのが特徴です。

【ステップ4】皮膚潰瘍 ― 強い痛みと治りにくい“最終段階”

最終的には皮膚が破れ、深い傷になってしまう「静脈性潰瘍」へ進行することがあります。
痛みが強く、生活に大きな支障をきたします。

  • 傷が広がりやすく、治癒に時間がかかる
  • 滲出液(じんしゅつえき)が出やすい
  • 再発しやすく、治療が長期化しやすい

皮膚潰瘍

潰瘍まで進むと治療に多くの時間と労力がかかり、生活面の負担も大きくなります。
ここまで悪化させないことが最も大切です。

「治療が怖い…」という方へ ― いまの治療は負担が少なく日帰り

現在行われている血管内治療は、以前の手術とは大きく異なります。
最小限の傷で済み、日帰りで受けられる方法が主流です。

  • 施術時間は概ね30〜60分
  • 翌日から普段通りに生活できる
  • 痛みも少なく、跡がほとんど残らない

「怖いからやめておこう」ではなく、早めの治療が将来の皮膚トラブルを確実に防ぎます。

まとめ ― 進行を止めるなら“いま”がベストのタイミング

下肢静脈瘤は自然に良くなることはありません。
色の変化・皮膚炎・潰瘍といった進行を防ぐには、早い段階での治療が最も効果的です。少しでも不安や気になる症状があれば、放置せずに医療機関での相談をおすすめします。

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