下肢静脈瘤のすべて|東京で下肢静脈瘤治療の日帰り手術を行う専門クリニック目黒外科

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目次

  1. 01下肢静脈瘤の基礎知識
  2. 01-1下肢静脈瘤が起こる原因とその症状について
  3. 01-2下肢静脈瘤の種類
  4. 01-3陰部静脈瘤
  5. 01-4うっ滞性皮膚炎
  6. 01-5血栓性静脈炎と下肢静脈瘤の関連
  7. 01-6慢性静脈不全症
  8. 01-7一次性静脈瘤と二次性静脈瘤
  9. 02下肢静脈瘤コラム
  10. 02-1下肢静脈瘤の発症のサインとは?
  11. 02-2下肢静脈瘤の発症率
  12. 02-3下肢静脈瘤になりやすい人・職業
  13. 02-4下肢静脈瘤に関する誤解
  14. 02-5下肢静脈瘤の治療が必要な場合とは?
  15. 03下肢静脈瘤の診断について
  16. 03-1下肢静脈瘤の診断前にすべき準備
  17. 03-2下肢静脈瘤の診断が可能な病院・科目
  18. 03-3下肢静脈瘤治療の流れ
  19. 03-4下肢静脈瘤の診療費
  20. 04下肢静脈瘤の治療方法
  21. 04-1血管内焼灼術
  22. 04-2高位結紮術
  23. 04-3ストリッピング手術
  24. 04-4スタブ・アバルジョン法
  25. 04-5保存的治療
  26. 04-6硬化療法
  27. 04-7下肢静脈瘤の治療をする時に注意が必要な薬
  28. 05写真で見る治療経過
  29. 05-1【経過報告】足のこむら返りで夜眠れなかった2人の患者さんのケース
  30. 05-2【治療経過】陰部静脈瘤の患者さん
  31. 05-3【治療経過】両足のだるさ、こむら返りでお悩みの陰部静脈瘤の患者さん
  32. 05-4【治療経過】足のだるさ・重みにお悩みの患者さんはどうなったか?
  33. 05-5【治療経過】足の見た目に悩んでいた患者さん
  34. 05-6【治療経過】部活の練習中に足がつる患者さん
  35. 06日常生活でできること
  36. 06-1下肢静脈瘤の悪化を防ぐためにすべきこと
  37. 06-2弾性ストッキングについて
  38. 06-3足のむくみのセルフチェック

この記事を書いた人

医師写真

目黒外科
院長 齋藤 陽

所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本心臓血管外科学会
  • 日本胸部外科学会
  • 日本脈管学会
  • 日本血管外科学会
  • 日本静脈学会
  • 日本ヘルニア学会

専門医資格

  • 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 日本血管外科学会認定血管内治療専門医
  • 身体障害者福祉法指定医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医
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下肢静脈瘤の基礎知識

下肢静脈瘤が起こる原因とその症状について

足の静脈が浮き出た状態を下肢静脈瘤という。表在静脈である大小伏在静脈の逆流防止弁が閉じなくなり、血液の逆流とそれに伴ううっ血が静脈瘤発生のメカニズムである。静脈弁が閉じなくなる原因は立ち仕事、妊娠・出産・遺伝などであり、これらの原因が複合的に重なることによって静脈弁は機能を果たせなくなる。静脈血が逆流することにより老廃物を多く含む汚れた血液が足に溜まり、足のだるさ、むくみ、こむら返り、血管が浮き出るなどの症状が出現する。さらに進行すると湿疹かゆみ、色素沈着などのうっ滞性皮膚炎を引き起こし、最終的には皮膚潰瘍となる。逆流した伏在静脈をレーザーや高周波によって焼灼し、閉塞する治療が現代の主流である。

下肢静脈瘤の種類

下肢静脈瘤は伏在型・側枝型・網目状・クモの巣状の4種類に分類される。いわゆる「下肢静脈瘤」と呼ばれるのは伏在型と側枝型を指す。これらは静脈弁不全による血液の逆流およびうっ血を生じ、足のだるさ・むくみ・こむら返り・静脈が浮き出るなど多彩な自覚症状をもたらす。静脈のうっ血を止めること、すなわち逆流防止弁が機能不全となり逆流をともなう静脈をレーザーまたは高周波により焼灼して閉鎖することが治療となる。
網目状およびクモの巣状静脈瘤は毛細血管が拡張したもので、自覚症状は乏しい。そのため治療の目的は美容が主体となる。治療の主流となるのは保険診療の硬化療法であるが、クモの巣状静脈瘤には皮膚レーザー照射も効果的である。

陰部静脈瘤

陰部静脈瘤は、股の付け根や太ももの裏側にできる静脈瘤です。妊娠をきっかけに生じるため、女性特有の静脈瘤です。下肢静脈瘤の原因は表在静脈の逆流防止弁がダメになることで生じる血液の逆流です。これに対して陰部静脈瘤は、妊娠中のホルモン増加や大きくなった子宮が静脈を圧迫することにより子宮や卵巣の周囲に拡張した毛細血管が発達することが原因です。
お尻や足の痛みやだるさが主な症状で、生理中は子宮や卵巣への血流が多くなるために症状が強くなります。反対に、閉経になると症状が軽くなるという特徴があります。
治療方法は硬化療法が一般的です。陰部静脈瘤は妊娠をきっかけに発生するため、妊娠期間中に弾性ストッキングを着用すると予防になります。

うっ滞性皮膚炎

うっ滞性皮膚炎とは、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症など、静脈のうっ滞を生じる病気よって生じた様々な皮膚症状のことをいいます。長期間にわたる静脈うっ滞により老廃物を多く含む汚れた血液が足に溜まり、足のむくみ、湿疹・かゆみ、色素沈着などの症状を生じ、進行すると皮膚が硬くなり、最終的には皮膚潰瘍となります。
治療の基本は圧迫療法で、弾性ストッキングの着用は静脈うっ滞を改善します。
深部静脈血栓症による場合は、長期間にわたり弾性ストッキングを着用する必要があり、
下肢静脈瘤の場合は血管内焼灼術などにより静脈うっ滞を改善することができます。治りにくい皮膚炎はうっ滞性皮膚炎を疑い、超音波検査を受けましょう。

血栓性静脈炎と下肢静脈瘤の関連

血栓性静脈炎は、体の表面にある静脈に血栓ができて、血栓の生じた部分を中心に静脈が炎症をおこす病気です。血栓性静脈炎は下肢静脈瘤の方にしばしばみられます。
下肢静脈瘤の方は静脈の逆流があり血液のうっ滞が生じているので、血栓ができやすい素因があります。これに何らかのきっかけが加わることで血栓ができるのです。
静脈に血栓ができて炎症が起きると、その部分を中心に、皮膚が赤く腫れて痛みが出ます。
超音波検査と血液検査によって診断されます。
治療は消炎鎮痛剤の服薬・外用薬により炎症を鎮めます。血栓が深部静脈に及んでいれば抗凝固療法を行います。
再発予防には弾性ストッキングの着用や下肢静脈瘤に対する治療が効果的です。

慢性静脈不全症

慢性静脈不全とは、足を静脈の血流が悪くなる病気です。
深部静脈が血栓によって閉塞する深部静脈血栓症、表在静脈の弁不全により重力で血液が逆流する下肢静脈瘤、閉塞と逆流が合併した深部静脈血栓後症候群などが代表的です。
深部静脈血栓症は足に大量の血液が溜まるため、急に足が腫れてきます。血栓が肺に飛ぶこともあります。血液をサラサラにする薬や弾性ストッキングで治療を行います。
下肢静脈瘤は自覚症状があり、静脈の逆流があれば弾性ストッキングか血管内焼灼術の対象となります。
深部静脈血栓後症候群はなかなか治りにくく、長期間にわたり弾性ストッキングが必要となります。うっ滞性皮膚炎をおこしやすいので根気強い圧迫療法が必要です。

一次性静脈瘤と二次性静脈瘤

下肢静脈瘤は発生原因により一次性と二次性に分けられます。
一次性静脈瘤は表在静脈の逆流によってできた静脈瘤で、二次性静脈瘤は深部静脈の血行障害により発生したものです。
一次性静脈瘤の治療方法は、自覚症状があれば圧迫療法または手術から選択できますが、うっ滞性皮膚炎を伴うと重症なので手術が必要です。手術方法はレーザーや高周波カテーテルで逆流している静脈を焼いて閉塞させる方法が主流です。
二次性静脈瘤は弾性ストッキングによる圧迫療法を行います。静脈瘤を閉塞してしまうと血液が心臓に戻れなくなるため、二次性静脈瘤に対して手術は禁止です。二次性静脈瘤は根治が難しいため、永続的に圧迫療法を続けなければなりません。

下肢静脈瘤コラム

下肢静脈瘤の発症のサインとは?

下肢静脈瘤には足のむくみ、足の血管が浮き出てくる、足がつる、足がだるいなどの初期症状があります。
下肢静脈瘤は、足の静脈に備わっている逆流防止弁が閉じなくなり、血液が重力で下に戻ってきてしまうことが原因です。静脈を流れる血液は老廃物を多く含む汚れた血液です。汚れた血液は膝から下にたまります。しがたって、ほとんどの症状はふくらはぎに現れます。
足のむくみやだるさは午後から夕方にかけて症状が強くなり、こむら返りは夜中から明け方にかけておこります。
足の血管が目立つ方は、その上流にある静脈が逆流している可能性が高いです。
一つでも当てはまる症状があれば下肢静脈瘤の可能性がありますので、一度超音波検査を受けましょう。

下肢静脈瘤の発症率

下肢静脈瘤は40歳以上に多く、年齢とともに増加します。
足の筋肉量や運動量が減り、筋ポンプ作用が弱くなることや、血管自体の老化などが考えられます。
男女比は女性が男性の3倍で、女性が多い理由は妊娠・出産の影響を受けやすいこと、足の筋肉量が男性よりも少ないため筋ポンプ作用が弱いためと考えられています。
母体の血液量の増加・女性ホルモンの影響・子宮による静脈の圧迫が下肢静脈瘤発症の原因と考えられ、出産を経験した女性の半数が静脈瘤を発症するというデータがあります。出産回数とともに下肢静脈瘤の発症率も比例します。
両親が下肢静脈瘤の場合、子供に遺伝する確率は90%、両親のどちらかが下肢静脈瘤の場合、男性25%、女性60%というデータがあります。

下肢静脈瘤になりやすい人・職業

下肢静脈瘤になる主な原因は、立ち仕事(デスクワーク)、妊娠・出産、遺伝、加齢、肥満
便秘、性別などが挙げられます。
調理師・美容師・警備員・クリーニング店など、同じ場所に長時間立ち続けるお仕事の方は、足の筋肉によるポンプ作用が働きません。足の静脈に血液が溜まるので静脈が太くなり、弁にも負担がかかるので、だんだん弁が閉じなくなります。
女性は月経・妊娠・出産とホルモンの影響を受けるため静脈と弁が伸び、下肢静脈瘤になりやすくなります。出産経験者2人に1人が静脈瘤を発症するというデータがあり、2人目の妊娠中に症状が悪化することが特徴です。
その他にも加齢、肥満、便秘などが下肢静脈瘤になりやすい人の特徴です。

下肢静脈瘤に関する誤解

下肢静脈瘤という病気は世の中に知られるようになりましたが、必ずしも正しく理解されていません。
その1 下肢静脈瘤とは足のボコボコした血管を指す言葉ですが、このボコボコした血管を治せば足のつらい症状が治るわけではありません。静脈の逆流によって生じる様々な症状が現れますが、ボコボコした血管はそれらの症状の一つに過ぎません。この病気の一番の原因である血液の逆流を止めることが治療のポイントです。
その2 下肢静脈瘤によって足が腐り切断を余儀なくされることはあり得ません。
その3 下肢静脈瘤があるからと言って、血栓ができて肺に飛ぶわけではありません。
下肢静脈瘤は命にはかかわらない病気です。正しく理解すれば心配ご無用です。

下肢静脈瘤の治療が必要な場合とは?

下肢静脈瘤の治療を行うケースは、
①見た目が気になる
②自覚症状に困っている
③うっ滞性皮膚炎
の3つの場合に分けられます。
軽症の静脈瘤は見た目が気になる方が対象となります。
自覚症状が現れる中等症の場合、治療により症状の改善が見込めますので、症状をつらいと感じる方は治療を受けるとよいでしょう。
治療方法は弾性ストッキングによる圧迫療法またはカテーテルによる血管内焼灼術から選択できます。
症状が気にならない方は経過観察でも構いませんが、下肢静脈瘤は自然治癒しないため、今後少しずつ症状が進んでいくことは知っておく必要があります。
色素沈着・湿疹・かゆみなど、うっ滞性皮膚炎になると重症です。圧迫療法とカテーテルによる血管内焼灼術を併せて行う必要があります。

下肢静脈瘤の診断について

下肢静脈瘤の診断前にすべき準備

まずは下肢静脈瘤の疑いがあるかチェックしましょう。
次は情報収集です。まずは口コミ情報をお知り合いやインターネットのポータルサイトなどで集めましょう。

<信頼できる医師に出会うためのポイント>
●話をよく聞いてくれる
ご自身の体のことですので、些細な質問だと思っても、遠慮せず医師に質問しましょう。説明に納得していないのに治療を受けてしまうと、術後経過が思わしくない場合トラブルになることがあります。
●超音波検査で静脈の逆流していることを見せてくれる
受診した医療機関でやたらと手術を勧められ、説明に納得いかないので診てほしいと当院を受診される患者さんがいます。
「あなたの静脈は太さが4mmあります。これが下肢静脈瘤です。手術が必要です」
「静脈の太さが2mm以上あります。手術が必要です」
だいたいこのパターンです。改めて超音波検査を行うと、血液の逆流は認められません。
血液の逆流がなければ血管内焼灼術の必要はありません。
●手術実績をホームページに載せている
もしホームページに手術実績の掲載がなければ、医師に質問してみましょう。
●学会発表をしている
学会で治療結果を公表して第三者から評価を受けることは、治療のレベルを高める努力の姿勢を示すものです。
健康教室に参加してみるのもよいでしょう。インターネットだけではわからない、医師の人となり、スタッフや院内の雰囲気などをご自身で確かめてみましょう。

下肢静脈瘤の診断が可能な病院・科目

下肢静脈瘤の診療を行っている医療機関・診療科は多くあります。しかし、患者さん目線に立てば、どこに行けばよいのか分かりにくいです。実際に下肢静脈瘤の治療を受けた方に聞くのが一番良いと思いますが、必ずしも自分の周りにそのような方がいらっしゃるとは限りません。インターネットには情報があふれていますが、ホームページを見ただけで見極めるのはなかなか難しいと思います。セカンドオピニオンや健康教室などに参加していろいろ質問してみましょう。下肢静脈瘤は命にはかかわらない病気ですので、情報収集はとても大切です。勧められるがままに治療を受けさせられるのではなく、医師の診断と説明に納得した上で治療を受けるようにしましょう。

下肢静脈瘤治療の流れ

下肢静脈瘤の治療を受けられる患者さんの、治療の流れについて説明しました。
今までかかったご病気や、飲んでいるお薬は大切な情報ですので、お薬手帳をお持ちの方は、診察の時にお持ちください。
診察と検査を同時に行いますので、治療方法についてのご相談は一度で済みます。
治療を受けられる方は血液検査と心電図検査を行い、日程のご予約となります。
日帰り手術は、片足当たり15分程度かかります。ウトウト寝ている間に終わりますので不安も痛みも感じません。
30分程度、回復室で休憩していただき帰宅となります。もちろん歩いて帰ることができます。
足の包帯を巻いているので、シャワーを浴びることはできませんが、
炊事・洗濯・お買い物など、日常生活での動作はいつも通りで構いません。

下肢静脈瘤の診療費

当院は下肢静脈瘤の診察・検査・治療は全て保険診療です。診療費用は全国どこの医療機関でも変わりません。ただし、体の大きさや、治療が片足か両足かによって麻酔の使用量は個人差がありますので、手術費用は若干増減します。
高額療養費制度を利用できます。手術日に窓口負担金額を支払い、後で高額療養費を申請して限度額との差額を健康保険組合から還付してもらう方法と、事前に申請して限度額適用認定証をお持ちいただく方法があります。
国民健康保険または後期高齢者の方は市区町村役所、社会保険の方は職場の健康保険担当者に申請してください。
生命保険に加入している方は下肢静脈瘤の日帰り手術が保険金・給付金の対象となるかご確認ください。

下肢静脈瘤の治療方法

血管内焼灼術

血管内焼灼術は逆流防止弁がダメになり血液が逆流している静脈にカテーテルという細い管を挿入し、カテーテル先端から発する熱により静脈を焼いて閉塞させる治療方法です。
下肢静脈瘤に対する従来の手術法であるストリッピング手術と比べ、メスで切らないため傷跡が残らない、術後の痛みや内出血が少ないなど、患者さんのお体に負担が少ない治療方法で、現在下肢静脈瘤治療の主流となっています。
静脈の焼灼に要する時間はどちらのカテーテルもおよそ3~5分程度で済むため、日帰りでの治療が可能になりました。
レーザーと高周波の2種類のカテーテルがありますが、1470nmレーザーカテーテルと高周波カテーテルはどちらも治療効果の高さ、合併症の少なさでどちらも満足のいく成績をあげています。

高位結紮術

高位結紮術とは、足の付け根の皮膚を数cm切開して、逆流している静脈を糸でしばることで血液の逆流を止める手術です。局所麻酔で15分程度の短時間で終わるその手軽さから日帰り手術として盛んに行われた時期がありました。

しかし、その後この手術は再発率が高いということが分かってきたのです。これを受けて、糸でしばる個所を増やしたり硬化療法を併用したりとさまざまな工夫を凝らしましたが、ストリッピングや血管内治療が日帰り手術可能となりしだいに行われなくなりました。

一方、完全に過去の遺産というわけではなく、高位結紮術を検討してもよいと考えられるケースもあります。下肢静脈瘤の治療を行うにあたり、このような治療法を引き出しとして持っていることは外科医の優位な点です。

ストリッピング手術

ストリッピング手術は逆流している静脈を直接引き抜いてしまうので、静脈うっ滞の原因を根治するという点では確実性の高い術式です。血管内焼灼術が登場するまでは100年以上にわたり下肢静脈瘤手術の王道だったという事実がその高い治療効果を裏付けています。
ただし、静脈うっ滞の原因となる静脈の逆流を止めるという点では、血管内焼灼術もストリッピング同様に高い治療成績をあげています。治療効果が同等であれば、メスで切らなくて済み、痛みもアザも少なくて、入院の必要がないので医療費も安く済むなど、あらゆる点で血管内焼灼術に軍配が上がります。残念ながら、ストリッピングの時代は終わりを迎えたと言わざるを得ません。

スタブ・アバルジョン法

伏在静脈の逆流防止弁が閉じなくなると足の静脈に血液のうっ滞が生じ、その結果ボコボコと浮き出た静脈瘤が発生します。
この静脈瘤のために見た目が気になり長年スカートがはけないなど、お悩みの女性は少なくありません。
静脈瘤をきれいにするためには、原因である伏在静脈の逆流を治療したうえで静脈瘤を切除するか硬化療法を行う必要があります。
最近、下肢静脈瘤の切除はstab avulsion法が標準的な術式となっています。
この方法は、特殊な静脈用のフックを用いて1㎜前後の小さな傷で静脈瘤を切除することができます。傷が小さいため傷を縫わなくて済むこと、抜糸も必要ないため傷あとが目立ちにくいことが特徴です。それでいて効果的な静脈瘤切除が行えることから患者さんの満足度が高い治療法です。

保存的治療

保存的治療とは、手術や硬化療法とは異なり、弾性ストッキングの着用による圧迫療法や日常生活の見直しや予防方法などが挙げられます。
下肢静脈瘤では、軽症の方と中等症の中でも症状の軽い方は保存的治療の対象となります。
弾性ストッキングはふくらはぎの筋肉が静脈を圧迫することで血液を上に押し上げるので、静脈血のうっ滞を改善してくれます。
弾性ストッキングは下肢静脈瘤の進行を遅らせることができますが、ダメになった静脈弁は治らないため根本的な治療にはなりません。
日常生活でできることとしては、長時間の立ち仕事をされる方は弾性ストッキングの着用とともに時々屈伸運動やアキレス腱を伸ばす運動を取り入れるとよいでしょう。また、便秘や肥満の解消に努めることも下肢静脈瘤の原因への対処となります。

硬化療法

硬化療法は静脈瘤の中に硬化剤という薬を注射し、静脈に炎症を起こさせることで静脈を閉塞する治療法です。
少量でよく効き、注射回数が少なく済むなどのメリットがあるため、泡状にした硬化剤を静脈瘤に注射するフォーム硬化療法が一般的です。
フォーム硬化療法は、クモの巣状静脈瘤・網目状静脈瘤、再発静脈瘤、陰部静脈瘤、側枝型静脈瘤などに適しています。
手軽に行うことができる硬化療法ですが、しこりや皮膚の色素沈着を経て静脈瘤は消えていきます。しこりは半年くらい、色素沈着は1年以上かかります。
ホルモン剤やピルなど血栓症をおこしやすい薬を服用中の方や、血栓症をおこしやすい疾患のある方は硬化療法ができないため、注意が必要です。

下肢静脈瘤の治療をする時に注意が必要な薬

下肢静脈瘤治療を行う際に注意が必要なお薬があります。
ホルモン製剤、骨粗しょう症治療薬(エビスタ・ビビアント)、ステロイド等は血栓ができやすいため、血管内焼灼術・ストリッピング・硬化療法が必要な場合、治療1か月前から休薬が必要です。
抗血小板薬・抗凝固薬を服用中でも血管内焼灼術が可能です。ただし、静脈瘤切除など出血を伴う処置は行わないか最小限にとどめます。ストリッピングを行う場合は休薬が必要です。
抗リウマチ薬(リウマトレックス・レミケード)や免疫抑制剤は服用中でも血管内焼灼術は可能ですが、傷の感染予防のため静脈瘤切除などは避けたほうがよいでしょう。
服薬情報はとても大切ですので、お薬手帳をお持ちの方は必ずお持ちください。

写真で見る治療経過

【経過報告】足のこむら返りで夜眠れなかった2人の患者さんのケース

下肢静脈瘤の代表的な症状が足のこむら返りです。下肢静脈瘤の患者さんの場合、深夜から明け方にかけて、寝ている時間帯に足がつるという方がたくさんいます。
こむら返りの原因は様々です。一方、下肢静脈瘤の患者さんの足がつる理由は、乳酸という疲労物質の蓄積が原因と考えられています。
下肢静脈瘤がこむら返りの原因かどうかを確かめるには、超音波検査で静脈の逆流を確認するといいでしょう。
治療方法は、静脈の逆流があれば血管内焼灼術またはストリッピング手術が一般的です。
静脈の逆流が明らかでない方も、弾性ストッキングの着用で症状改善が見込めます。
足のこむら返りでお困りの方は医療機関を受診し、超音波検査により静脈の逆流があるか確認してもらいましょう。

【治療経過】陰部静脈瘤の患者さん

陰部静脈瘤は股の付け根や太ももの裏側にできる静脈瘤です。下肢静脈瘤の発生原因とは異なり、妊娠中のホルモン増加や大きくなった子宮が
静脈を圧迫することで子宮や卵巣の周囲に拡張した毛細血管が発達することが原因です。したがって女性特有の静脈瘤と言えます。
主な症状はお尻や足の痛みやだるさです。生理中は子宮や卵巣への血流が多くなるため、症状が強くなる傾向があります。
反対に、閉経になると症状が軽くなるという特徴があります。治療方法は硬化療法が一般的です。
陰部静脈瘤は妊娠をきっかけに発生することが多いため、予防方法として妊娠中は弾性ストッキングの着用をお勧めします。下肢静脈瘤の予防にもなります。
ご自身にあてはまる症状があれば血管外科を受診しましょう。

【治療経過】両足のだるさ、こむら返りでお悩みの陰部静脈瘤の患者さん

陰部静脈瘤は妊娠や出産を契機に発症し、足のだるさやむくみ、こむら返り、生理中の足の痛みなどが主な症状です。
大伏在静脈・小伏在静脈など、足の表在静脈には逆流はなく、子宮や卵巣など骨盤内の静脈から発生することが特徴です。したがって、レーザーや高周波による血管内焼灼術、ストリッピングなどの対象にはなりません。
一般的には硬化療法が効果的ですが、陰部静脈瘤が太く広範囲の場合、自覚症状は改善しても、静脈に沿って色素沈着が強く生じて見た目が醜くなることがあります。
陰部静脈瘤の治療は必ずしも硬化療法がベストの選択とは限りません。自覚症状の改善を優先する方の場合、弾性ストッキングによる圧迫療法だけでも十分ご満足いただけるケースもあります。

【治療経過】足のだるさ・重みにお悩みの患者さんはどうなったか?

足の静脈は老廃物で汚れた血液を心臓に戻す下水道のような役目をしています。
血液が重力で落ちてこないように逆流防止弁が数cmおきについているのですが、この逆流防止弁が何らかの理由によってきちんと閉じなくなってしまうと血液の逆流がおこります。
汚れた血液が足に溜まって重さやだるさを感じるようになります。

血液が逆流して渋滞(うっ血といいます)すると、血液が心臓に帰れるように渋滞の抜け道ができます。これがボコボコ浮き出た静脈瘤です。
立ち仕事で足のだるさや重さにお悩みの方は一度足の超音波検査を受けてみましょう。
静脈の逆流があればカテーテルによる治療で症状が改善できますし、逆流がない場合は弾性ストッキングを着用するとお仕事中も足が楽になります。

【治療経過】足の見た目に悩んでいた患者さん

足の静脈が瘤のように浮き出たものを静脈瘤といいます。
立ち仕事、妊娠・出産、遺伝などの原因により足の静脈の逆流防止弁が閉じなくなると、重力で血液が下に落ちてしまいます。血液が足にたまると静脈は太くなり、さらにはクネクネ曲がるようになります。これが静脈瘤です。つらい症状がなくても、見た目が気になる方は治療の対象となります。
その際に気を付けるべきポイントは、手術で静脈瘤を取り除けばよいわけではありません。静脈瘤はその上流にある静脈の逆流が原因で発生したものなので、必ず上流にある静脈の逆流を止めたうえで静脈瘤切除を行わないと、いずれ静脈瘤が再発してしまいます。静脈の逆流は目には見えません。足の静脈が浮き出ていて気になるという方は、超音波検査で静脈の逆流をチェックしてもらいましょう。

【治療経過】部活の練習中に足がつる患者さん

今回は下肢静脈瘤と運動の関係についてのお話でした。運動をすると筋肉の疲労とともに乳酸がたまります。足の静脈の逆流防止弁が閉じなくなると、
乳酸が足にたまるのでこむら返りがおこりやすくなります。

弾性ストッキングやコンプレッションタイツによる圧迫療法ふくらはぎの筋ポンプ作用を強化します。足を圧迫することで足にたまった乳酸が抜けやすくなります。
根本的に治療するのであれば、血管内焼灼術がよいでしょう。逆流している静脈自体をカテーテルによる熱で焼くと逆流をおこす血管がなくなるので、
血液は正常な静脈を通るようになります。
運動中に足がつりやすい方は一度医師の診察を受けてみましょう。下肢静脈瘤が原因であるならば、治療により改善が見込めます。

日常生活でできること

下肢静脈瘤の悪化を防ぐためにすべきこと

下肢静脈瘤の主な原因である立ち仕事(デスクワーク)・妊娠・肥満・便秘などに対処することで下肢静脈瘤の悪化を予防できます。
立ち仕事やデスクワークの方はふくらはぎの筋ポンプ作用が十分に働かないため、足に血液がたまりやすくなります。
そこで、屈伸運動やアキレス腱を伸ばすようにし、ふくらはぎの筋肉を動かすこと大切です。弾性ストッキングの着用も効果的です。
女性が下肢静脈瘤になる最大の理由が妊娠です。妊娠中はなるべく弾性ストッキングを着用することをお勧めします。
肥満は下肢静脈瘤の悪化原因の一つです。食べすぎと運動不足には注意しましょう。
便秘になると排便時に腹圧がかかり下肢静脈瘤になりやすくなります。水分や食物繊維を摂り便秘を予防しましょう。

弾性ストッキングについて

足の血液は重力に逆らって心臓に戻らなければならないため、足にたまりやすくなります。
足にたまった静脈血を心臓まで戻すための機能は、ふくらはぎの筋肉が静脈を圧迫して血液を押し上げる「筋ポンプ作用」と静脈の「逆流防止弁」です。
弾性ストッキングは医療用に作られたストッキングで、筋ポンプ作用と逆流防止弁の両方を強化してくれます。
形状によりストッキングタイプ、パンストタイプ、ハイソックスタイプの3種類があります。着脱のしやすさや価格などを考えると、ハイソックスタイプが第一選択となります。
弾性ストッキングによる圧迫療法は、軽症から重症の方まであらゆる下肢静脈瘤の患者さんが手軽に始められる治療方法です。
ただし、弾性ストッキングは静脈瘤自体を治すわけではありません。

足のむくみのセルフチェック

足のむくみとは、血液中の水分が血管の外にしみ出して、皮膚の下に水分が過剰にたまった状態です。様々な原因によって足のむくみは生じますが、日常最もよく見られるむくみは足の運動不足、塩分の摂りすぎ、お酒の飲みすぎなどが原因です。
足の筋力が衰えたり、長時間立ちっぱなしのお仕事などで足の筋肉を動かさないでいると血液が足にたまり、血管から血液中の水分がしみだしてむくみとなります。
足のすねを手の指で5秒間押して凹ませましょう。通常は凹んだ部分はすぐに元に戻りますが、皮膚が10秒以上凹んだままの場合、「むくみあり」と判定されます。
足のむくみは多くの人が経験する症状ですが、時に重大な病気が隠れていることもあります。足のむくみが少しでも気になる方は、一度医師の診察を受けるようにしましょう。

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